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《詩》夏の詩


      季節の風


日傘が翻って
みずうみに落ちる
それが夏の始まりの合図
波紋が広がるように
気温も湿度も
膨らんでゆく
昼も夜も
スカートも
窓も
天気雨も
弾けるほどに膨らんで
乱反射している
唐突に夏が眩暈を起こして倒れる
わたしも半透明な夏の肉体のなかで
ゆっくりとつまづく
わたしの手から日傘が落ちて
風に連れられて
夏の端へ転がってゆく
カナカナカナと
夏が途切れる