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3人のマザコン

エッセイを書くのに一生懸命になっちゃって、書きかけの小説がじぇんじぇん進まなくなってしまったので、とりあえず書きかけの短編を書き上げるまではエッセイを封印しようと決めてましたが、それでもじぇんじぇん進んでいない。

それで、今日はあまり本気で書かないエッセイを書こうと思った。

この前、ちょっとホクホクしたことがあった。深圳は夏だし、暑いし、温暖化やばいし、熱中症に何度なりかけたか、しかし、ホクホクという副詞を使うとわしゃ、どうしても焼き芋を思い出すな。

で、焼き芋が出てくるわけではない。ホクホクとしみじみと私を癒したのは、やはりこの人、もちろん主人ではない。

息子である。

2人で道をてくてくと歩いていた。ソフトに反抗期に入っている中1男子と、反抗期を何かのイベントだと思っている中年女性の二人連れである。うちの息子は、別にクールな人ではないですが、(外面はややクール)口を開けばあまり意味のないことを言っているわけ。我々の会話は5銭にもならないような、非常にくだらないことの反復なのですが、そんな息子が珍しく語りモードに入った。

てくてく道を歩いていた時のことである。

「反抗期ってさ」
「おう」

そこで彼は、反抗期に入っている自分を冷静に客観的に語った。つまりは、自分でもなんだかどうしようもなくイライラしてしまう瞬間があるというのである。そういう自分をもてあそんでる……

おっと、外国人みたく、日本語を間違えたぞ。

もてあましているのだそうな。

それで、突然、NHKのほにゃらら青春とびだせ!討論会(←そんな番組はないが、とにかくNHKっぽいノリだということだ)にでも出られそうな、純粋で切々とした10代の若者の横で、珍しいことだが自分も一時的に真面目な顔をしました。(人生の中でふざけている割合が多い。特に家族といる時)

「相手と意見が違うときは、あなたとは意見が違うと言っていいのだよ」
「うん」
「考え方ややり方が他人と違うというのは、別に相手を嫌いだとか相手に反抗しているということじゃないよ。君はまだ若いので、冷静に自分の意見を述べることができなくてイライラとそれを言ってしまうのだけど、意見を言うこと自体は悪いことじゃないんだよ」

まぁ、自分を表現しようとするとき、最初はぶつかるものだわさ。それは別に悪いことじゃない。とびだせ!青春!

少し謎な昭和なノリを含みつつ、熱く語ってみた。その後、息子はちょっと考えた後にこう言った。

「お母さんには反抗したくないな」

これで私が焼き芋もらったみたく、ホクホクしたのである。

「でもな、違うということは別に普通のことだから、あなたと私の考え方が違くても、お母さんは全然ショックじゃないよ」

なんだか、ホクホクもしたし、のほほんともしたし、あとなんだろ、しみじみ?なんだろうなぁ、この感じ。

育児というものは想像していたのと全然違うなぁと、思いました。息子と反抗期について真面目に語り合う日がくるなんて、これっぽっちも想像してなかった。私は、男兄弟がいないので、父もなんだかこういうとなんですが、おかまっぽいってわけじゃないのだけど、女の子の友達と遊んでいるくらい気の置けない人で、だから、割と私は 

男を知らない。

自分が親になるっていうのも未知すぎて、アドベンチャーでしたし、しかも授かったのが、男を知らない私が男の子をか!と。
(というか、流石に男を知らない女が妊娠はしないか、やれやれ)

そして、無駄に想像力の逞しい自分は、生まれた時は奇跡のように可愛かった天使な僕が、悪鬼のようになって私を足蹴にし、おいおいと泣いている自分(なぜか、かすりの着物)、反抗期の息子と私、という地獄絵図を想像して、楽しんでいました。(どうしようもないMな人なのである)

ところが流石に、天使な僕が180度の変身はせず、反抗期に入りおばあちゃんには噛み付いているのだが、なんとその陰でお母さんに反抗期相談をしてくる。

ちょっと予定していたのとは違ったけど、とりあえずじいんとしました。

そして、ここから2人目のマザコンの話に移ろう。7月になるかならないかの時に我が家にお客様が来て、それからずっと居候している。それは誰か?私の中国側の甥っ子です。お義兄さんの息子。私と同い年のお義兄さんですが、結婚が遅かったので、甥っ子は小学1年生だ。

彼は田舎から義兄と2人で飛んできて、義兄はヒョイっと息子を我々に預けると翌朝には消えていた。そして、この小1はお父さんもお母さんもいないこの深圳で、1ヶ月過ごすのである。

おー、まい、がっ!な、日本ではあり得ない親戚づきあいがあるのが、中国でございます。

主人は二つ返事で甥っ子を1ヶ月預かるのを、姑と妻と息子に大して相談せずに勝手に決めたが、小1が来ようが自分の普段の生活は変えない。つまり我々に預けて自分は相変わらず毎晩遅くまで仕事をするか、外で飯食うかして帰ってこないわけ。

それで、姑と私と息子で、まるでサッカーのパスを回すように、小1の相手をする。私は子供が好きな人間だと堂々と今までも何度か宣言してきましたが、24時間迫ってくるなぜなに攻撃(子供が持っている大人をクタクタにする技)に久々に晒された時、人はどうするか?やっぱり子供好きだと言ってただけあって、ニコニコと相手するのか?その解は?

