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2024年上半期ハマった曲②

↑前回の記事
思っていたより長くなってしまったので分割することにした。


アビが鳴く/ポルノグラフィティ

2023年5月配信リリース

2024年上半期ハマった曲シリーズ
ポルノグラフィティから2曲目。

前回のVS/ポルノグラフィティの記事で記載したとおり、
サブスクでライブアルバム「NIPPONロマンスポルノ'19~神vs~”DAY2(LIVE)
を聞いてとても感動し、その勢いで当時開催されていたポルノグラフィティ25周年ライブ19thライヴサーキット“PG wasn't built in a day”
埼玉スーパーアリーナ公演のチケットをゲット。
ポルノのライブは初めてということもあり、どの曲も印象に残ったのだが
あえて一番印象に残った曲を挙げるとすればこの曲である。

2023年5月19日から5月21日にかけて広島県で開催された
第49回先進国首脳会議(G7広島サミット)を契機に書き下ろされた楽曲で、タイトル及び歌詞には広島県の県の鳥であるアビが用いられている。
楽曲は広島県出身アーティストの目線から世界へ向けたメッセージソングとなっており、
岡野は「大切な故郷広島が、世界にとっても大切な場所になることを願い歌った曲です」
新藤は「平和。歌にするには大きすぎるテーマですが、自分の言葉にしてみたらこうなりました」とコメントしている

wikipediaより

このようにアビが鳴くは、平和に対する想いがテーマとなっていて、

小さな船で波を切り裂き 朱い大鳥居をくぐれば
現れる水上の神殿 見上げて私は祈るよ

あの夏を語れる者も 一人二人と去って
アビの鳴く声だけが千年に響き渡る

世界がどんなに変わっても 平和を祈る想いだけは
百年先に生まれる子らと 同じでありますように

アビが鳴く/ポルノグラフィティ より

歌詞の随所に広島の厳島神社や平和を想起させるフレーズがある。
僕が特に好きな(というか凄いなと思った)フレーズがこちら

雲が風に流れゆくように 記憶も感情もずっと
同じ姿ではいられはしない 時間と旅をするの

アビが鳴く/ポルノグラフィティ より

ライブではスクリーンにモノトーンの厳島神社が映し出され、
岡野さんの丁寧な歌に合わせて歌詞が表示される演出になっていて
よりこの曲の世界観に浸れた。
厳かな雰囲気の中、僕がライブで一番印象に残っているのは晴一さんのギタートーンである。
まるでギターが歌っているかのような、(曲調も相まって)何かを訴えているかのような素晴らしいギターだった。物憂げなフレーズも去ることながらトーンが本当に印象に残っている。

僕が見に行った公演ではないけど、20周年の「NIPPONロマンスポルノ'19~神vs神~」に続き、今回の25周年ライブ「19thライヴサーキット“PG wasn't built in a day”」の千秋楽の音源もサブスクに登場したので、是非聴いて欲しい。
※余談だがライブ音源をサブスクで聞かせてくれるなんて本当に凄い時代だなと感じる。しかも今回はアンコール曲まで完全網羅。
今回の25周年ライブがサブスクに登場したことによって、前回の記事で紹介した20周年記念の神vs神はもしかしてサブスクで聞けなくなっちゃうかなと思っていたのだが、それも残ってるし。太っ腹すぎる。


また、実際に厳島神社にて演奏されたこちらの動画もオススメ
アコースティック編成なので上記のギターのトーンではないが、
これはこれで原曲とは違った雰囲気が出ていてとても好き


ライブにおける本曲に至るまでのセットリストの流れが

人間に対して教えを説こうとする天使視点の曲
オレ、天使

戦争やミサイルをテーマにした曲
170828-29

アビが鳴く
 
という流れなのもメッセージ性を感じた。

ライブにリアルタイムで参加している時には気付けなかったのだが、
Xで色んな方の感想を見てると、上記の流れの中で「スクリーンに映し出された城壁をミサイルが壊す」映像があり、その映像の時に実際のステージ上に煙が上がり、会場内にも火薬の匂いが発生していたらしい。
※僕はかなり直前でチケットを取ったこともあり、会場のほぼ最上の端っこの席だった+万年鼻詰まりのため匂いはわからなかった。
映像や煙についても記憶が定かでなく、あんまり覚えていない。。。

もし本当に演出の一環として火薬の匂いまで用意していたとしたら、
匂いを使った演出というのは斬新で面白いし(僕が知らないだけでよくある演出なのかもしれないが)、この曲に対するかなりの気合いの入れようである。
が、それも頷けるくらい、少し重いテーマだけど大事な曲だと思う。





ペインキラー/B'z

2023年7月発売STARS収録

judas priestの同名曲のように開幕から激しい楽曲かとおもいきや
シリアスなピアノのフレーズから始まりシャッフルビートに乗せた重厚なドラムのフィルインから荒廃的なストリングスが入り一気に曲の世界に引き込まれる。そんな中歌いだされる

ワタシ、アナタのペインキラー
その頬が緩むのを見ては震え
生きてること噛み締めりゃ
惨めなんかじゃない

ペインキラー/B'zより

この歌詞の破壊力。
ペインキラーとはその名の通り「鎮痛剤」のことであると思われるが、
仮にこの曲が恋愛の曲だと仮定して(その後出てくる歌詞からも恋愛の曲だと捉えて良いと思うが)、
例え恋人同士にはなれない存在だと分かっていても「ワタシ」は「アナタ」にとっての鎮痛剤としての役割を果たせるだけで、ただそれだけで生きてることを噛み締められるという、一言で言うとヤンデレ的な主人公の曲という解釈に至った。
ある種の怖さまで感じる完璧な歌い出し。

