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最近、この人に嘘をつかれてるかもと思った瞬間

あれは何の話をしていた時だろう?疲れた、疲れたとでも言っていた時だったろうか?

「そんな疲れた疲れたいうのはやめな。まだ若いんだから」
「何が若いんだよ」

それで、自分の年齢を教えたのです。

「え?うそ?見えない」

そして、相手は実年齢より10歳ほど若く見えると言いました。いや、それほどでもと寝っ転がりながら テヘヘと 照れていたその次の瞬間

いや、嘘をつかれているかも

と、突然思った!寝っ転がりながらである。

一体、どういう状況なの?って話ですが、もう長年通っているエステで、オイルマッサージを受けていたのです。このエステ、通い始めた頃はもっと安かった。中国の物価高騰と最近は日本が円安だし、日本円換算すると

「たかっ!」

と思って、ぶっちゃけ足を洗いたいのだが、彼奴等も生活かかっているから必死である。あの手この手でずるずると関係が続いている。

どうよ、この関係。
私はエステのお客さん。相手は中国人エステティシャン。
そりゃ、若く見えるっていうわな。

チーン……

それから自分を振り返ってみる。自分のお客さんがおじさんだったとする。「え?*歳なんですか?全然見えません!」

……言ってるな。全然言ってるな。
(ちなみにこの全然はこの副詞の割と新しい使い方で、昭和初期?もとは誤用である)

つまり、私は別にそこまで若く見えるわけではないということだ。しかし、思うに自分がおじさんに若く見えるという時、ちょっと大袈裟に騒いで見せる部分もあるが、全くの嘘を言っているわけではなく、確かに年齢より若く見える方が最近増えてるよ。きっと

①医学の発達
②栄養が良い
③ご自身の運動する等努力
④仕事してて溌剌としてる

こんな感じの原因があるだろう。あと、着こなし。
だから、自分だって全然なんも根拠なく若く見えると言われたわけじゃねえだ。そういうことにしておこう。

年齢ごとのクリティカルヒットを出しやすい決め台詞というのはある。営業職の皆様、ペンを取りなさいませ。
まず、中高年にはこの「若く見える」がかなりの確率で効く。しかし、そんなのに気づいているのはアチキだけではなく、これは割と知られている事実で、営業職のお兄さんも、お姉さんも、水商売の方たちも口を揃えて「若く見える」をあっちでもこっちでも言っているだろう。

ここでこの点にご注意ください。
まずは水商売の方!(そっから行くのかよって話だが、言わせてくれ)
おじさんはな、ここだけの話、水商売のお姉さんの発言には、刑事のように裏どりしてるぞ。

チーン……

もちろんみんながみんなではない。しかし、その水商売にかけている金額が、え?と思うくらいの金額の方は、水商売のお姉ちゃんが複数のお客さんを持っていたとして、もし可能ならそのカスタマー同士で情報を確認するのだ。
というか、流石にえ?と思うくらい貢いじゃってる状態だと、水商売のお姉さんもそりゃプロだから私がいうまでもなく

「あなただけよ」

ということで、Aの情報がBに、Bの情報がAには渡らないように気をつけるし、変な話、水商売の世界も疑似恋愛なんだろうな。他のお客さんとはある程度距離を置いて、二股かけない律儀な人もいる。

では、え?と思うような金額を貢いじゃうような関係に至らない、まだまだ軽い関係だったとしよう。

「すっごい若ーい!」
「え、そう?」

男子というのは意外と繊細というか、努力家というか、なんというか、その発言の裏を健気に求めるものなのである。
この前、とあるガールズバーで初めて会ったミミちゃん(便宜のために名前設置)にすっごい若いと言われて、しばらくその余韻で俺の毎日、ラララだったなと。

しかし、本当だったのだろうか?

