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私と推しと彼と解釈違いの恋

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短編小説「私と推しと彼と解釈違い」のまとめです。 アイドル現場で知り合って彼氏と彼女になった私たちが、メイドカフェとコンカフェでそれぞれ次の推しに出会って、「推す」ということの…
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【小説】私と推しと彼と解釈違い①

  気持ちのいい秋晴れの日だった。だからなんで、よりによってこんな日に、ってあの時は思ったけど。今思えば、それでよかったような気もする。例えば雨の寒い日に、あの別れのことを思い出してしまうとしたら、嫌すぎる。 ・・・ 「あのね、もう、無理みたい」 「えっ、何が」 「…別れ、たい」 「はぁぁあ? 何それ、なんで」 「……解釈が、違う。しかも、ひろくんの解釈が、私には無理なやつなの」  驚いた顔の彼の後ろ、大きな窓の外は気持ちのいい晴天。  言っちゃった。  まだ言うつもりじ

【小説】私と推しと彼と解釈違い④

「え~、亜紀てんはそれでいいわけ?」 「それでいいって…いいつもり、だけど」  そう、小さな違和感。それは、ヲタとしてじゃなく、彼女としての嫉妬…だよね、やだ私恥ずかしー。そんな風に女子トークのネタにした、つもりだった。メイドカフェのお嬢様友達のまきろんは、いつもフリルがわしゃわしゃした可愛いワンピース姿で、私の他の友達にはいないタイプ。可愛い声で結構バッサリ毒舌なところも、他の友達とは違うから、私もなんでも気楽に話せちゃう。 「彼氏と彼女の話って言われるとよくわかんないけど