あんた、頭が高いのよ。

『えっ？あんた、22歳なの？
あんた、頭が高いのよ。私の20も下じゃない！！』
新人看護師だったわたしが、当時の病棟師長に言われた言葉。

42歳の師長さん。
20代だった私からは怖くておばさんだったけど、今日、42歳になる私。
こんな感じだったんだ。師長さん。
若かったんだ…って今なら思う。

白黒ハッキリしたい性格だった私は、
嫌なことは嫌。
やりたくない事はやりたくない。
ハッキリ伝えていた。
師長からしたら、
なんなの？この子…
という感じだったんだろう。

看護師1年目の時から、3年でお金貯めて留学する宣言をして、長期休みのたびに、インドや南アフリカにHIVやマザーテレサの家にボランティアや勉強に行き、コツコツ人脈を作って活動していた。

同期5人中2人は一年目の途中から来れなくなった。いま振り返っても、怖すぎる看護師たちの病棟だった。パワハラとかの騒ぎじゃない。

有給は誰かが死んだ時以外は取れません。
一年目は給料泥棒です。
先輩の時間を使って教えてもらってるんだから、ボーナス渡しなさいよ。
あんた、踏みつけても、
這い上がって来そうよね。
一つ上の優しい先輩に聞いてやった事が
間違っていたら、
『聞く人選びなさいよ！』と怒鳴られ
『あんたも、センスないんだから教えないで！』
教えてくれた先輩まで飛火してしまい、
申し訳なくなった。

インシデント起こした同僚。
申し送りで伝えたら、あなたとは口を聞きたくありません。消えてください。
と言われていた。
実際、来れなくなった…。

男性看護師は当時1名のみ。
女の職場の恐ろしさを見た。　
それを統括していた42歳師長。
大変だっただろうな…。　

来れなくなった同僚が午前中来て、
昼食に寮に戻るというので、
師長に『飛び降りないか見張ってなさいよ。』と指示された。6階の寮だった。
私が飛び降りたくなる発言に威圧感。
午後からは病棟に戻れず、早退した。

そんな師長の彼女に頭が高いと言われた私。
ビックリして、もちろん

『ははぁ〜』と殿様に頭下げる真似をして、
言った本人を唖然とさせたけど…。

あんなにおばさんだ。怖いと思っていたけど、　42歳って、まだまだ、見えてないこと、感じた事のない感情を感じ、自分を噛み締めて見つめ直し、出会った事のないタイプの人にも出逢い、アタフタして、学び、反省する歳だ。

いや、たぶん、何歳になってもかな。
何歳になっても、自分は自分で
成長し続けるんだろう。

そごう・西武　広告　　樹木希林

年齢を脱ぐ。
冒険を着る。

誕生日おめでとう。
自分。
まだまだこれからだ。