ねむれないバクくん
ねむれないバクくん
バクくんは、わるいゆめをたべるのが、おしごとです。
みんながぐっすりねむって、いいゆめをみられるように、わるいゆめをたべてくれるのです。
ヒツジくんは、いつも、オオカミにたべられそうになるゆめをみるそうです。
ヒツジくんは、こわくてねむれなくなりました。
バクくんは、そんなヒツジくんのわるいゆめをたべてあげました。
リスくんは、あつめていたきのみを、すべてぬすまれるゆめをみて、しんぱいでねむれなくなったそうです。
バクくんは、リスくんのわるいゆめもたべてあげました。
カナリアさんは、うたがうたえなくなるゆめをみて、かなしくてないてばかりいて、ねむれませんでした。
バクくんは、カナリアさんのわるいゆめもたべてあげました。
そんなあるよる、バクくんは、ねむれませんでした。
みんなのわるいゆめばかり、たべすぎたのかもしれません。
「でも、わるいゆめをたべるのは、ボクのしごとだから」
バクくんは、気にしませんでした。
でも、つぎのひも、そしてそのまたつぎのひも、ねむれず、バクくんは、すっかりげんきがありませんでした。
そんなねむれなくて、げんきのないバクくんのところに、ヒツジくんと、リスくんと、カナリアさんが、たずねてきました。
「バクくん、きみのおかげで、ボクらはいいゆめをみられて、グッスリねむれるようになったよ。ほんとうにありがとう」
ヒツジくんが、いいました。
「こんどは、きみがねむれるように、ボクらにてつだわせてほしい」
リスくんが、いいました。
「そこで、わたしたちにかんがえがあるんだけど」
カナリアさんが、いいました。
バクくんは、みんながじぶんのために、いっしょうけんめいかんがえてくれただけでも、うれしいとおもいました。
「みんな、ほんとうにどうもありがとう。みんなのいうとおりにやってみるね」
まんげつではありませんでしたが、そらには、きれいなつきがでていました。
ほしも、きらきらとかがやいていました。
バクくんは、ヒツジくんたちにつれられて、2本の木に渡されたハンモックのところにきていました。
「バクくんは、ハンモックにはいって、ボクとかずをかぞえよう」
ヒツジくんはさっそく、1、2、3、4とかずを、かぞえはじめました。
バクくんもヒツジくんにあわせて、ちいさなこえで、かずをかぞえはじめました。
「ボクはハンモックをゆするよ」
リスくんは、ハンモックを、そっとゆらしました。
「ねむれ、ねむれ」
カナリアさんは、そのじまんのこえで、こもりうたを、うたいました。
ハンモックがとまっています。
かずをかぞえるこえも、こもりうたも、もうきこえません。
みんないつのまにか眠ってしまったようです。
バクくんも、ヒツジくんも、リスくんも、カナリアさんも、とてもきもちよさそうにねています。
きっと、しあわせなゆめをみているんでしょうね。
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