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MINI ONE

今回は現行初期型のMINI ONE 。最初BMWに買収されて新生MINIが出た時には全然ミニちゃうやんと思ったものですが、その後も順調に成長して今や3ナンバーのBセグメント標準サイズです。

値段も車格も上がったMINIは、外板パネルのブリキ感も全く無く、塗装もしっとり厚い感じ。ドアのハンドルもしっかりした手触りでドアの開閉感もドッシリ重いって、コレ、ドイツ車やん。と思いつつも、そう言えば現代の英国車には長い事乗っていなかった事を思い出した。

さてタンブラー式の洒落たスタータースイッチを押してエンジンを自動すると、ズドンと強い完爆感。ディーゼルだっけ?と思わせる始動時とアイドリングの振動は1.5リッターと云う大排気の3気筒エンジンである事を印象付ける。排気音も結構勇ましく、排気音が相対的に低いはずのターボながら3気筒エンジン特有のボボボといった音を響かせているのは、排気の抵抗を下げてターボラグを抑える為か?

走り出すとDCTトランスミッションとの相性も良く、1.5リッター3気筒のBMWエンジンは全くターボラグを感じさせず軽々と今や1.3t近い車重のMINIを走らせる。元々排気干渉の無い3気筒エンジンはターボチャージャーと相性が良く、更に単筒容積が大きな1.5リッターである事、3900rpmと云う低い回転数で75kw(102ps)と最高出力を抑えている事から推測される様に低速型のタービンを採用した上で、先に書いた様に排気管の抵抗も少なくしてタービン背圧を下げるなどの効果が出ているのだろう。そしてこのバランサー付きのBMWエンジンはアイドリングからオフアイドルに掛けては振動を感じるものの回転数を上げてゆくと3気筒らしくスムースに気持ちよく回る。

総じて好印象のエンジンに対して、この車の最大の問題点は日本の市街地に多いマンホールや舗装の継ぎ目を越えた際にピッチングするする乗りごごちだ。脚は固いもののハーシュネスはしっかり抑えられており、路面のシワ程度だと良好な乗り心地と言えるが、市街地では走行中ずっと上下にゆすられ続けることになる。ミニの伝統を引き継ぐと言ってもこの欠点をわざわざ引き継ぐ事も無かったのではないかと思わずにはいられない。しかもDCTの弱点の極低速でのギクシャク感や、停止寸前にカックンとなり易いブレーキフィーリングとも相まって街乗りは結構疲れる。

しかし、いつもの船坂峠へ連れ出すとMINI ONEは素晴らしくFunな走りを見せた。街中では固くてウンザリした脚もロールをよく抑え上屋の重さを感じさせずキビキビ走る。高出力を狙っていないレスポンスの良いターボエンジンも山道を楽しみで飛ばす分にはパワーを十分活かせて楽しいし、スピーディかつ正確に作動するDCTはここでも相性が良く、スロットルワークで車をコントロールするのに十分応えて走る楽しみを増してくれる。ただ残念なのは、十分楽しいのだが、オールドミニのダイレクトなキビキビ感は期待できずフツーにシュアなハンドリングということか。ここは個人的にはミニの伝統を引き継いで欲しいところだった。

ハンドリングやインテリア、エクステリアの質感や演出など、何だか魅力を感じるクルマだが、街中で映えるカラーリングバリエーションがあるなどオシャレな見掛けに似合わず、ちょっと街乗り主体での使い方は厳しいと感じたのが正直なところだ。


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