漫画感想:|怪物《けもの》事変
現在22巻まで出ていてまだ完結していない漫画です。以前アニメになりまして、その時に見ました。面白かったなと思っていて先が気になっていた。
あらすじは、発行者による作品情報をコピペ↓
田舎の静かな村で、家畜が次々と変死するという奇妙な事件が起きておりました。事件解決のために東京から呼ばれた「隠神」という派手な格好の男。調査の途中で男は、村に住む「泥田坊」と呼ばれる不思議な雰囲気の少年と出会うのでございます。数奇なる怪物物語、これより始まり始まりーー。
いや、これだけだとよくわかりませんが?発行さん!
やれやれ。
知らない人のために補足しよう。妖怪が現代社会に密かに潜んでいて人間と共存しているという話で、主人公の泥田坊と上で書かれている少年は名前を夏羽といいます。人間と屍鬼、殺しても死なない鬼のハーフです。この他、蜘蛛の妖怪と人間のハーフ、雪女ならぬ雪男、狸、狐。メインどころはここら辺の妖怪が出てきます。
あらすじよりも世界観をもうちょっと補足しておこう。
日本では、狐の妖怪が京都を中心に全国的に勢力があり、また、たぬきの妖怪が四国を中心に勢力があり、日本を二分しているという設定です。そして、起承転結で進むうちに、現在22感で 転 の部分に入っているのですが、
えっと、こっからネタバレしますね。
転では 狐の妖怪で京都出身なのだが一族のはぐれものである狐が東京で権力を握り、妖術で日本をのっとってまいます。
チーン……
な、なんか私が書くとつまらない話みたいやん!でも、面白いです。嘘じゃない。少々責任を感じつつ前へ進もう。
妖術で日本を乗っ取ると書くと、馬鹿も休み休み言えという話で、子供騙しな話だなと漫画なんて普段は読まない大人の方はおっしゃると思いますが、まぁ、漫画なんでね。
ただ、これを現実的な言葉に置き換えて作品の22巻付近での雰囲気をご紹介すると、クレイジーな独裁者に完璧に国を掌握されてしまった状態で、人間の政治家も国民も基本的にマインドコントロールされている状態です。
そして、はぐれ狐は、東京を中心に他の妖怪を携え一大勢力を構えているのですが、それに対抗する狸は四国を中心にゲリラ的な抵抗活動を行っており、日本は内戦状態。
そんな時に我らが夏羽ちゃんがどこにいたかというと、爆発で吹っ飛んで、アジアのとある島国に飛ばされ、再生可能人間なのだけど、まぁ、3年ぐらい死んでました。とゆうか、ゆっくり再生しておりました。そういう人なのよ。ごめんね。
あら、かばねちゃん、今回は3年もかかったの。大変だったわね。
かばねちゃんが何度も死ぬことになれている読者の我々はそんなふうにのんびりしていたのだけど、そうこうしている間に日本は転を境にとんでもない展開になってしまっているのです。
ここで、けもの事変はじめ、少年漫画でこれ面白いなと思ったもののポイントをここに偉そうに書いてみよう。
えへん!
と、その前に、推しの子であびこ先生が言っていたことから類推するに、週刊の少年漫画を描かれる作家の皆様、および関係者の皆様、大変お疲れ様でございます。人間の行う仕事量ではないとあびこ先生より聞いております。せめて月刊ならまだマシなのかしら?そんな大変な作業をしながら面白いものを生み出されている方々に敬礼!敬礼、やめ!
で、何の話でしたっけ?そうそう偉そうに書いてみようという話ですね。
転 の展開がどこまで奇想天外であるか、これに尽きると思う。
少年漫画というものも昨今では何パターンかに分かれるが、型はあるのである。
最初っから、現在の現実とは大きくかけ離れた世界から始まり、どうしてこんな世界になっちゃったのかを徐々に明かしていくタイプの作品と
最初は現在の現実とは大きくかけ離れてはいないのだけど、転 の時点で大きくかけ離れてしまう。この時物語部分の 起承 は 転へと続く 助走部分になるわけですね。
物語の時間軸というのは いろいろな設定の仕方があって、最近は 現在時点から進みながら、所々に未来を入れて、謎要素を高める方法がわりとよく使われるのではないかなと思います。けもの事変は現在と未来を混ぜることなく、前半は謎の伏線を貼りながら進んでゆきます。わりとシンプルな筋立てです。
前半はメインキャストの過去と現在を交差させながら、出自の問題が解決されながら進む。蜘蛛ハーフの子、雪男と続いてだんだん仲間意識が浸透してくる。それから、狸へと進む。メインのかばねちゃんの出自に関しては、後ろの方にとっておいてありました。それから、敵の狐の出自に進んできたところで起承の 承 が終わりいきなり 転になり 転の冒頭で メインのかばねちゃんの出自が明かされるのでした。
この承 から 転 への 展開がダイナミックだったんですよねぇ。
多分、細かな設定は繋がってなかったから、100点ではない。だけど、大枠の展開はちゃんとできていたから、伏線とその回収への繋がりが良かったと思うんですよ。それと、少年漫画のお約束である、仲間意識の構築でしょうか。
かばね君というキャラクターが徐々にみんなに受け入れられて、そして、英雄化されていく過程も良いと思います。主人公が読んでいる人たちに愛されなければその漫画に未来はないですから。
もう一つ、一番のポイントは、味方、仲間の危機。
かばねくんはじめ、かばねチームに愛着を持たせることに成功している状態で、読者はすでにかばねちゃん陣営にいて共感しながら読み進めているわけですが、ここで、まぁ、悲劇というかピンチが起こるべきなのですよ。盛り上がる物語としてはね。ハッピーエンドマニアの私はこれが下手くそなわけですが。
こっからネタバレしますよ。
親代わりに蜘蛛と雪男とかばねを育ててくれた狸が、かなりのメインキャラなのですが、この人がキツネに捕まっていた。しかも、片手と両足を取られてたんですーーーーー!(21巻最後で判明)
漫画読んでる人ならわかると思いますが、可哀想な子供達 蜘蛛と雪男とかばねを拾って守ってきたイヌガミさんは我らにとっても大切な人なわけで、その人が右手のみ残された状態で捕虜になってるの見せられると、アドレナリンが沸るわけですよ。
かばねーーーーー!
そして、殺されても死なない、こいつなら倒してくれるだろうという主人公が日本に帰ってくるのだけが一縷の望みになるという。
もう1点、少年漫画を魅力的にするのは、主人公のキャラの人間性、これには出自に悲劇がありそれでも負けずに頑張る健気さ等、読者にウケる要素かもしれません。ナルトも可哀想な子供だったしね。プラス、桁違いの強さじゃないかなぁ。
かばねってめちゃくちゃ強いのですよね。何せ殺しても死なない人なので。
出自ではバケモノ扱いされて、友達も家族と呼べる人もいなかったかばねにだんだん友達や家族と呼ばれる人ができて、良かったなと思ってたら日本がとんでもないことになっちゃって、それで、魚に乗ってかばねが日本に帰ってきて、みんなで頑張るという、そういう漫画です。
……
いや、メチャクチャなこと言ってるって言われても嘘はついてないから。コミック買って、読んでみて、ね?
22巻まで読んで、一番盛り上がってくると思うぜ!じゃあな!
まとまりのないままに。本日も用事がございまして。失礼!
汪海妹
2024.11.16