『陸上自衛隊の対艦戦闘』

私自身は素人ではあるが、本稿はリトラル・コンバット・モデルを用いて陸上自衛隊の地対艦ミサイル部隊は敵艦隊に対する効果的な交戦手段となり得るのか?と言う疑問に示唆を与える事を目的としている。

陸上自衛隊の地対艦ミサイル連隊は、主に本部管理中隊と4個の射撃中隊から構成され、各中隊に発射機、弾薬運搬装填車、射撃統制装置、各4両が配置されている、
本部管理中隊に、捜索・評定レーダーと中継装置が12基、指揮統制装置1基が配置され1個射撃中隊で24発(=6発×4両)、1個連隊で96発の同時発射数である。

[敵艦隊(イージス艦含まず)との交戦]
(ダウンスケール・シナリオ)
敵艦隊は4隻で構成され各艦が2発を撃墜する防御力(同時対処能力)を持ち、10発の直接射撃ミサイルを搭載している。

各艦の耐久力は脆弱であり1発の命中で継戦不能に陥る。

艦隊側のターゲティング能力、防衛即応態勢、欺瞞能力発揮の度合いは共に平凡
(0.6)の数値を付与する。

陸上部隊は一個射撃中隊がこれに対処するものとしターゲティング能力は平凡(0.6)を付与する。

同時攻撃…
艦隊の損害3.84隻(0.96)

陸上部隊全滅(24/6)

FER 値0.16=海上部隊の勝利

殆ど同等の条件を付与した場合 同時交戦で海上部隊は陸上自衛隊の射撃中隊を打ち負かす事が出来た。

しかし実際には両者共に著しく有利或いは不利となるシナリオがそれぞれ想定される…即ち陸上自衛隊は先制攻撃を実質封じられている為海上部隊の先制攻撃を受けると言うシナリオを想定しなければならないし逆に海上部隊は沿岸域での戦闘に於いては陸上部隊の妨害やその他の要因からターゲティング能力や欺瞞能力発揮の度合いが低下するシナリオが想定される。

(シナリオ2)
海上部隊と陸上部隊のパラメータは同上とし今回は海上部隊が先制攻撃をすると仮定する、

海上部隊損害無し0(0)
陸上部隊全滅(24/6)

FER値0=海上部隊の完全勝利

同等の条件下では海上部隊の先制攻撃を許した場合、陸上自衛隊の射撃中隊は海上部隊に損害を与える事なく殲滅された、先制攻撃を封じられている事が如何に自衛隊を不利にするか分かる結果であろう。

(シナリオ3)
陸上部隊の先制攻撃(パラメータ同上)

FER値0.64=海上部隊の勝利

陸上部隊は最初の一撃で海上部隊4隻のうち3隻をキルしたが敵艦艇1隻の反撃に依り全滅した、先制攻撃の重要性が強調されると共に海上部隊は防御力(及び耐久力)が脆弱であっても陸上部隊に比し充分に優勢な攻撃力を持っているならば不利を覆し得る事が示されている、先の結果と合わせて海上部隊の努力は先づ偵察(敵よりも先にターゲティングを完了する)能力及び陸上部隊を短時間で壊滅させ得る攻撃力に割かれるべきである事を裏付けていると言えるだろう、結果として陸上自衛隊の射撃中隊は4隻程度の海上部隊が相手でも敵が大きな攻撃力を備えているならば如何なる交戦形態でも海上部隊を打ち負かす事が出来なかった、之は同等の条件下では陸自射撃中隊はこの様な相手と対抗出来ない可能性が高い事を示唆していると言えるが、然し海上部隊の攻撃力が之よりも低い場合や或いは海上部隊の防御力及び耐久力も結果に影響を与える。


今後、更にパラメータを変動させて、上述したのうなターゲティング能力や欺瞞能力発揮の度合いが変動するシナリオの計算も行なって行きたい。

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