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知っておきたい、任意後見制度

なにかの制度や仕組みには
必ずメリットやデメリットがあるもの

その両方を知らずして使おうとするのは
ちょっとリスキーすぎますね

成年後見制度は1度申し立てをすると
おいそれと取消しとはいきません

ここではデメリットを押さえつつ
終活との関わりも含めて
しっかりとご説明していきます

亡くなる前に気になっていても
わからないことが多いと手が出せません…

当ブログはそんな方へ向けて
まずは”本当の基礎”から書いていきます



《ポイントは法的効力があること》

1つ前のブログで説明した成年後見制度は
家庭裁判所の審判をもとに後見人が決まるもの

では、自分自身の後見人を
自分で選べる制度はないのでしょうか?

自分にとって”この人に任せたい”という人がいるなら
その人に自分の財産管理をしてもらった方が
安心できますよね

終活の一環としてエンディングノートを
ご紹介しましたが

エンディングノートに法的な効力はない、
というのも併せてご紹介したかと思います

いくら自分のこの先に要望があって
後見人に候補がいたりノートに書いていたとしても
法的効力がなければ実行は難しいことがあります

それならば自分で判断できるうちから
実効力のある選び方をしたいものです

自分がしっかりしているうちは自分で判断、
後見人が必要になったら任意の人に預けて、
自分の死後は遺言とエンディングノートに預ける

そういう形の終活ならば
より叶えられる要望も増えるでしょう



《任意後見制度のメリットとデメリット》

ではここからはメリットとデメリットの説明です
やはり便利なだけではなく
きちんとした手続きが必要となるので
しっかり知っておきましょう

メリット①要望を条件付けできる

任意後見制度は本人と後見人とで
契約を結んで効力をもたせる制度でもあります

その契約の中に、
・施設に入るなら○○がいい
・年に○回ほどの墓参りに同伴してほしい
などの条項を入れることができるので
より自分らしい生活を維持することができます

デメリット①条件付けできる要望には範囲がある

契約に要望を入れられるといっても
本人の要望ならいくらでもというわけではありません

身の回りの世話や家事の負担、葬式の希望などは
任意後見契約の対象外となります

成年後見制度と同じく、介護行為を
義務とすることはできないので気をつけましょう

また入院や医療行為の代諾、婚姻など
本人の意思決定の範囲内である法律行為は
成年後見制度でご紹介したように
後見人の権利外で契約書には書けません


メリット②契約書で報酬を特約できる

契約書に報酬の金額、支払い時期、支払い方法を
特記しておくことで報酬を発生させることもできます

法律上は後見人に報酬は発生しませんが
特約しておくことで血縁などに関わらず
報酬を受け取ることができるのです

デメリット②契約書は公正証書である

契約書は個人間で作ればいいものではなく
あくまで法的効力をもった公正証書でなければなりません

そのため契約書の内容は明確であり
公証役場にて作成したものに限るのです

発行には手数料がかかりますし
専門家に嘱託する場合は別途手数料もあります

相談は無料としていても
書類作成など実務となると発行料がかかります

メリット③契約の形で時期を決められる

これはあくまで本人の様子次第で
契約の履行開始時期が変わるという話で
何歳になったら、ということではありません

しかし本人が”どのような状態になったら”など
健康状態や判断能力でサポートの仕方を変えられます

任意後見開始の前段階に使える手段は
即効型、将来型、移行型などありますが
また改めて説明を設けたいと思います

デメリット③任意後見には監督人がいる

任意で後見人を選べるとはいえ
選ばれた後見人に悪意があれば
守られるべき本人が損をしかねません

そのため公正証書作成後、実行したい場合は
家庭裁判所に申し出る必要があります

家庭裁判所が監督人を選任して初めて
契約内容の履行が開始されます

公正証書を作れば後見開始ではありませんし
監督人は家庭裁判所の選任のため
誰が選ばれるかはわかりません

また家庭裁判所が判ずれば監督人に報酬が発生します

当事者間で完結とはいかないので
本人も任意後見人となる人も
理解してからこの制度を利用しましょう



《まとめ》

任意後見制度がどんなものか
わかってきたかと思います

法的な効力となると手続きは厳正ですが
きちんと利用すれば
自分らしい生活の維持ができます

是非とも終活のなかに
この制度の知識もいれてみてくださいね

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