『赤電で幽霊に手を掴まれそうになった話』

浪人の時に経験して、いつか好きな子に夜話してビックリさせよう。とか。飲みの場で話してやろう。なんて思ってたけどタイミング無くして新鮮さ無くなったからここにでも投下しておこう。

『赤電で幽霊に手を掴まれそうになった話』

 2019年、10月15日。朝トイレでふとカレンダー見て、「今日元カノの誕生日かぁ…」なんて思ったから今でも日付覚えてる。昨日まで暑かったのに、その日はめちゃくちゃ寒くて。その年、初めて薄手のコートを羽織って予備校行ったのもこの日。そんな日の話。
いつものように、赤電に乗って予備校に向かう。単語帳カバンから取り出して、普通に凹む。鉄壁持ってきたはずが、まさかのターゲット。しかも、ブックカバーしてないから可愛い犬の表紙。今日は単語帳見るの辞めよう。なんて思って携帯いじってたら、上島駅で、扉が閉まるのギリギリで女の人が乗車。この人に異様な違和感を覚える。この日くそ寒かったのに、この女の人はヨレヨレの半袖で明らかに部屋着。しかも、髪の毛がさっきまでプールの授業でもあったのかってぐらい濡れてる。そんでもって、俺の横に立つ。「あーあ。もし、映画の世界で、この人がゾンビだったら一番最初に俺が噛まれて、乗客逃げてくやつだ。」なんて空想をする。ただ、言葉にはできないけど この見た目以上に異様な雰囲気があった。毎日の事だけど、次の曳馬駅ぐらいで赤電は完全に満員電車と化す。この日も案の定。なのに、この女の人の周り360°丁度人1人分ぐらいスペースが空いてる。不思議。イヤホンしてたけど、曲が終わった時にあることに気づく。この女の人ずっと、「ゔー」みたいな唸り声?を上げてる。完全に終わった。とりあえず携帯の画面を上手いこと反射させて女の人の顔を確認しようと試みる。ここで、顔を確認できて驚く。唸り声はずっと続いてるのに女の人の口は全く開いてない。あぁ、本格的に聞こえちゃいけないものが聞こえてる。とりあえず、満員電車の中で半歩女の人と反対側にズレて、絡まれないようにそっぽ向く作戦。ただ、めちゃくちゃ右側から視線を感じる。あー。殺される。視線どころか、こっち向いてんじゃないのかってぐらい気配感じる。また同じように携帯使って確認するけどこっちなんて全く見てない。ただ、前に持ってるリュック?にずっとぶつぶつ何か喋ってる。この女。毎回俺の恐怖の最高点を更新してくる。何かしてないと小便チビりそうだったから、とりあえずカバンからターゲットを取り出して開く。その瞬間女のカバンから小さい手が伸びてくる。伸びてきた手がスローモーションに見え過ぎて、山越死を悟る。そして、気づいたら天国のお花畑の中に居ました。おしまい。

解説?じゃないけど。
この女の人が持ってたリュックが、リュックじゃなくて、高性能抱っこ紐?みたいので伸びてきた手は赤ちゃんの手だった。どうやら、赤ちゃんの定期検診の日だったらしくて、寝坊して家急いで出たから髪の毛も濡れたままだったらしい。周りにスペースが空いてたのは、赤ちゃんの顔が俺と反対側からは出てたらしくて周りの人は赤ちゃん居るから気を使ってたみたい。カバンに独り言言ってたのも赤ちゃんになんか言ってたらしい。途中から赤ちゃんがこっち向いてたせいで視線を感じてたみたい。手伸びてきたのは、ターゲットの可愛い犬の表紙のせいで、気に入ってたから表紙のブックカバーあげようとしたけど、お母さんに遠慮されたからあげることなく。お母さんと赤ちゃんは遠州病院駅で降りて行きました。

こんな話夜電話してて、ギリ笑いになるけど、飲みの場でしたら完全にシラケるからこのおもんないアカウントで話すのがちょうどいいか。浪人期、誰にも話してないこの手のしょうもない話沢山あるから、いつか誰かに夜な夜な中途半端な内容の話を電話でして、困らせよう。俺は話せてスッキリするし。

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