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ワーママという言葉に感じる違和感の正体を掘り下げてみた

雇用される身の上で妊娠し、再び仕事に戻ると俗称ワーママになっていた。どうもこの言葉、しっくりこない。

違和感の正体に迫ってみた。

ワーパパという言葉はない不平等感


ワーママはあるけどワーパパは聞かない。
イクメンはあるけどイクウィメンはないように。
性別に役割が紐付くのに違和感がある。

なお最近よく目にするのはワーキングペアレンツという呼び名。働く親。
ペアレンツと複数形だけど、働くママ及びパパってことでシングルマザー、ジングルファザーを排除してはいない。
ペアレンツの部分はバッチリ!だけど、ワーキングの方はやはりモヤっとするところがある。



ワーママではない人も働いてないわけじゃない

ワーク、が現金収入を示唆するからややこしい。
収入が発生してないとしても、地域の活動、ボランティア、PTAなど、仕事と同様に人の役に立つスキル提供をしている人は多くいる。第一、日中家事や育児をしているだけで働いていないと括るのは違う気がする。

言葉として、ワーク=働く、という公式が染み付いている。
だからワーママという言葉自体が、ワーママでない人は働いていない、というイメージを付随的に放ってしまうことに抵抗を感じる。

現金収入があるけれど働いてはいない人もいる。資産があり不労取得だけで生活できる裕福な女性など。

こればかりは、もう、主婦主夫業以外に職業があるかないかで切り分ける言葉が必要なら仕方ないかもしれない。

ではどんな言葉ならよいのか?


兼業主婦という言葉がある。
専業主婦に対し兼業主婦。
まだ横文字がない時代に戻っただけです?

そもそも専業主婦という言葉があるから、それ以外を指す言葉が必要になった。
それが兼業主婦で、横文字にするとワーママ。
同じようで微妙に違う。

兼業主婦は、ふたつを兼ねている訳だから、主婦業という「仕事」を前提にしている。
こちらの方が受け入れられるかな。

主婦の仕事は今より幅広かったのだろう。
釜の火を起こす、服を仕立てたり繕ったりする、庭の手入れをする、漬物をつけたり乾物などの保存食を作る、近所付き合いも冠婚葬祭でひっきりなし。
その多くは現代社会では減っている。
火はボタンひとつでつくし、服はクリックすればすぐ届くし、マンションなら庭はないし、漬物も乾物も簡単に買えるし、冠婚葬祭には葬儀屋やブライダル業者など専門家がいる。
炊事洗濯掃除も、家電が発達した。
育児にも保育園含め優れたサービスがある。

専業主婦の持つ意味合いが昔と今とで違っているのかもしれない。そりゃ、火を起こし服を仕立てる時代に比べたら働き度合いは落ちるかもしれない。これだから専業主婦には、どこかしら楽しているイメージがつくのか?業、というほど仕事としてボリュームがない、と言ったように。見誤りそうだけど現代社会で家事は楽になっても子育ては難易度が増していると思う。

そもそも、ワーママに対してワーパパという言葉がないのが違和感があるのだから、兼業主婦に対して兼業主夫がないのもアウトだ。

専業主婦(夫)という表記は見かける。
これはまあ、まあ、配慮がある。

違和感の正体


分かってきたことがある。

違和感の正体は人それぞれだから(違和感をもたない人もいる)これはあくまで私の発見だけど。

ワーママというときのワーパパの存在。
兼業主婦というときの専業主夫の存在。
その言葉に隠れた、それ以外の人の締め出される感じがいやなのかもしれない。

逆に言えば。
男性は仕事だけしていたらよい、仕事と家庭の両立はワーママの皆さんの課題だ、といったプレッシャーを与えられている気分になる。
つまり、ママってやる事めちゃあるじゃん、仕事までやるのかい、できるのかい?と。

男性目線で見てみると。
仕事と家庭の間で苦悩するワーパパはいても、騒がれるのはワーママばかり。
専業主婦に比べたら専業主夫は肩身が狭い。
マイノリティに属すると言葉に追い詰められる。

ワーママは長いこと社会におけるマイノリティだったがもはや数字上はマイノリティではなくなってきているから尚そう感じる。

ただの区分に過ぎない言葉なのに、枠にはめられ義務を背負っちゃう感じがするのが違和感の正体のよう。



ワーママより良い言葉はあるか

ワーママよりは兼業主婦のほうが私は好きかも知れない。世の男性も兼業主夫を名乗るなら。しかしそれもない。

主婦と聞くとそもそも家のこと女性がやらなければならないことを示唆するから嫌な感じがする。主夫と漢字は書けても発音したとき多くの人は女性と思うだろう。

ワーパパという言葉が広まればワーママも別に抵抗ない。
結局、ワーママという言葉にまとわりつく男女不平等感にもやっとするだけだった。男女不平等感がなくならない限りどんな言葉を使ってももやっとしそうだ。

ワーキングペアレンツという言葉は男女包括していて、より心地はよい。ただ集団には使えるけど個人には使えなくて不便。
「わたしワーペなの!」
これじゃ意味不明になってしまう。

結局これという代替の言葉はない。
共に働いていたら、兼業ママ兼業パパ。
これでどうですかね。
片方だけ働いていたら。
専業ママと兼業パパ、或いは兼業ママと専業パパ。

頭がこんがらがってきた。

やっぱり、多少しっくりこなくても、ワーママという言葉は耳にスッと入るし、便利なんだと思う。敗北感はあるけど、代わりの言葉はなさそうだ。

そもそも、働いているないとか、子どもがいるいないとか、殊更に区別する必要のない世の中ならいいのになあ、と思うのだった。

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