そして、また来ました。ミミちゃんのいるガールズバー

「あ、いらっしゃい」
「あ……」

あの日のミミちゃんは酔っ払ってもいたし、テンション高い日だったし、可愛くて若い子が身近に思えたけど、今日はむっちゃ素っ気ない!
しかし、カウンターに座った。ミミちゃんは相手にしてくれるけど、でも、その日は忙しい日で、他にもお客さんがガンガン来る。そして、家政婦はみた!ではなかったが、サラリーマンおじは見た!

「やだ!うそ!すっごいわっかーい!」

なんだ、誰にでも言ってんじゃん!!
がーん、がらがらがらがら
(↑サラリーマンおじのらららな毎日が崩れていった音)

ガールズバーのママでもなんでもないが、ミミちゃんに言いたい。
おめ、わきがあめんだよ。そんなんじゃガールズバーの経営はできねえぞ。
夢を見せるなら、墓場まで見せろ。

えっと、なんの話だったっけ?

つまりは、ウッソ、わっかい、はクリティカルヒット率の高い技ですが、取扱注意でもあるのよ。世の中ね、純真な中高年もいるけど、私のように疑り深い中高年もいるわけ。

だから、使う以上、墓場まで夢を見させてくれ。
自分を若いと思えるとみんな嬉しいんだ。だからこそ悪意のある嘘はつかないでくれと世の中のピュアな中高年代表としてここに記しておこう。

それでは、この技はどう使うべきなのか。

世の中には、自分は若いと思っている、思い込んでいる、チャーミーな民族がいます。年若チャーミー、長いな、年若チャミ族と名付けよう。こういう方達はまずこんな話し方をする。

「いや、こんな歳まで働いていい加減退職したいよ」
「おいくつなんですか?」
「70こしてる」
「え、わっかい!」

こういう人は本当に元気で若いし、若いと言ってもらいたいからふってくるので迷わず若いと言ってあげればよい。そして、こういう自分から年齢を言ってくる人というのは、まず絶対に若いと言われたことへの裏どりはしません。自分で自分を若いと思ってるからです。

そうではなくて、こちらから興味があって年齢を聞いた場合、

「失礼ですけど、おいくつですか?」
「45越えてます」
「え、うそ、30代に見える」

悩ましいのがこういうやり取りだ。こういうのめっちゃ嬉しいやん。つい言ってくれた相手に何かしてあげたい気になるねん。

しかし、それだけにふと思う。営業トークだろうか?

「また、そんなそんな、うまいな」
「いやそんなことないですよ。お若く見えます」

言ってくれる気持ちは嬉しいが、営業トークだなと思われて終わる。
クリティカルヒットは相手を見ながら手法をかえるのがミソだ。
例えばこうである。

「もう40越えてますからね。きついですよ」
「え?」
「ん?」
「……あ、いや。失礼しました」

これだけ。若いとは言わない、が、若く見えるを、なんと表情だけで悟らせるのである。これ、気をつけないと、恋愛っぽいモヤモヤと同時に踏むことになるので、相手が素敵な人じゃなかった場合はやらん方がいい。

あの、え?はなんだったのだろう?

不思議なモヤモヤが残り、相手はあなたにもう一度会いたいと思うかもしれない。もう一度会いに来てくれたら、見積書にサインもらえるかもしれない。
男女でなら使える、男男、女女では使えないけどな。

ちなみに誰にでも同じ手を使うとバレバレなので、さりげなく何パターンも自分に仕込み、しかも、わかりやすいのが好きな相手には、「わっかいですねえ」と明るく声をかけよう。しかし、そこは、友達っぽく言った方がいい。なぜかといえば、あなたには意味ありげに声をかけている他のクライアントがいて、その人がもしかしたらどっかで見ているかもしれない。社交辞令で言ったように見えるのは友達っぽいノリである。

そんなとこまで計算してやってんのかよって思わないでほしい

できるかどうかと
やるかやらないかは別の問題である。
わしゃ、水商売ではないし。
ただ、全く使ってないかといえば嘘である。
新規契約にも継続契約にもマクドナルド曰くスマイルゼロ円の精神は重要である。

お笑い芸人、乙女共著
2024.06.01


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