仲間とパスをしながらやり過ごす。(姑と私と息子)

そんなとある日のことである。小1が寝てやれやれとナイトライフを楽しんでいたら、お気楽ご気楽な主人が帰ってきました。しばし、うろちょろとした後に母親(姑)とおしゃべりした後にリビングに戻ってきた。

「ねえ、聞いて聞いて」
「なに?」

そして、私はその話を聞いて機嫌が悪くなった。イラっとして、相変わらずニコニコしている中年男性を1人残し、ベッドで寝ようとしている息子に添い寝しようと息子の部屋に行く。ちなみに中1の男の子に添い寝する必要は普通はありません。

本当にKYな男である。私がドラゴンなら、必ず今夜、口から大炎を吐いたのにと思ふ。

なんで、そこまで怒ったのか?話はこうである。小1と中1(←息子)と姑と2人でおしゃべりしている時に姑が2人に親の年収を聞いた。中1は父親の給与はわからなかったが、母親の給与を教えた。そして、小1は父母の給与を教えた。いわく私の給与を100とすると、義兄は75で義姉が25だった。

ちなみに私の給与は安くはない。高くもないがそこまで安くもない。ところがである。姑は私の給与を聞いてそれっぽっちかと言ったのである。中1の母の給与をそれっぽっちかと言ったということは、小1の母の給与は言わずもがなである。

すると中1は 女の人として決して安くはないいい方だと母を弁護し、小1は 田舎で暮らすには十分な額だと両親を弁護した。

それを聞いて主人がニコニコしてたのは、子供達の答弁が優秀だったから。

しかしだな、そこじゃねんだよと思った。母子(姑夫)ともにおめえら、言っていい冗談と悪い冗談の区別がつかねえのかと。センスがねえんだよ。

姑はこういう人なんです。子供をからかって遊ぶのが好きで、たまにわざと子供が怒るようなことを言ってその返答を聞いて喜ぶ人なんです。しかし、揶揄う域を越えていると思うが。そして、自分の母親のギャグセンスの無さに全く気が付かず、知らなければのほほんと呑気な気分でいた妻にわざわざその話をする夫。

そんな話をしたら、相手を怒らせるかもしれないと気づかない君もまた、ギャグセンスねえな!!!!

しばらく、暴れ牛のようにイライラとした後、徐々にスタンダードなテンションに戻ってくる。やれやれ。

そして、冷静に分析してみました。このギリギリをゆく相手を揶揄うギャグというのが興味深いのです。例えばね、姑が嫁をネタにしたのではなく、息子をネタにしたらどうかということです。

「お前のお父さんの給与はそれっぽっちか?」
「そんな少しじゃないよぅ」

実の息子を使って孫を揶揄っているのなら、不思議とそこまで角が立たないのよ。それが、嫁を使われると、私はイヤーな気分になるわけ。そして、これを夫婦にしてみると。

「旦那の給与なんてほんと雀の涙なのよぅ」
「またまたぁ」

ちゃんと冗談として成り立つ!むしろ、奥さんたちは夫のいないところで、暴言の嵐を吐く。これはあいさつみたいなものなのである。

しかし、嫁姑の関係で、これをやられると、本気で腹が立つし、子供たちもおそらく軽く流せないのである。

人間関係って不思議だな!

子供ってね、こういう大人と大人の人間関係にめちゃくちゃ鼻がきくというかきっちり理解しているのよね。親子ほどに仲がいい関係なら、たとえ口先で酷い冗談を言っても子供も一緒になって安心して笑うのよ。だって、冗談だってわかるからね。ところがこれが、表面上は仲良さそうにしていてもそこまで仲良くないい嫁姑の間でいうと、子供はすぐに冗談じゃないと察知して母親を守るために反論をするわけさ。

外交的に捉えると、問題発言をして、国際的な危機を招きかねない、センスの悪さだ!国交は正常化して間もないのだぞ!(つまりは嫁と姑の間には国境があるものである。心してかかれ)軍事衛星飛ばして、弾道ミサイル飛ばすぞ、おりゃ!

どうどう、どうどう、スーハー(自分で自分を落ち着かせている)

全く面白くもクソもないから、子供を揶揄うためにその子の母親をネタにするなんてことはやめましょう。

それにしてもである。小1も、中1も、中年も、みんなそれぞれにマザコンなことよ。

子供達はともかく、主人がマザコンな様子を見るたびに、もう、ため息しか出ません。老後は1人で過ごしたいなとふっと思ってしまうくらいです。

旅に、出ようかな……

2024.07.09

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