焼き物の里を訪ねて
私の秋の過ごし方
穏やかな秋晴れの日、黒髪山陶芸村へと車を走らせた。
佐賀県伊万里市大川内[伊万里焼の里]を抜け山内町方面に車を走らせること15分、目指す案内看板のある陶芸村入り口に到着。
車は 山道を抜けると陶芸家のアトリエが点在するエリアへと向かう。日本の唱歌にある[里の秋]の歌そのものの山里の風景だ。コスモスは揺れ、薄はなびき 柿の葉は色づき 陶芸の里は静けさの中にあった。
目指すは桃林窯
窯開き前で作陶中の為あいにくのお休みでしたが 奥様の計らいで中に入れて頂いた。
淡雪のような白釉の刷毛目
荒々しさと素朴なホルム
唐津焼きとはまた異なった唯一無二の作家さんである。
私が気に入っているのは器の底が黒黄味色を帯びてざっくりと焼きしまった土の色だ。荒々しくも有り優しさも有り、なによりも手触りが柔らかい。
私は一目惚れして毎年1個づつ買い求めていた。
1個買いなんて少し恥ずかしいが、また来年ここに来たいから、同じ湯呑みでも毎年少しづつ形が異なるのが、また楽しみだ。店の中のレイアウトも素敵で写真を撮
ればどれも絵になる。
また来年と誓い店を出る。
ひょっとすると器だけではなくこちらの奥様に会いに来たいのかとも思う。年を重ねても益々美しい奥様の淹れる珈琲とチーズケーキ、店に併設された森のカフェで是非今度はゆっくりと秋の一日を過ごしてみたい。
桃林窯を後にして上へと車を進めてみた。杉の木立を抜けて辿り着いた先は、乳待坊の展望台、なだらかな山脈にあって突如として現れる起伏の激しい岩山がそびえ立つ、
秋の黒髪山は夕暮れ間近の頂きに柔らかい陽射しが差し入り清々しさに溢れていた。
年を重ねての楽しみは、季節の移ろいを楽しむことである。秋は特に心惹かれる、老いてゆく身が一瞬でも輝く時が有ることを自然は教えてくれる。
また来年も会いに来るからと誓う。
乳を待つ吾子に寄り添ふ石蕗の花
読んで頂きありがとうございました。
短い秋を少しでも楽しんで下さい。
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