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養老公園へ桜を見に行く

 養老公園に桜を見に行ってきました。今年は天気も良く、気温が高かったため例年より桜の開花が早くなりました。そのため4月になったばかりですが、桜が散り始めている場所もあります。養老公園でも少し散り始めていました。
 なお、桜の開花状況は訪問時(4月1日)の状況です。

 養老公園の道中である258号線の西側には養老山地があり、山の斜面沿いに所々桜が植わっていてきれいでした。
 桜開花マップ2023によると258号線付近の桜の名所は千代保稲荷神社近くにある、平田公園と大榑川(おおぐれがわ)桜並木と本記事の養老公園くらいしか記載されていませんが、それ以外にも花見スポットはあります。

 ●アクセス
 電車 養老鉄道「養老駅」下車後徒歩約10分
 車  駐車場は養老公園内に点在。「養老の滝駐車場」は有料のため注意。

 電車でもアクセスは良いですが、車で来ました。
 梅林亭すぐ近くの駐車場に停め、橋を渡る手前に力士の石碑があります。

石碑の概要
 鬼面山谷五郎(きめんざんたにごろう)
 ・地元 養老町鷲巣出身
 ・186cm 146kg
 ・第13代横綱(1869年〜1870年)
 ・引退後1年足らずで亡くなる
 ・岐阜県で唯一の横綱

石碑のすぐ前には谷五郎の顔パネルがあります。
前を通った時は力士の石碑があるくらいにしか思いませんでしたが、行き先の有名人を知るのもいいですね。


養老天命反転地へ



養老天命反転地  
基本情報
・開園 1995年
・設計者 荒川修作(1936〜2010)
     マドリン・ギンズ(1941〜2014)
・天命反転の意味

天命反転とは、荒川+ギンズが追求し続けた芸術の形です。死へ向かう人間の宿命、天から授かった命、つまり“天命”を覆そうという荒川+ギンズの思想を具現化したものが養老天命反転地で、両氏の構想を形にした実験的なアートプロジェクトとなっています」。人間に眠っている本能や五感をもう一度目覚めさせて、もうひとつの新しい自分を作る、というのがテーマになっているそう。
https://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_00460/

・構成
 2つのメインパビリオン(極限で似るものの家、楕円形フィールド)と養老天命反転地記念館や昆虫山脈などのパビリオンに楕円形フィールド内には創造のへそ、精緻の塔などの建築物、白昼の混乱地帯、運動路などの迷路で構成されている。

・特徴
 平衡感覚や遠近感を混乱させるため、水平、垂直をなるべく排除している。

建物(陥入膜の径)が傾いているのが分かる。また歩くと地面の傾きも頻繁に変化し、平衡感覚が狂う。

・「楕円形のフィールド」内には日本列島が5つ隠れている。
・また、施設内は滑りやすいところもあるため、ミュージアム内で革靴とヘルメットの無料貸し出しを行なっている。


石碑を過ぎ、橋にかかると川と桜と山共演を楽しめます。(車が通るので撮影にはお気をつけください)

橋から見た桜

 養老の滝に向かえば川幅がもう少し広くなり、川の流れの勢いを感じられますが、ここでは芝の緑と桜のピンクと空の青のコントラストを楽しめます。 
 橋を渡り終え右側に行くと養老の滝に向かいますが、養老天命反転地はそのまままっすぐ。
看板に従って目的地を目指します。養老ランド、ちょっとした飲食店がある、楽市楽座を通り過ぎると、だだっ広い広場が見えてきます(養老公園)。山と桜と青空の取り合わせも今の時期ならでは、ですね。

養老公園

 大人770円を払うと養老天命反転地に入場できます。

養老天命反転地入り口すぐ

右側には養老山地少し奥には桜並木、そして左には入り口に一番近いアート作品である、「養老天命反転地記念館」があります。

養老天命反転地記念館入り口。
非常に色鮮やか。
内部も非常に色鮮やかである。

 中も非常に色鮮やかであり、また上写真の手前はピンク色に見えますが、光の当たり方が少し変化するだけで紫色っぽく見えたりと非常に不思議な空間です。
 さらに上にも同じような構造の突起物がありますが、これは写真を上下反転することによってまるで逆さ向きに立っているように見せることを狙っています。
 また、基本情報で書いたが、場所により地面から突起の先端まで高さが変わり、地面に起伏があるためとても面白みがありました。

上の写真で扉が開いていますが、外に出ると「昆虫山脈」という建物が目の前にあります。

昆虫山脈

頂上は高さがあり、石の大きさや形がバラバラなため、注意して登る必要があります。これは養老天命反転地の建築物全てに言えることですが。

昆虫山脈を横断すると、「極限で似るものの家」があります。

極限で似るものの家

不思議な形をしていますが、建物の屋根部分は岐阜県の形をしており、各場所に対応する地名が書かれています。
 地面には岐阜県に接する県(7県)の地名も書かれており、県境にある市町村の方は自分の居住地が書いてあるか探すのも面白いかもしれません。
 なお、この施設が完成したのが1995年のため、書かれている市町村は平成の大合併以前のものであるため、馴染みない地名が多かったです。

