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振り出しに戻る

「私達って結婚とか.…するのかな?」
「んー、どうだろう笑」
「なにそれ〜。ハッキリ言わない人嫌いかも。
 ٩(๑`^´๑)۶」
「ハハハ。ま、そんときでいいじゃん」
幸せだ。僕をこんなに幸せにしてくれる彼女と出会ったのは今から5年前の事。そんときは俺が23でアイツが18だったっけな。お互い高卒で就職して会社ん中じゃ結構形見狭かったんだよな。別に高卒だからってどうってこともねぇのによ。今考えると笑えるな。最初は先輩風吹かして指導したる!って意気込んでたけど、いつの間にかお前の方が業績あげちゃったよな。それでも俺のこと頼りにしてくれたのが嬉しかったなぁ。そっからだっけ、一緒に昼食ったり、休日ゲームしたの。懐かしいなぁ。初めてお前んち行った時、花柄のカーテンがダサくて笑っちゃったんだよな。顔真っ赤にして怒ってたっけ。初めてお前んちで桃鉄やった時も楽しかったよな。ボンビーに30億負債抱えさせられてさ。楽しかったなぁ。手料理もそんとき食べたんだっけ?あ、そんときは確か冷蔵庫に何も入ってなくて一緒に冷凍食品食べたんだっけ。それからちょっとしてから、俺の家でパスタ作ってくれたんだよな。家来る前にカラオケで湘南乃風の純恋歌歌ったからパスタ。まさにパスタ作ったお前ってな、笑。家庭的な女がタイプの俺〜、一目惚れ〜、だったわけ。それからは俺の家にも来るようになって、タコパとかしたよな。あ、でもあれタコ買ってないからタコ無しのタコパか、笑。一緒に部長の悪口言ったり、ボーナスでps4買ったりしたよな。お前がエンダーマンにビビるから全く進まなかったよな。二人で遊んだときも、ご飯決めるの面倒くさくてコンビニのおにぎりとホットスナックで腹満たした時もあったよな。原宿の良くわかんねぇ映え食事したこともあったし、俺たちの手取りに見合わねぇ懐石料理屋にも行ったよな。あ、でもあれはじぃちゃんの遺産で行ったから俺らの金じゃねぇか。あっこで食った西京焼き旨かったよな。あ、そういえば水族館でお前が泳いでる魚みて美味しそ〜って言ったの覚えてる?笑
ほんと食い意地張りすぎな、笑。ほんと欲に忠実過ぎんだよ。お前は、さ。つーかお前がオススメしてきたアニメは全部見たのに俺がオススメしたやつみないのマジおかしいかんな、笑。昔はお互い緊張しててとにかく沢山話して間を埋めてたけど、今はなんだかいい間合いだよな。無理せず楽しめるっつうかさ。天気が良くなかったら露骨にテンション下がって、待ち時間が長いとイライラしちゃう、そんな君が愛おしかった。同棲始めてからはテレビ見てる時は毎回バスケか野球かでチャンネル争ったよな。あれのこと「関ヶ原」って呼んでたよな。ほんと大げさ過ぎ、笑。わざわざ色も形も変えたのに使う歯ブラシ間違えて俺ので磨いてた時もあったっけ、笑。体のほくろの数覚えてる所とか唐揚げに蜂蜜かける所とかチャーハンにネギと紅生姜ないと食べようとしない所とか、本当に、大好きだよ。毎日お弁当作ってくれたよな。俺の好きなネギ入り卵焼き作ってくれたよな。お前がホントは甘い卵焼き派なの気づいてたかんな。合わせてくれてあんがとな。誕生日、俺が好きなマカエンのチケットくれたよな。俺がデートの日に遅刻しても許してくれたよな。ありがとう。だからさ、、、。
「なんで裏切った?」
「あんな男の方が良いんだな」
「こんなに愛してるのに」
「お前だって僕が好きなんだろ?」
「ボケ。答えろや。」
「ごめん、やっぱり僕が悪かったよね」
「愛してるよ。」
「でもなんで裏切ったの?」
「やっぱり僕のこと好きじゃなくなったんだね」
「仕方が無いよね」
「罰を受けなきゃ」
「まずはその汚い生殖器からだね」
「へー。医療用メスってこんな切れんだ。」
「ごめんねぇ…痛いよねぇ...。でも、これが僕の愛なんだ。大好きだったから。仕方無いよね。」
「僕以外を抱いた腕なんて要らないよね...。ごめんねぇ...。」
「あーあ。壊しちゃったね。」
「あぇ?意識ないの?おーい。叩いても起きねぇや。」
「ハンマーで殴ったら起きるかな?」
「おーい、おーい、おーい、おーい、おーい、」
「あへぇへ、死んじゃった」
「まただ〜」
「落として、付き合って、エッチして、結婚しようと思ったのになー。」
「あーあ。こいつの片付けしなきゃな。人が出すストレス系の匂いって硫黄臭くて嫌いなんだよなぁ。血とゲロもあるしよ。ほんと最悪だな、この肉塊。」

「また最初からか〜。結構大変なんだよな〜。
あーあ。振り出しに戻っちまったなぁ。」




「ねぇ、君って新入社員の子だよね?今日ご飯とか…
どう?君のこと...…知りたくなっちゃったなぁ…。」

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