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《詩》 夕焼けの詩

    燃える色

こんなに美しい夕焼けのなかで
世界がゆるやかにゆがんでいくのだ
きしんでくずれて
こわれてゆく
ばらばらになる音が
ノイズミュージックへと変換される前に
まっさらな耳で聞きとろうと
君は
刻々と変わってゆく夕焼けの色を
見つめている
ふるえて
まるで一人きりのように
ぼくにふれることもなく
時代の炎を
世界が燃え落ちてゆくのを
ただ見つめている
ぼくの手のなかにも
熱くむしゃぶるいした夕焼けが
嵐を予言して
握られているのに