建物内には冷蔵庫やキッチン、トイレなど普段の生活に欠かせないものが埋め込まれている。

 建物内は迷路となっており、場所によってはかなり狭い場所もあります。また上の説明でも書いた通り冷蔵庫やキッチンなどがありましたが、完成から28年経っているためか、写真でも分かる通り汚れや錆が目立ちました。
 迷路を進み反対側に出ると少し葉桜でしたが、綺麗な桜並木に出ました。

一部葉桜となったが、花吹雪が見れた

 このまま桜並木を進んでも良いですが、施設の方に戻ります。「極限で似るものの家」を抜けると、「精緻の塔」に着きます。

精緻の塔
かなり急な坂となっている。

 地面の白いコンクリートには、先ほどの建物同様、文字が書いてありますが、途中で英語になったかと思いきやすぐに漢字?になります。しかしいくつか文字を見ると漢字とは少し異なり、おそらく中国語で書かれているのでしょう。中国銀行や北京飯店と書かれているため、中国だと思いますが、どこかわかりませんでした(日本にも北京飯店という飲食店が全国にありますが、中国であることは確かです)。

精緻の塔から少し右に行った所。
山が綺麗に見える。

 赤茶けた突起物に何やら瓦のようなものが乗っています。赤茶けた部分は滑るので注意が必要です。
 ただ、この所には触れずまずは精緻の塔のさらに奥の頂上部分に登ります。
 登っていくほど角度が急になり、普段あまり運動しない人にはきついでしょう。
 なんとか頂上まで来ました。養老天命反転地の施設全体が見渡せました。

来た所を振り返ったところ

上の写真から分かる通り、「精緻の塔」と「極限で似るものの家」さらにその向こう側の濃尾平野、横には桜並木が見え、眺めが良いです。

上からは「楕円形のフィールド」が一望できる。

 また、「楕円形のフィールド」内にはさまざまな作品があるが、下に行くにはかなり急な坂を下らなければならないため、上から見るだけでも楽しめます。
 写真手前の白い建物が「白昼の混乱地帯」。ここにもソファがある。画面中央の黒い建物が「もののあわれ変容器」。その横には大きな迷路の「宿命の家」があります。上から見ると岐阜県の形をしています(正確には木々で隠れて見えないが、パンフレットで見ると岐阜県の形をしていた)。楕円形のフィールド」壁面の模様の辺りが、「運動路」で、下にはちょっとした迷路やソファ、キッチンなどがあります。また壁面には中に入る入り口があり、中は道が石で足元が悪いです。

フィールド内を進むにあたって、赤茶けた突起物と瓦のようなものはとにかく滑るためよく注意した方が良いです。
 また進んで行くうちに方向感覚が狂うので、入場時に配布されたパンフレットを見ながら進むといいです。

上から見ると桜と山と青空が綺麗に映えていた
「運動路」
模様の意味は分からず。

 フィールドの下の方も行ったのですが写真撮るのを忘れた素材がないため、省略します。
フィールドの端を辿っていくと反対側の運動路にたどり着きます。ここに来るまででかなり冒険したという感覚になりました。
 さて、ここまで来ると眺めがまた違います。

運動路辺りから見た眺め。
左側にあるのは「陥入膜の径」。

広大な平地と広い空が見渡せます。ここから下を見てもかなり起伏に富んだ場所であることがわかります。

楕円形のフィールドの縁から見た景色

 桜のピンクと平野、木々の緑、空の青の景色を見ることができました。

枝垂れ桜とソメイヨシノなどさまざまな種類の桜が見られる。

養老天命反転地を出て、楽市楽座も抜けると、桜並木が見られます。桜の種類はよく分からないですが、何種類かの桜が見られるようです。

 ここで養老天命反転地の感想。初めて来たため、様々な建物に圧倒されて不思議な世界に来たようで、体でも視覚でも楽しめた。ただ完成から28年経っているためソファやキッチンなど置いてあるものの汚れが目立ち、非常に狭い通路では汚れるのを躊躇い入らない人もいるのではと思った。  
 ただ、これだけ広大な敷地内で、不思議な作品の中を周れるので、特に子供には良いと思います。

