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中学の先生の話

もうずいぶん前の話

息子が中学の時、晩ご飯を食べながらちょっと笑ってこう言った
「明日、先生は子供の保育参観で午前休み~」

またある日は
「先生が子どもの誕生日プレゼントが品薄でなかなか手に入らないらしい。
みんなであそこに売ってるんじゃないかとか、ここはどうかとか話が出たけど、最悪、段ボールで作るしかないんじゃないかっていう案も出た(笑)」

担任の先生は男性。
どうやらホームルームや給食の時間にそんな話が出ることがあるらしい

それを聞いた私は、なんていいコミュニケーションなんだと思った
私の小さい頃は、保育参観や運動会に父親が来ることはまだ馴染みがなく珍しい時代だった
自分が親になってからは父親も参加することが普通な時代になっていたけれど、学校の先生は忙しいし、調整がつきにくいんじゃないかと思っていた

けれど、その先生は忙しい中調整し、クラスの生徒にも伝えていた
プレゼントの調達についても話していた

中学生では、すぐに気づかないかもしれない
でも、親はそうやって子どものために色々裏で考えてやりくりしている、そういうもんなんだ、ということが、自分が大人になっていつか親になる時があったら、ふと潜在記憶の中から思い出すんじゃないのかな
いや、ぜひ思い出してほしいし、何ならそんなことはごく日常的で普通のことだと、この多感な時期に吸収してほしいと思った

先生が年に数回家庭の都合で休むことで、彼らの学校生活や成績に支障があったということは1ミクロンもないし、苦情があったという噂も聞かなかった
せいぜいその日の時間割が変更になるか、ホームルームに学年主任の先生が変わって来たくらいの変化に過ぎない
そんなことは研修があったりしても起こること
これでもし苦情が出るならその家の親のしつけが悪いのだ

田舎の狭い地域だからか、その後も先生の様子は時々見聞きした

先生は学校帰りにドラッグストアで紙おむつを買っている姿を保護者に目撃され、「先生、お疲れさまです。大変だね~」と声をかけられていた

先生に2人目が生まれた時
俺と同じ名前にすればよかったのに、とか生徒から口々に提案された

合唱コンクールの日
担任のクラスが最優秀賞を取って号泣し、その場にしゃがみこんでいた

先生の誕生日
黒板いっぱいに生徒が書いたメッセージに大喜びし、急いで職員室にカメラを取りに走った

毎日忙しい中、授業だけでなく生徒と人間味のあるかかわりを積み上げてくださった証拠だなぁと、感謝した

生徒はもちろん、保護者からも信頼されている先生だった

今日はクリスマス
先生はプレゼントを無事確保できたかな?!




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