第三話⑧

ルルが見たのは、真っ白になった商店街でした。
「これが雪か！」
ルルは、雪を見たとたんに夢中になってしまいました。
舞い落ちる雪に、街燈のあかりが霞んでいます。やさしい光が、木や道路を照らしています。
ルルは、寒さのことやキャシーばあさんの言った ことなど、すっかり忘れてしまいました。
気がついた時は、もう雪の降る中を、おもいっきり飛んでいました。
「なんてきれいなんだ！」
ルルは、大声でさけびたい気分です。どんどん降ってくる雪も、冷たいと 感じません。
空に向かって高く飛びました。
柔らかい光に照らされた商店街が、おとぎの国のように見えています。
運河の橋も、うっすらと雪におおわれています。
「しまった！キャシーばあさんに言われたんだ！」
ルルは、橋を見たとたんに「雪の中を飛んだらダメ」って、キャシーばあさんに言われたことを思い出しました。