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マツダ デミオXD

今回は、現行マツダ2を名乗る前のマツダ デミオXD。スカイアクティブディーゼル搭載のモデルだ。

まず乗り始めて感じるのは静かなこと。確かにディーゼルの燃焼音はするが遠くに感じ全く不快感は無い。またロードノイズもこのクラスとしては例外的に良く抑えられている。

車内の静かさは、路面の不正を乗り越えた時にフロアから伝わるゴトゴト音が無ければDセグメント並みと言うと褒めすぎか。また、エアコンの吹き出し音もダクトの流路設計が良いのか、風量を上げても音が静かなのは、連日35℃越えと言われる猛暑日にはありがたい。

さて、注目の1.5Lスカイアクティブ ディーゼルエンジンは、NAガゾリン車なら2.5L並みの最大トルク250Nmを発揮するだけに、軽量なデミオには十分すぎる力強さだが、暫く乗ってみると結構クセが強いことが気になってきた。

1.5LスカイアクティブDでは、2.2Lの二段式ターボと異なり、VGTN(可変式タービンノズル)付きターボを採用している。カタログ上は1500rpmからインターセプト(フルブースト)するはずなのだが、タコメーターと睨めっこしながら試してみると、過渡の応答性が悪く1800rpmくらいからインターセプトしている様に思われる。

 一般にVGTN付きのターボチャージャーではウエストゲートを持たず、エンジンの最大出力時にタービンの最大流量となる様な設定とするためにタービンは大きめのものを選定する一方、VGTNでノズルを絞ってタービンに当たる排ガスの流速を上げて、低いエンジン回転数からターボを効かせる訳なのだが、排ガス流量の大きい大型ディーゼルならば影響が少ないVGTNの羽の周りのリークや、酸化触媒とパティキュレートフィルターの二段触媒などの影響による背圧の高さなどが影響して過渡の応答性が悪化しているのだろう、結果として踏み込むとドッカンターボ的なフィーリングになってしまっていると思われる。

したがって、この車の場合は通常はアクセルペダルの踏みしろは1/3程度に留めて太いトルクに任せて悠々と走らせるか、2000rpm以上を保って活発に走らせるか、どちらかに割り切る必要があると思った。

さて、いつもの山道に連れ出してみると、やはりトルクが太いので速い。もちろんこのシチュエーションではA/Tをマニュアルモードにして2速3速で走ることになる。この場合マツダ内製の6速A/Tはシフトレスポンスも良くとても走りやすい。正確な手応えのステアリングと、やや硬めの足回りは連続するコーナーで安定し走りやすい。ただし履いていたエコタイヤのグリップが低く、タイトコーナでは だらしなくアンダーが出てしまうのが残念であった。また、山道では楽しい足回りも、舗装のつぎはぎだらけの街中では車が揺すられ少々不快だ。

走りは良いが、ドライブする上で最も気になるのが、以前CX8でも感じたAピラーの視界の悪さだ。どうもこれはスカイアクティブ ボデー共通の弱点の様だ。衝突時のサイドメンバーからダッシュへ入る力に因るキャビンの変形を抑える為だとすると、次のジェネレーションでは視界に影響しない断面形状に改良されることを期待する。

車載の燃費計によるとリッター12kmと特に感動的な燃費では無いが、我が家周辺の様な山岳地と市街地の組み合わせという、燃費にとって最悪の使用環境としてはまあまあだろうか。

まとめとして、デミオ(マツダ2)は、飛ばしても楽しいハンドリングと車格を感じさせない遮音感、意外と使える後席と躍動感のあるスタイリングと、なかなか魅力のあるクルマだ。ただ、よほど遠出を頻繁にする人以外は価格の安いガソリン車を選べば十分ではないかと思ったのが正直なところだ。


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