現場からの反発を共感へシフトさせた、新システム導入時の3つの成功ポイント

管理部門にいる方が現場に新しいシステムを導入しようとしたとき、
「こんな使えないシステムをいれるな」
「なんか新しいシステム増えて工数増えたんだけど」
といった声が上がった経験はありませんか?

現場のメンバーは新しいシステムを入れたくない、
しかし、管理部門としてはシステムを導入して利用していきたい。

このような状況はどこの会社でもよくあることかと思います。
弊社リンクアンドモチベーションのRevOps部署起点で、
CRM/SFA(Salesforce)導入を行った際、こういった声も上がらず、
スムーズにオンボーディングに成功することができたときの
工夫について記載していきたいと思います。

①陥りやすい問題と理由

上記のように、システムを導入しても使われないといった問題は発生が容易に想像できるかと思います。

システムが活用されないのには、下記のような理由が考えられます。

  • 目的への共感がない、共感がある人がいても少数しかいない

  • 大半の場合、現場と管理部門では時間軸/空間軸が異なる

  • 現場の人たちは、自分たちはITリテラシーが低いからできないと思っている

②オンボーディングを成功させるためのポイント

システム導入後の利用継続に向け、上記理由を回避するため、
3つのポイントに注力して導入プロジェクトを推進しました。

a. ステークホルダーの巻き込み

今回はトップダウンでのアプローチを実践しました。
管理部門から新しいシステムの利用を働きかけるのではなく、導入部署の経営者/マネジャーに協力してもらい、現場担当者の任命/時間の確保、協力体制の構築を行います。
経営者/マネジャーが意思を持ち、CRM導入に前向きであることを示すことで、一体感を醸成します。
(参考:トップダウン・ボトムアップの意味とは?

経営者/マネジャーを巻き込むためには既に発生している問題(短期課題)と発生が予想される問題(長期課題)を見える化することで、CRMの必要性を感じてもらうことが重要です。

b. 推進者のモチベーション向上

現場担当者として任命された方の協力なくしてはCRM導入はうまくいきません。
担当者が迷うことなく行動できるよう下記の6つの要素を最初に明確にします。
①目的
 経営者に伝えた問題を解決するため
 (例)
 引継ぎ時の情報不足によるクレーム防止のため
②対象
 誰が使うのか
 (例)営業部隊、IS部隊
③役割
 誰が何に責任を持つのか
 (例)
 Aさん(管理部門):プロジェクトの進捗管理、システム設計、開発
 Bさん(現場担当者):マニュアルの作成や説明会などの運用責任者
 Cさん(営業担当者):現状のセールスプロセスの見える化
④方法
 どうやって目的を達成するか
 (例)
 CRMの導入し、ダッシュボードの作成
⑤基準
 どこまでやるか
 (例)
 データの入力項目を作成するが、メールソフトとの自動連携などしない
⑥納期
 いつからCRMを使い始めるのか

このとき、スコープを狭めたり、リリースのステップを切ることで、達成可能性を下げることで担当者に「簡単そう、できそう」と思わせることがポイントです。
担当者が「難しい、できなさそう」と思ってしまった途端、優先度が下がり思うようにプロジェクトが進まなくなります。

c. 組織の「臨界点」を超える

システムリリース後いきなり全員に100%の利用を求めると、反発意見に流され、利用が進まなくなる可能性があります。
そこで、最初は組織の中の20%、リーダーであったり、ITリテラシーが高いメンバーにアプローチを仕掛けます。
次に上記20%がレポート機能をミーティングで利用したり、分析したりすることで、徐々に興味を持ってもらい80%の利用を目指していきます。
最後に、こういった新しいシステムに抵抗のある方には焦って利用促進をするのではなく、データがたまってきたころに、営業指標などの数値をCRMシステムに入力している内容から出すなどをして、使わなければならない状況を作りだしていくことで、導入が完了となります。

組織が変わる際には「臨界点」が存在します。

ここでいう「臨界点」とは、新しいやり方が定着するかどうかを分ける点のことです。会社において、何か新しいこと(思想でも型でも形でも)が浸透するには、まずはその構成員の20~30%の人に受け入れられ、活用される必要があります。

そしてある一定の割合を突破すれば、加速度的に組織全体に広まり、浸透することが分かっています。その境目になる点のことを【臨界点】と呼びます。

(引用:組織風土(企業風土)とは?改革のポイントや事例を解説
(引用:組織風土(企業風土)とは?改革のポイントや事例を解説)

③得られた成果

CRMを導入することで、下記のようにデータを活用する組織風土の変革にもつながりました。
・日々の営業MTGでレポートを活用することで、毎回資料を作成する必要もなく常に最新の行動管理を行った
・営業フェーズごとの失注率分析を行い、各フェーズごとの原因分析を行った

④最後に

新しいシステムを導入する際には、管理部門から半強制的に利用を促すことも、もちろん大切ですが、現場と協働意思を醸成することで、共にシステムを作り上げ、共に組織風土を変革させる意識が重要だと思います。
少しでも同じような課題を抱えている方の参考になれば幸いです。


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