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愛すべき赤の他人


また相変わらず窒息しかけています。
そろそろ海面に浮上して息をしたいと思います。

今回は私が愛してやまないUNISON SQUARE GARDEN です。彼らのおかげでSquareの綴りを間違えなくなりました。またつらつらと愛を語っていきます。


邂逅

出会いは恐らくかなり特殊です。たしか中学校のときに買ったWiiの太鼓の達人のソフトの中に「オリオンをなぞる」が入っていたのが最初です。キャッチーなメロディはさることながら、この歌詞に衝撃を受けたのを覚えています。

ナイフを持つその、本当の意味が
あなたにもし、もしわかるのなら
すごく嬉しいんだ

斎藤さんのあの優しい歌声でこんな暴力的(当時中学生だった私にとって)な言葉が出てくることにあまりにもビックリして、世の中にはこんな歌もあったのかと思いました。
それと単純に「なぜナイフを持ってる意味をわかってもらえると嬉しいんだ?」と疑問に思っていました。Tiger&BunnyのOPのため、作品を見ればわかるのかもしれません。私は最後まで見ていないので未だにわかってないのですが。

ここから少しして高校生の時にふとユニゾンのことを思い出して、そこからちゃんと聞くようになりました。ちょうど「桜のあと (all quartets lead to the?)」の時だったと思います。それ以来ライブには毎回必ず行くし、シングルもアルバムも欠かすことなく買うようになりました。なんならファンクラブにも入りました。
ではここからどこが好きなのかを思う存分語っていきます。


言葉の海へ

まずは歌詞です。
一度でもユニゾンの曲を聴いたことがある人はわかると思いますが、早いし高いし言葉数多いしで一回聴いただけでは歌詞がほとんど分かりません。もはや自分たちでも一聴ではわからないことを歌にしてしまっています。
だからこそCDを買い、歌詞カードを片手に噛み締めるように曲を聴くという体験ができるのです。
この時間が大好きで、これを体験するためにCDを買っていると言っても過言ではありません。
そして作詞作曲を担っている田淵さんの語彙力の高さ、言葉に対するストイックさを感じることができますし、知らなかった言葉に出会うことができます。未だに単語の意味がわからず歌詞カードを読みながら辞書を引くこともあります。
ではひたすらにお気に入りの歌詞をあげていきます。


『5分後のスターダスト』

静かに香る金木犀 
忘れかけてるものを思い出した
仄かに色づく金木犀 
忘れかけてるものを思い出した
「君は…」

わぁぁぁあ!
金木犀の香りがする!
鼻を掠めた!
なんだこの情景描写の高さは!
だめなんです。この曲は好きすぎてだめなんです。そして金木犀の香りも大好きなんです。
金木犀って秋のあの時期に絶対に香ってきて、その季節以外では香らないんですよ、私の中で。だからこそその香りが匂うと去年を思い出せる、まるで記憶装置です。
それが歌詞の、なにかを思い出したように言いかけた「君は…」とリンクするんですよね。
何回聴いてもその後になにが続くのかはわからないけど、なにかがすっごくわかるんです。
あと一節だけ!載せさせて!

永遠に近い無音空間 
深呼吸を忘れるから
笑うことさえもできず佇むような

聴いた自分の息も浅くなってしまいそうです。
なにがあったんだ、この歌詞の主人公。


『デイライ協奏楽団』

君がダイヤモンドを壊して
いっそ世界中に散リばめちゃってよ
そしたら一瞬だけ王様、いや女王様

ダイヤモンドは世界で最も硬い物質です。それを壊して世界中に散りばめるなんて、なんてロマンチックなんでしょう。それが女王様の仕業だと言うのだから、まるでヴェルサイユ宮殿です。マリーアントワネットを彷彿とさせます。
ちょうどこの曲を聴いていたとき「ジョジョの奇妙な冒険 第4部」を読んでたせいもあって、砕けないダイヤモンドと散りばめたダイヤモンドが一気に私に向かってきたと感じました。それだけダイヤモンドに表現の可能性があること、砕けても砕けなくても意味を持たせられ且つロマンチックになること、それらに感動したのを覚えてます。


『ガリレオのショーケース』

現実はそんなに悲しいものかしら
コンビニに売ってるのに

なんとも気が楽になる言葉。
コンビニで買えるくらいの手軽さだからそんな悲観するなよと言われているようだし、コンビニで買えるんだからいくらでもどうにでもなるよと励まされている感じもします。
コンビニほど現実味のある場所はないですよね。
すごい長い旅に出て久しぶりに帰ってきたとき、実家よりもコンビニの方が戻ってきたという実感が湧くかも。


