【エッセイ?詩?】ex-babe(和訳付き)

 I remember my tremulous voice “I love you” for the first time. A cold day but there was no wind, You and I sat on a seaside bench and there was mysterious distance between us. At third date, after dinner, you and I were looking at the sea in Toyosu. I started talking slowly. Your voice surely included tense atmosphere. Some people went across in front us. I tilted a cup of Starbucks, it tasted sweeter than usual. I opened my mouth and stopped you talking. And said. 
     I remember the surprised expression of your face. Your eyes caught me; I couldn’t escape from the beautifulness of two sea glasses. 
     I remember I loved that about you. 
     I really remember the phrase you said at the moment. “I would tell you that today, too.” 
     I remember the moment that the world got colors and tunes. 
     Honestly, I don’t remember well about the moment after the confession. 
     I just remember the impulse coming from the bottom of my heart. 
     I remember the day I truly realized I fell in love. 

     Do you remember the day you and I talked for the first time? A day in cold winter, you gave me a ticket of PEANUTS comic exhibition, in a small classroom in university. I knew you took the same classes as me at that time. I received it and just said “Thank you.” 
     I remembered your name and face then. 
     Do you remember the day of our first date? Since then, you and I walked to Totsuka station several times. Your personality and mine were quite different, but our liking were so close. I was interested in you and asked you to introduce your favorite old clothes shop someday, and you accepted. 
I remember the very cold day; you and I came to Takadanobaba station to see. I was waiting for you outside. 
I remember the fresh feeling. I breathed deeply.
I remember the cold air went through into my throat. 
I remember the restaurant we would go to was closed. 
I remember you smiled at me and took me to another good restaurant. 
Do you remember the day of our second date? You and I were always hungry for art stuff. It was still cold weather, but we went to see Cherry blossom by Damien Hirst. You wore a black long coat and I wore a green one. Winter really suits us. Just after got out of the National Art Center Tokyo, it stared to rain.
I remember you said, “I am a rainy woman.” And I answered, “I like rainy days because…”

I remember your intellectual posture. 
I remember your usual odor. 
I remember your warmness. 
I remember your delicate and white fingers.
I remember your shivering warmness of your lips for the first time. 
I remember your clear and gentle voice. 
I remember your…

I remember you said, “I love who you are, don’t be afraid of changing.”
I remember you said, “I can’t tell you my anxiety, sorry…”
I remember your teardrops. 
I remember I couldn’t save you. 
I remember you always tried to convey your feelings and thoughts to me. 
I remember I couldn’t notice most of them. I became just happy when I noticed 3% of your grief. I realized I didn’t know about you. Truly. 

I remember my tremulous voice “I love you” for the last time. At warm night, on an Autumn day. You and I had been separated about for a week. At that time, we were calling. Your voice had tense atmosphere. 
I remember the day, you said with your beautiful and calm voice, “Let’s break up.”
I realized the day would come someday. 
I request your happiness. 
I remember the period with you. And I know you don’t. 
I remember I loved that about you. 


日本語訳


 僕は覚えている。君に初めて伝えた「好きだよ」の震えた声を。あれは風のない寒い日で、僕たちは海沿いのベンチで不思議な距離を保って座っていた。3回目のデートの、夕飯の後。僕たちは豊洲の海を眺めていた。僕はゆっくりと話し始めた。君の声には確かな緊張感を孕んでいた。何人かが僕たちの前を横切った。僕が持っていたスタバのカップは、なんだかいつもよりも甘く感じた。僕は重たい口を開けて君の話す言葉を止めて、言った。
 僕は覚えている。君の驚いた表情を。君の目はぎゅっと僕を捕まえていて、僕はその美しい2つのシーグラスに見惚れていた。
 僕は覚えている。君のそんなところが好きだったと。
 僕はずっと覚えてる。その直後に君が言った「私も今日言おうと思ってたの」という言葉を。
 正直、僕はその後のことは覚えていない。
 ただ、胸の底から込み上げてくる衝動だけは覚えている。
 僕は覚えている。本当の意味で恋に落ちたあの日を。

 僕と君が初めて話したあの日を覚えてますか?ある寒い冬の日、君は大学あの小さな教室で僕にPEANUTSの展覧会のチケットを僕にくれたね。その時に僕は君と同じ授業を取ってたことを知ったんだ。僕は「ありがとう」とそのチケットを受け取った。
 僕はその時君の顔と名前を覚えた。

 君は僕たちの初めてのデートを覚えていますか?あれから僕たちは何回か戸塚駅まで歩いて帰ったね。君と僕の人間性は全然違ったけれど、好きなものはとても似ていたんだ。だから僕は君に興味を持って、君にお気に入りの古着屋さんに連れて行って欲しいと頼んだ。君は快諾してくれた。
 僕は覚えている。あのとても寒い日。僕と君は高田馬場で待ち合わせをしていた。僕は君を外で待っていた。
 僕は覚えている。あの新鮮な気持ちを。僕は深呼吸をした。
 僕は覚えている。冷たい空気が喉の中に入っていく感覚を。
 僕は覚えている。僕たちがいこうとしてたレストランが閉まってたことを。
 僕は覚えている。君は笑って違うレストランに僕を連れて行ってくれたことを。

