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【エッセィ】蛙鳴雀躁 No.32〈タカラヅカ〉

 宙組公演「ル・グラン・エスカリエ」6月27日午後の部観劇。
 試練は人を育てるのだと、宙組のショーを観て強く思った。逆風の中、舞台に立てなかった9カ月余り。一時も無駄にすることなく、精進していたことが如実にわかる宙組生の歌とダンス。なんども涙をぬぐった。キキちゃん(芹香斗亜様)を筆頭に、誰一人、一瞬の気のゆるみを見せない。みなの凛として立つ舞台姿にどれほど多くのタカラヅカファンが力づけられたことか、安堵したことか。

 午後の公演にもかかわらず、満員の客席の熱気もスゴかった。

 110周年を記念しての選曲であったため、耳に馴染んだ名曲が次から次へと繰り出される。
 若手の男役三人、瑠風くんも鷹翔くんも風色くんも歌が上手。もちろんダンスも。トップ娘役の春乃さくらちゃんはなんでもできる。天彩峰里ちゃん、目立っていたよ。

 長くタカラヅカを愛したきた者の個人的な好みで言わせていただくなら、かつて峰さを理さんが歌ったシャンソンの「愛の叫び」をキキちゃんが魂で歌いあげてくれたこと。そして、ズンちゃん(桜木みなと様)が鳳蘭さんの「セ・マニフィーク」を軽快に歌ってくれたこと。

 組長の松風輝様に、感謝します。空白の期間に、退団したいと申し出る生徒さんも少なからずいたと思います。青春のすべてといっていい、時間を稽古に費やしてきたにもかかわらず、原因究明もなされないまま劇団がお詫びの会見をしたことも、不本意であっであろうことは想像に難くありません。
 松風様の組み子を思う強靭な意志の力がなければ、ここまでくることは叶わなかったと思います。
 
 東京公演のチケットは大劇場同様、即日完売したと聞きました。 
 ヨカッタ、ほんとにヨカッタ!! ビバ、宙組!!

 どうか、宙組生の皆様が、健康に過ごされることを祈り願います。

 斎藤吉正先生作詞、吉田優子先生作曲の主題歌も素晴らしかった。

    清らかな宙が私を誘う
    気高く 誇らしく
    天翔ける階段へ
    今、踏み出そう
    それは、Le Grand Escalier

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