稲葉さんの歌詞は、もちろん例外はゴマンとあるが、特に歌い出しの部分でその楽曲がどういう内容・状況の歌なのかを端的に表現するパターンの歌詞が多いイメージがあって(例:アマリニモ静かな雨FRIDAY MIDNIGHT BLUELasVegas、闇の雨、赤い糸、ルーフトップなどなど)、本曲においてもその冒頭の表現がとても見事だと思った。
特に本曲では、この歌い出しのあとBメロもなくストレートにサビに繋がるのだが、そういった音楽的な制限もある中でメロディにピタリと歌詞を当て嵌め、たった4行でここまで細部にわたって表現できるのが凄い。

特に後半の
「生きてること噛み締めりゃ 惨めなんかじゃない
という部分が秀逸だと思う。

この冒頭歌い出しのたった4行から、
曲中で具体的に明らかにされてはいないがおそらく
・「アナタ」には「ワタシ」ではない想い人(もしくは恋人や伴侶)が既にいて
「ワタシ」はそのことを知っている

という状況が推察でき、恋人としての役割ではなく、ただの鎮痛剤としての役割しか果たせないことに対して、それでも「惨めなんかじゃない」と自分に言い聞かせているように感じる。

その一方で、「その頬が緩むのを見ては震え」という歌詞からは、
・鎮痛剤としての役割を果たしている時、「アナタ」の頬が緩んでいることに「ワタシ」は気付いている

つまり「アナタ」にとっても「ワタシ」の存在は満更でもない様子が伺え、
逆に「ワタシ」にとっては、その(頬が緩むというそれだけの)好意が、恋人ではなく「ワタシ」だけに向けられているものであると思っている。
そういった意味の「惨めなんかじゃない」と捉えることもできると感じた。

鎮痛剤としての役割しか果たせないワタシの悲痛なまでの想いがその後の歌詞においても表現を変えて繰り返し歌われる。

ハマってください どっぷりもっと
どうでもいい思いだとわかっていても
愛に溢れる日々をうかつにも夢見る

ハマってください どっぷり今は
いなくて済むならその方が良いなんて
I know 時間とともに 波のように消える

ペインキラー/B'z より  
※太字部分は自分が特に好きなところ

その後、2番のサビ終わりでシリアスな雰囲気から転調し
一瞬だけ穏やかな雰囲気のパートへ入り、またシリアスな雰囲気に戻りギターソロへ。この一瞬入る穏やかなパートの歌詞もまた切ない。

夕暮れは偽りなく二人を染めた
覚えているのは たぶん一人だけ
誰もが同じ場所なんて 見ちゃいない

ペインキラー/B'z より

ヤンデレ要素をペインキラー(鎮痛剤)を使って表現するという着眼点と、
歌詞の随所で光る悲痛な想い溢れる表現がとてもグッとくる。
そんな歌詞の世界観と楽曲のシリアスな雰囲気のマッチ具合が素晴らしすぎる。(特に前述の夕暮れは偽りなく二人を染めたの部分なんて、曲の雰囲気と歌詞が合いすぎていて、夕焼けに照らされながら静かに佇んでいる男女の絵が容易に想像できる)

また、「ワタシ」の心情として、
1番では「愛に溢れる日々をうかつにも夢見る
と、自分の立場を分かっていて控えめな歌詞なのに対し、
ラスサビでは
ハマってください どっぷりずっと 
ワタシ無しではダメになって欲しい

と、本音が出ているところも見事だと思う。

歌詞についての感想ばかりになってしまったが、TAK(敬意を込めてあえてこの表記にさせていただく)のギターもめちゃくちゃ好み。
※ただ自分はギターに関する専門的な知識がそこまでないのと、ギターというに関することを文字で表現するのがとても難しいというか、ある意味野暮な気もするし、変に言及しても長ったらしくなりそうなのと、ただ自分の知識の無さを露呈してしまうだけになりそうな気がするので多くは語らないこととする。笑

余談だが初めてこの曲を聴いたときに、冒頭のドラムのフィルインを聴いた瞬間に「もしかしてレコーディングしてるのシェーンか!?」と思ったら見事的中。
そしてまさかのベースもバリー、アレンジは寺地さんという2007年あたりからのB'z(僕にとってはまさに青春時代)のサウンドということも相まって一発で好きになった。

なお、wikipediaによると

楽曲ではファンとの関係性を「ペインキラー」に置き換えて、「離れられない、なくてはならないもの」として歌われている。

wikipediaより

と書いてあるが、個人的にこれは違うんじゃないかと思っている。

上記出典が雑誌「音楽と人」としか記載がなく、
該当雑誌を所有していないため具体的にどう記載されているのか確認できず何とも言えないが、
ファンとの関係性を歌った曲なのであれば、
愛に溢れる日々をうかつにも夢見る
夕暮れは偽りなく二人を染めた
といった歌詞にはならないんじゃないかと思う。
特に前者については、これがファンとの関係性を歌った曲となれば、
今現在(ファンからの)愛に溢れていない日々ということになってしまうし。。。

ワタシなしではダメになって欲しい
期限付きの魔法を捧げましょう
といった歌詞をファンとの関係性という解釈を含めて考えることもできなくはないが、やや無理やりな感じがする。

おそらくインタビューの中で
(広義な意味で)「B'zの活動や音楽がファンの方にとってのペインキラー(=鎮痛剤)に少しでもなれれば良い」
的な稲葉さんの発言をインタビュアーさんが曲の内容の発言と捉えたのではないかと推察している。

いずれにせよ、曲の雰囲気と歌詞にかなり中毒性があって、
見事にどっぷりハマったのであった。いつかライブでも聴いてみたい。

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