養老の滝へ

養老の滝に向かいますが、楽市楽座から養老の滝まで2km弱、標高差140m以上とちょっとした登山になります。

川沿いを進む。
マツと桜と山を見ながら進む。

 しばらく進むと坂の角度が急になりました。途中階段も現れ、道のすぐ横に川が流れてるようになります。

ごつごつとした岩場に川が流れる。

なんとか養老の滝に到着しました。

養老の滝に水が激しく流れる様子がわかる
養老の滝の石碑と養老の滝

 ここからもう少し上に行くとさらに滝が近くで見えます。しかし人が多く集まるため、なかなか良い写真を撮るのは難しいかもしれません。

養老の滝が間近で見られる。

養老の滝は高さ約30m、幅約4mと決して大きいとは言えない滝ですが、日本の滝100選に選ばれていたり、孝子伝説の舞台となった滝です。  


*孝子伝説

 2つあり、どちらも元正天皇が717年に元号を霊亀(れいき)から養老に改元した話だからそれまでの経緯が違う。 
 1つは養老に住む貧しい父子がいて、樵(きこり)である息子がある日、滝を眺め「あの水が酒であったら」と思っていた時、足が滑る。その時酒の香りがしてきて、本当に岩の間から酒が出ていた。そこで父のために持っていたひょうたんに酒を入れて持ち帰り、父に飲ませると喜んだ。
 この話を元正天皇が聞き、息子を役人にし元号を養老としたという話です。

 2つ目は、717年に元正天皇が養老へ行幸した際、美しい泉が目に止まり、手や顔を洗ったところ、肌が滑らかになり、痛みが消えた。また、水を飲んだり、浴びると髪が生え、目が見えるようになり病気も治った。
 つまりこの泉は老いを養うことができるようになったため、「老いを養う」ため「養老」と改元したという話です。

改元の元となった話が二つあり、調べるとどちらも出てくるため2つの伝説があると考えられます。なお、養老地のホームページには2つの話が合体したような話を孝子物語として挙げています。


 孝子物語の1つ目の物語から養老町は瓢箪が有名です。というより、この物語で樵がひょうたんを持っていたため元々瓢箪が栽培されていたということかもしれませんが。公園内にも瓢箪ランプ館という施設があります(入場料100円)
 また、同様に1つ目の物語で子供が親に孝行を行なったことから、養老公園には親孝行のふるさと会館という施設があり、瓢箪や孝子伝説、また養老町の名産品など様々なものが展示してあります(入場料無料)。

 話は養老の滝についた時に戻ります。養老の滝の前には写真を撮る人が集まっていて、ちょっとした飲食物が売っているスペースもありました。写真を撮った後、さらに上の養老の滝駐車場からの景色を見るため向かいます。
 養老の滝駐車場は有料ですが、5分ほどで養老の滝に行けるので時間がなかったり、体力に自信のない方はここを利用してもいいかもしれません。

養老の滝駐車場の手前にあるベンチからの眺め。
眼下には木々と桜、そして広大な平野が広がる。

 写真左端にある黒いロープは、養老ロープウェイが通るロープです。しかし老朽化のため2015年から運休しているそう。

養老の滝駐車場からの景色。

 駐車場からは桜と数色の木々と空の青が非常に綺麗に見えました。さらに登ると養老山頂上まで行けるそうですが、登山しに来たわけではないので戻ります。 
 元の道を戻るのではなく、養老神社や土産物や飲食店などが立ち並ぶエリアに向かいます。
 ただ、途中の道はかなりの山道で、本当に合っているのか不安になりながら進みます。

金刀比羅神社
養老神社

前に鳥居が見えて来ました。さらにそのすぐ横には金刀比羅神社がありました。
 金刀比羅神社というと香川県琴平町にあるものが有名ですが、そこは総本宮であり、全国に約600社あるそうです。階段は登っていませんが、階段の奥には祠があるそうです。
 養老神社へ。鳥居の手前で手を清め入ります。参拝し奥に行くと名水百選である菊水泉があります。

菊水泉

孝子伝説で、美しい泉(美泉)は菊水泉という説もあります。https://www.tagizou.com/main/news/bisenronsou.html

養老サイダー

 ここから下に下っていくと養老サイダー株式会社跡地があります。養老サイダーは養老町の名産で、菊水泉の水を使っているのが特徴です。
 製造元の養老サイダー株式会社は1999年に社長が亡くなり、翌年から生産を中止し、2014年に廃業となりました。というのも養老サイダーの製造工程は代々社長しか知らないため作ることができなくなりました。 
 しかし2017年、養老に改元から1300年の節目にあたることからクラウドファンディングで資金を集め、現在は三重県桑名市の鈴木鉱泉が製造しているそう。


 ここから下って行くと、昔ながらの雰囲気の店が並びます。団子や五平餅といったおやつ類、うどんや丼もの、カレーといった食事系、養老サイダーや瓢箪を使った食べ物や置き物?などの土産店などがあります。 
 このような店はかなり貴重なため、今後も残って欲しいですね。

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