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あたたかい記憶

高校時代からの友達4人で女子会
仕事や家事、子育てのバタバタの隙間を見つけて会っている
近況や子どもの話なんかしながら話題は自然と昔のなつかしい話へ
もうアラフォーだけど、そんな話になると一瞬で制服を来ている時代にタイムスリップした感覚になる

「そういえば、元カレとFacebookでつながったよ。でさあ・・・」
あぁ、私の元カレか・・・不意に言われて一気に現実に戻る

一時期、単身赴任していたらしい・・・結構いろんなところに行って写真上げてる・・・この前サッカー部で集まったらしくて・・・・・
友達の話は続き、サッカー部つながりから違う人の話になっていったけど
私の頭の中は高校時代のまま、いろんな瞬間が写真みたいに次々に浮かんで止まらない

高3の夏、2人で近くにある地域の花火大会に行った
川の土手沿いで見るからオシャレな空間でも何でもないけれど、夜のデートなんてめったにないから嬉しかった

どんな花火だったか、何を話したかはもう覚えていないけど・・・・
帰り道の人の波に入る前、彼が明らかに照れくささを隠すためにぶっきらぼうに
「おい、手ぇつなぐぞ」
と左手を差し出した

手をつなぎながらしばらく歩いていると、彼がふと立ち止まる

目線の先にあるのは土手の下に並ぶ住宅街の一軒家
大きな窓から丸見えの部屋はやわらかい橙色をしていて、お父さんらしき大きな身体が横になっている
その、うたた寝をしていると思しきお父さんに小さい女の子がそっとタオルケットをかけていた

「・・・いいね」
「・・・うん、なんかいいね」
それだけ話して、しばらく眺めてからゆっくり帰り道を歩いた

2人とも、残念ながら父親とは縁が薄い家庭環境だった
だから、知らない家の何気ないひと時が目に入った時、ちょっと憧れの気持ちで眺めていたのかもしれない
少なくとも私はそうだった

今はそれぞれ結婚して家庭を持っているから恋愛感情なんてものはなくて、ただただ懐かしい記憶

「ねえ、今度スキーいつ集合する?今年は暖冬かなぁ」
「あ、ダンナ今回も大会出るわ」
「いつ?じゃあその日集合する?」
「あれ?下の子小学校卒業じゃない?」
「じゃ、卒業式見に行こうかな(笑)」
「いいねー写メ送ってよ」

思い出に浸ってる暇はない
どんどん話が変わっていくし、人生は進んでる
制服を卒業した私たちは今日も賑やかで忙しい










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