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ギリシャ神話:トロイア戦争(トロイ戦争)

トロイア戦争のきっかけは黄金の林檎(不和の林檎)を巡るアテナ、ヘラ、アプロディテの対立にあると伝えられています。

ゼウスは、増え過ぎた人口を調節するために、妻でもある、秩序の女神・テミスと試案を重ね、戦争を起こして人類の大半を殺してしまおうと決意を固めました。
怖いですね〜。

オリンポスでは人間の子ペレウスとタイタン族の娘テティスの結婚式が行われていましたが、争いの女神・エリスだけはこの結婚式に招待されませんでした。

怒ったエリスは、「最も美しい女神へ」と書かれた、ヘスペリデスの黄金の林檎(不和の林檎)を神々のいる場所へ投げ入れました。
この黄金の林檎をめぐって、ヘラ、アテナ、アプロディテが「我こそは最も美しい女神」と激しく対立しました。

ゼウスは仲裁するために、この林檎が誰にふさわしいかを人類で最も美しい男で、イリオス王プリアモスの息子・羊飼いのパリスにゆだねることとした。(パリスの審判)

パリスの審判 出典:Wikipedia


それはなぜかって?

ゼウスは、羊飼いのパリスが間もなく行われる雄牛の審査会で審判をすることに気付きました。
そこで、雄牛に姿を変えたアレスを遣わせました。
アレスはどこから見ても完璧であり、結果として、金の月桂冠を勝ち取ります。
ゼウスはパリスが公正公平な審判をすると知って、パリスに判断させようと考えたのでした。

ゼウスはヘルメスに、黄金の林檎をパリスに届けるよう命じました。
その時、女神たちがパリスの判断を素直に受け入れること、と伝えるようと命じました。

その伝言を聞いた女神たちは、それぞれ最も美しい装いを凝らしてパリスのもとに現れ、林檎を得るために賄賂としてパリスに贈り物を約束しました。

ヘラは世界を支配する力「アシアの君主の座」を、
アテナはいかなる戦争にも勝利を得る力「戦いにおける勝利」を、
アプロディテは「この世で最も美しい女」を妻に、
それぞれ与える約束をしました。

パリスはその若さゆえに、富と権力より愛を選び、アプロディテは黄金の林檎を手に入れました。

富と権力より愛ねぇ〜。愛か。

ある日、パリスはメネラオス王とヘレネとの結婚を祝うために兄弟と出かけました。
その夜、メネラオス王はミュケナイ王の兄・アガメムノンに呼び出されました。
そこには、ヘレネとパリスだけが残されました。
なんと言うことでしょう、この時2人は愛を交わしてしまったのです。

ヘレネはメネラオスを捨ててパリスとともにトロイアへ向かったのです。

愛が、そうさせっちゃったのねぇ〜。

しかし、この「この世で最も美しい女」がスパルタ王メネラオスの妻・ヘレネ妃であったことから戦争が引き起こされました。
これがトロイア戦争の発端となるんです。

パリスの妹でトロイアの王女カッサンドラは、この事件が国を滅ぼすことになると予言しましたが、アポロンの呪いによって聞き入れられませんでした。

メネラオス王は、兄でミュケナイ王であるアガメムノンにその事件を告げ、そしてオデュッセウスとともにトロイアに行って、ヘレネの引き渡しを求めました。
しかし、パリスはこれを断固拒否したため、アガメムノン、メネラオス、オデュッセウスはヘレネ奪還とトロイア懲罰の遠征軍を組織しました。

この戦争では神々も両派に分かれました。
トロイア側にはアポロン、アルテミス、アレス、アプロディテが、
ギリシア側にはパリスを憎むアテナとヘラ、そしてポセイドンが味方につきました。

出典:Wikipedia

アテナはヘラとともに戦車に乗って戦場に行き、アキレウスやディオメデスらのいるギリシア軍を助けようとしました。
トロイア側についたアレスを阻止するため、ハデスの兜で姿を隠したアテナは、ディオメデスを戦車に乗せアレスへ攻めかかりました。

ディオメデスが槍を投げるとアテナはその槍を導きます。
すると槍はアレスの下腹部へと突き刺さり、アレスは大きな叫び声をあげて空へと逃げ去っていきました。

アテナは、標識として置いてあった黒い大岩を持ち上げて、アレスの頭に投げつけ攻撃しました。

アテナが目を離したすきにアプロディテがアレスを助けようとします。
しかし、アテナはヘラの指示のもと、アプロディテの胸に拳を叩きつけ、アレスとともに大地へ撃ち落としました。

アポロンは、トロイアの王子で防衛戦の総大将であったヘクトルがアキレウスに追い詰められた時、逃げ切れるよう疲れ知らずの体に変えてあげました。
しかし、アテナはヘクトルの弟・デイポボスの姿に化け、ヘクトルのそばへ現れ、加勢があるようにみせかけ逃げるのを止めさせました。
そしてヘクトルはアキレウスによって討ち取られました。

カッサンドラを凌辱する小アイアス 出典:Wikipedia


トロイア戦争はアカイア遠征軍(ギリシア軍)の勝利に終わりましたが、両軍ともに多くの英雄が死亡し、生き残ったギリシャ軍の英雄たちも後に悲劇的な結末を迎えました。

アテナ神殿でカッサンドラを強姦した小アイアスは、アテナの逆鱗に触れ、ギリシアへの航海の途中で溺死させられました。

メネラオスは帰国途中、暴風に悩まされエジプトに漂流し、8年掛かりで帰還しました。

総司令官アガメムノンは、帰郷後、妻とその愛人によって暗殺されました。

暗殺されるアガメムノン 出典:Wikipedia

オデュッセウスは、故郷にたどりつくまで10年もの間、諸国を漂流しなければならなかった。

これはすべて、ゼウスの策略通りの結果に終わることになります。

恐るべしゼウス!


トロイア(トロイ)の木馬

トロイア軍の勇将ヘクトルとギリシア軍(アカイア勢)の英雄アキレウスの没後、戦争は9年にわたって膠着状態が続いていました。

ギリシア軍(アカイア勢)の知将オデュッセウスは、巨大な木馬を造り、その内部に兵を潜ませるという作戦を考えていました。

神官ラオコオンは、木馬をトロイアの城内に運び込むことに反対しました。
するとアテナは怒り、ラオコオンの両目を潰してしまいました。

ラオコオンは、痛みに苦しみながらも木馬を焼き払うよう、考えを曲げませんでした。

アテナはテネドスから2匹の大蛇を呼び寄せて、ラオコオンとその2人の息子を襲わせ、かみ殺させました。

残虐ですね〜アテナさん。

その後、2匹の大蛇はアテナ神殿に登り、姿を消しました。

アポロンによって「カッサンドラの予言を誰も信じないように」という呪いをかけられてしまったカッサンドラは、トロイアの木馬をイリオス市民が市内に運び込もうとしたときも、これらが破滅につながることを予言して抗議しましたが、誰も信じてはくれませんでした。

巨大な木馬をトロイア城内に運び込ませることに成功し、夜になって木馬から出たギリシャ兵によってトロイアは滅亡しました。


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