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サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)

映画『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』はなぜ50年封印されたのか?

それは単に資金がそんなになかったか、白人にはどうでも良いコンテンツだったからだと思われる。その程度の理由じゃないかな …

ハーレムで開催された1969年、前年にメンフィスでMartin Luther King Jr.が暗殺され、途方に暮れた黒人は平和的な運動から、ブラックパンサー党(支持するしないは別として)の黒人民族主義運動・黒人解放闘争に移り始めた時期だと思う。James Brownは「Say It Loud - I’m Black and I’m Proud」をリリース、メキシコオリンピックのブラック・パワー・サリュートも1968年だ。

2021年に公開されたこの映画のテーマはブラックパワーだろう。そして、Negro から Black に変わりそのことにプライドを持つべきだと叫ばれた、その時期のハーレムでの象徴的な出来事だろう。
開催されたすぐ後に映像化されていたら単なるフェスの記録だ。ウッドストックとは比べ物にならないほど小さいし。

音楽的には、同時期にはDiscoミュージックがもてはやされ出した。そして、70年代に入りDJ Kool Hercらの登場で、Discoに行けないもっと若い層(きっとこの会場で見ていた10歳前後の子どもたち)はストリートでHip Hopムーブメントが起こる。この映画はそのちょっと前の映画だ。

ベトナム戦争に対しては「あれは白人が始めた戦争だ。黒人は銃を向ける警官と戦わなければならない」とインタビューが印象的だった。それは今も続いている。
フェスと同日に月に人類が足を踏み入れたことに対しても、「そんな金あるならオレたちをどうにかしてくれ」が確かに本音だろう。

とはいえ、マヘリア・ジャクソンとメイヴィス・ステイプルズの共演は痺れた!
スライ&ザ・ファミリー・ストーンの時代先取り感も素敵だった!

たまらん映像と音楽だった〜。

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