地球に優しい? 侵略者(第61話 ポドンカ少佐)
バサニッカ首相は夫や子供や側近達とマイクロ・ワープし、軌道上の戦艦に転送された。戦艦は、モガラモガラである。
元々地球侵略に使用された艦であったが凱旋将軍のガシャンテ大将がチャマンカ星への帰還時に乗ってきた物だ。
現在はバサニッカ率いるクーデター派の所有物となっていた。
ブリッジには、議会占拠で功績をあげたポドンカ少佐の姿がある。バサニッカの命令でポドンカを先行してこちらへ寄越したのだ。
反乱が失敗したのはバサニッカもわかりきっていた。別の惑星に逃げ、再起をはかるつもりなのだ。
「23隻のチャマンカ艦がワープアウトしました!」
レーダー担当のチャマンカ兵が絶叫をあげる。
「チャマンカ正規軍の識別信号を出しています。ザザッカ中将率いる地球人艦隊です」
ホロスクリーンに映しだされた宇宙の大海に、突如23隻のチャマンカ艦が実体化した。
無数の砲塔の筒先が、射るようにモガラモガラへ向けられる。
「ザザッカ中将から通信が入りました」
通信担当の兵士がそう報告する。艦長が何かしゃべろうとする前に、ホロスクリーンにザザッカの顔が投影される。
どうやら非常回線を使って強引に割り込んだらしい。
「こちらはチャマンカ正規軍のザザッカ中将だ。その艦にバサニッカがいるのはわかっておる。直ちに降伏したまえ」
「ここには、いない。それに我々は正規軍だ」
艦長が回答した。
「そもそもバサニッカ宰相は、クーデター派とは無関係だ。反乱兵が議会を占領した時に、他の議員達と一緒に強制的に連行されたと聞いてるが」
「とぼけるのもいい加減にしろ。こっちは賊軍から寝返った兵達から情報を得ている。永遠帝やガシャンテ大将、ソワンカ大佐が貴様ら反乱兵共に殺されたのも知っている。貴様らの言い訳は聞かん。即時降伏しないなら、攻撃するまで」
「ちょっと待て。もう少し時間をくれ」
「問答無用だ」
次の瞬間、ザザッカ中将の旗艦からビーム攻撃が開始された。