#毎週ショートショートnote[2㎝アパートメント]
おそらく東京中を探してもここより古いアパートメントはないんじゃないか
恭平がこのアパートに身を寄せたのが一ヶ月前のことだ。地方がいやで都会で仕事をしたかった
といえばそれまでだが実家との甘えた暮らしにけりをつけたかったのだ。根津の下町あたりを歩いていると 古ぼけた たばこ屋を見つけた。中には丸椅子が有り一服出来る、恭平はたばこを買い求め まるで昭和にタイムスリップしたかのような店の中を眺めていると 『空き室あり』の張り紙、しかも貼って随分経つのか色褪せていた。恭平は 昔は たばこ屋の看板娘といわれたかも知れない、 いやどう見たってヨーダにしか見えない皺クチャ婆さんに声を掛けた。
「あの~ 空き室ありと貼ってあるのですが…」
ヨーダ婆さんは糸のような目で恭平を一瞥して言った。
「兄さん 部屋をお探しかい、ここの2階だよ 一部屋は住人がいるが 後の三部屋は
ここ三年は借り手が無くてね 風呂なしだけど 私の手料理で良かったら晩ご飯位は作ってやるよ どうせ一人も三人も手間は変わらないからね、ただしだよ 店の留守番と買い出しやって貰うよ」
恭平はははぁ~んと思った。なんだ住ます代わりに小間使い扱いか、どおりで住む奴がいないわけだ。兎に角今日のねぐらが欲しかった 恭平は二つ返事で「取りあえず宜しくお願いします」と頭を下げた。
「前いた住人が置いていった布団が有るからそれ使いなよ、あたしゃ1階に住んでるから それじゃ宜しく」
朝が来て布団の中でまどろんでいると背中のあたりをコツコツとたたく音に目覚めた また同じようにたたく音、
急いで階下に降りていくと ヨーダ婆さんがほうきの先で天井を突いていた
恭平を見てこう言った
「床板が2㎝のベニア板なんでね
用事が有るときゃ 下からこうして突くからね」
婆さんにっこりして
「朝ご飯 食べるかい?」
恭平はぼやけた頭で
「ハイ いただきます」
こうして 2㎝床板アパートメント(ヨーダ付き下宿屋)の生活が始まったというわけです……。
つづく……てかっ😰
たはらかにさん大幅の字数に😰🙏
落ちを見つけられないまま こんな字数に しかもつづくって何だ!😝
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