『to the CIDER ROAD 』

相当前の過去はキレイだ?
光って至って美しい?
おまえが容易く決め付けるなよバカ野郎

世間に喧嘩腰のユニゾンスクエアガーデン。
この歌詞聴いたとき「そりゃそうだわ!」と気付かされました。誰が言ったかなんて知らないけど、よく昔は良かったなんて聞く。確かに良かったかもしれないけど、それを決めるのは自分だということ。
むしろ、「今だって光っていて美しいだろ」と伝えたいるような感じもします。
何にせよ自分で決めていいってことです。


『フライデイノベルス』

他に何を失ったって
君が生きてるだけで儲けもの
...いや違うな友達だって、美味しいものも、
お金だって大事か
ほらほら殴って!許します

いいよな〜〜!
壮大な愛を歌った歌も人生の尊さを歌った歌も好きだけど、すごくリアリストな歌詞もいい。
案外、そういう歌詞の方が肩の力が抜けるときもある。それを斎藤さんが歌うのだからまたいい。あんな優しい歌声で「生きてるだけでいいなんて、どう生きるかで変わってくるだろ」ということを歌うんだもの。
何かのインタビューで田淵さんが「斎藤くんには愛も大切だけどお腹すいたよね、ということを歌ってほしい」みたいなことを言ってた気がする。わかる〜〜〜!
もう一つだけ!斎藤さんの歌声で最高にテンションが上がった歌詞を!

そういうわけで 
いまだに 
ああ〜私の恋は青い珊瑚礁
『マジョリティ・リポート(darling, I love you)』

色っぽいな〜〜。
なんとも言えぬファムファタル感。
なのにまだ無垢な存在のような雰囲気。
田淵さんありがとう。


『invisible sensation』

努力だけじゃ未来は保てない 
目の前の希望を頼って拾って
重宝したら一歩先へ

ユニゾンにしては珍しいド直球なメッセージ。
そしてリアリストユニゾンスクエアガーデン。要は綺麗事を言わないんですよね。
そして地道な努力も大切だけれど、それを続けられるのってほんと稀にある嬉しいことのおかげだってこと、なんとなく体感してます。
それをそのまんま歌詞にしてくれました。
わかってくれてありがとう。
ただこれまでは現実をコンビニや切符に例えてたりしていたけど、この「ボールルームへようこそ」とのタイアップのときはとてもストレートな表現になっていると感じます。
作品の影響なのかな、なんて思ったりしてます。


『Catch up, latency』

拝啓、わかってるよ 純粋さは隠すだけ損だ
敬具、結んでくれ 僕たちが正しくなくても

す、好き〜〜〜!
これまで「拝啓…(誰かを指す言葉)」と言った感じの歌詞はあったと思います。
ただこれはそのまま本文へ続いてます。そして敬具で「純粋さは隠すだけ損だ」が正しくなくても、結んで欲しいと訴えていると取れます。
もしかしたら結んで欲しいものは違うかもしれないけど。
ともあれ、ただただ言葉の美しさに魅了される歌詞です。
どういう気持ちで書いたのか田淵さんにインタビューしたいランキング第1位です。


立ち姿

好きな歌詞が多すぎてだいぶ絞り込みました。
ここからはUNISON SQUARE GARDEN というバンドそのものの話をします。
そもそも、彼らのスタンスと私の性格の相性が良かったのです。
彼らはライブ中、観客を煽ったり手拍子を求めたり掛け声を決めたりしません。「ただ楽しく音楽を演奏するのでただ楽しく聴いてくれ」というスタンスです。もちろん曲ごとのお決まりの掛け声や振りがあるのも、みんなで一緒にするのは楽しいです。しかし音楽を楽しむ表現が自由であることも楽しいし、私にとってとっても気が楽です。そして彼らのライブはMCがとても短いです。長いMCもバンドメンバーの人となりがわかって楽しいのですが、短いMCのおかげで「彼らの音楽を聴きに来た」というライブの目的をより強く感じられます。
このライブに対する、彼らの頑固とも取れるし異端とも取れるスタンスが心地よいのです。
まさに「あ、明日ライブか」と思い出してフラッといけるような気軽さがあるのです。
ライブというものを特別視しているけど特別なものと思わせない、彼らのマーケティングセンスに感服します。


そしてカップリングに対する彼らの立ち姿。
田淵さん曰く、カップリングはシングルCDを買ってくれた人へのプレゼントなんだそう。
だから彼らのアルバムにはカップリングが入らない。
そして、ストリーミングでもシングルは配信されていない。なぜだろうと思ってたのですが、これだけストリーミングがメインチャネルになっても「カップリングはシングルCDを買ってくれた人へのプレゼント」という信念を貫いていたのです。
これに気がついたとき本当にかっこいいと思いました。

最高にカッコいい立ち姿を見せてくれている彼ら。

実は数日後にライブに行きます。
そんな彼らがこんな世の中で掲げたライブモットーは「ロックバンドは座っても観られる」。

ロックバンドの異端を走ろうと、ロックバンドの可能性を捨てない。

また楽しそうにバンドをしている彼らを自分勝手に楽しんできます。これからも。


通話中



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