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《詩》 燃える

海が燃えるのを見ていた
赤く燃えるのを
夜は緑色に冷たく燃えるのを
あなたの投げ捨てた煙草の火が
海を燃やした
顔の無いあなた
胸から胸へ響く声と
煙草の匂いだけが
想い出を取り巻いて
さざ波のように
わたしの身体中の産毛を燃やした
わたしの全ての涙が燃え尽きるまでは
あなたの煙草の匂いを
纏っていられる
宇宙から見たら
星のように見えるだろうか
わたしはいつまでも泣いていたい