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【エッセイ】蛙鳴雀噪 No.4

 娘には、なぜ、同じ写真を使うのかと訊かれ、友人には文字が詰まっていて読みにくいと指摘され、載せたい地図の写真が撮れず……。
 八方塞がり。
 吉田キラさんのお嬢さんに『競う子』を投降していただいたとき、行間の多さにおどろきつつも、パソコンの画面で読むのに最適な書式であることは理解したのですが……。適応能力に欠ける性癖を改めることができず、顔を合わせれば罵りあう夫に投降してもらうさいに、『永遠の待機中にリミットなし』は、いつもの自分の書式にしてもらいました。
 改行が少なく、行間の少ない小説が好みなのです。縦書きで、ページを開くと、辞書のように字がつらなっている、夫に言わせると、「こんなもん、誰が読むねん!」というような書式の本が愛読書?なのです。
 大昔、編集者さんに、「会話はできるだけ短く、会話と会話の間の地の文は3行までにするように」と注意されて以後、ブンガクと無縁に生きてきたはずの私の脳細胞はなぜか、詰め詰めの小説を手にとると、「おおっ」となり、伏し拝みたくなるのです。
 1ページ読むと眠くなるので読み終えることが永遠に不可能なガルシア・マルケスの『百年の孤独』はいつまでも新品のような状態で手元にあります。私にとっては、眺めるためだけのありがたい本なのです。
 とはいえ、いまのままではあかんやろと反省し、秦野亜利寿をイメージさせる球体関節人形の別角度の写真を使いました。赤茶けているのですが、斜めの顔なのて、これでいいかと……。わが家のひとり息子のチャワワも横顔にしてみました。
 書式は、章の区切りを倍増して、改行を多くしました。何も目新しくありませんが、いまできることはこれくらいなのです。もし、お読みくださっておられる方がいらっしゃれば、読みづらくて申し訳ございません。
 夫に言わせると、頻繁に投降するのは他の人の迷惑になるのだそうです。なんと言われようと、自分では投降できないので、敵に頭を下げるしかありません。「おれを殺す気か」と夫はわめくのですが、こんなことくらいで殺せるのなら、完全犯罪だと思いませんか?

 


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