 君は僕たちの2回目のデートを覚えていますか?僕たちはいつだって芸術を求めていた。まだ寒かったけれど、ダミアン・ハーストの描いた桜を見に行ったね。君は黒のロングコートを、僕は緑のを着ていた。冬は僕たちに本当によく似合っていた。新国立美術館を出たら雨が降っていた。
 僕は覚えている。君が「私雨女なの」と言ったことを。「僕は雨の日が好きだよ。だって…」

僕は覚えている。君の知性を感じるその姿勢を。
僕は覚えている。君のいつもの匂い。
僕は覚えている。君の温もりを。
僕は覚えている。君の繊細で白い指を。
僕は覚えている。初めての、君の震えた唇の温かさを。
僕は覚えている。君の透き通った優しい声色を。
僕は覚えている…

僕は覚えている。君が「ありのままのあなたが好き。だから変わることを恐れないでね」と言っていたことを。
僕は覚えている。君が「自分の不安をちゃんと伝えられなくてごめんね」と言っていたことを。
僕は君の涙を覚えている。
僕は君を守れなかったことを覚えている。
僕は覚えている。君はいつだって気持ちや考えを伝えようと努力してくれていたことを。
僕は覚えている。僕は全くそれに気づいてあげられなかったことを。僕は君の悲しみの3%に気付いただけで喜んでしまっていたことを。本当は君を全く知らなかったことに気付いた。

僕は覚えている。君に最後に伝えた「好きだよ」の震えた声を。ある秋の日の、暖かい夜だった。僕たちは1週間くらい会えていなかった。その時、僕たちは電話をしていた。君の声には確かな緊張感を孕んでいた。
僕はその日を覚えている。君がその美しい声で落ち着いて言った「別れよう」を。
僕はその日がいつかくることは分かっていた。
僕は君の幸せを願っている。
僕は君との時間を思い出す。君がそうじゃないことも分かっている。
僕は覚えている。君のそんなところが好きだったと。


【解説】
2022年11月の初旬に大学の授業 academic English skills Bの課題として書き上げた。文頭をI rememberにする条件以外にはある程度の語数があれば良いとのことだった。remember。「思い出す」「覚えている」という2つの意味を持つ動詞。ふとしたときに頭に浮かぶ情景と、ずっと心の中にあり続ける情景。今はもうここにないものについて述べるのが相応しいテーマだと思った。子供時代、亡くした家族や友人、元恋人。考えるほどに今持っている大切なものたちへの愛が溢れてくる。クラスメイト(大学の場合にこの単語を使うのかは定かではない)の殆どが失ったものについて執筆していた。何人かは今もここにあるものについての執筆で、それに対しての深い愛をそれぞれ綴っていた。普段課題は提出日のギリギリにならないとやらない質だったけれど、今回はテーマと構成がすぐに浮かんできたこともあって早速次の日に早起きして執筆に取り組んだ。あるいは元恋人を忘れないうちに書かなければならなかったからなのかもしれない。
この作品の最たる特徴は情景描写に色がついていないことだと思っている。普通思い出について語る際は詳細まで連想させるような描写を入れるのが一般的な手法だと思っている。そうしたほうが読み手が作品に入り込み易いためだ。しかしこの作品を読むのが自分についてよく知っている場合、または自己満足として作品を書く場合は作品から色を抜くのもまた手法の一つだと考えている。元恋人。僕にとってはあまりにもタイムリーなテーマはあまりにも心の痛む執筆だった。この胸の痛みを伝える文を書くべきかは散々自分の中で議論されたが、結局第三者視点で読む淡白で、それでいて孤独感を感じる文を書き上げるまでに至った。この淡白さには、元恋人をもう思い出せなくなっている少し物悲しい自分が存在する。思い出としては思い出せるけれど目を閉じれば浮かんでくるほど心を奪うようなものではない。それに一抹の不安を感じる。こんなに簡単に忘れていいのか。自分はこれまで人を愛せたことなんてなかったようにも思える。過去を忘れて大人になるのなら、大人になんてなりたくなかった。辛くても抱えて生きていきたかった。それはもうできない願いだけれど。誰かと出会うということは、いつか別れるということだ。恋人しかり、友達然り家族だとしても、いつかは別れがくる。それが死別なのか、多忙によって自然と距離が開いていくのかはわからない。どちらにせよ大切な人との別れは形容し難い悲しみがある。そしてその物悲しさは時折忘れたくもなってしまう。だけど僕はその悲しみすらも内包する「現在の僕」となって死ぬまで歩みを進めていくのだろう。このような背景がこの作品がある。読みたくなかったかもしれないけれど、これを示して区切りにしたかった。書き手のわがまま。そして是非英語で読める人は英語で読んでほしい。そっちのほうが美しいから。

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