おしゃべりな自分

今日は歯医者に行った。
家のすぐ近くのショッピングモールの中にある歯医者なのでとても通いやすく、帰りにスーパーで買い物も出来たりするのが良くて、私にしては今のところ順調に通えている。
「少し響きますよ〜」という先生の声に続いて、歯がゴリゴリと削られる。こんな大工事が私の口の中で行われていて大丈夫なのか?とヒヤヒヤしつつも麻酔がよく効いていて痛みは全くなくどこか他人事のような感じもする。

歯医者で施術を受けている間は暇なのでよく色んな考え事をする。
この歯科衛生士さん可愛いな。そういえばツイッターでどこかの歯科衛生士さんが「こっそり指舐めてくる患者いるけどキモすぎ」みたいなこと書いてたな。想像したらだいぶキモいかも。ヤバ。
とかいうしょうもないことから
歯医者に定期的に通えるってよく考えたら恵まれてるよな。ぶっちゃけ通わないなら通わなくてもいいもんな。そう考えると小さい時からちゃんと通わせてくれてた親ありがたいな。
とか突然親に感謝したりする。
その流れで子供の頃通ってた歯医者に思いを馳せると、結構前のことなのに色んなことを思い出す。
あそこの先生、いつも怖い男の先生で嫌だったな。フッ素の時間、長いし不味いし嫌いだったな。
パズルがいっぱい置いてあって待ち時間によくしてたな。あそこに行くと絶対毎回読むお気に入りの絵本、あったな(ねえ、どれがいい?というタイトルの絵本)。
そうすると次は他の色んな病院を思い出す。
点字の絵本を初めて見たのも病院だったな。点字ってことはあれは眼科だったのかな。坂の上にある耳鼻科に通ってたこともあったな、あの病院に行った帰りは必ず近くのお菓子屋さんに寄ってもらえて嬉しかったな。ずっと通ってた小児科では「りぼん」とか「なかよし」とかそういう少女漫画を読んでた。月に1回は通ってたからタダで毎月読めてたな。懐かしいな〜。

そんな風に思い出に浸っていると「終わりです、うがいしましょうか」と声をかけられる。

私は心の中ではお喋りなのに、本当に心を許した人にしか自分の話は出来ない。
さっきみたいな私のどうでもいい話を何も言わずに黙って聞いてくれる人が出来たらいいのにな、とこっそり思う。
こう思うといつも思い出すのが、「anone」というドラマで主人公のハリカちゃんが食卓で「あのねあのね」と次々に話をするシーン。それまでは無愛想でぽつぽつとしか話をしなかったのに、心を許した途端堰を切ったように話し始めるのだ。
その姿がとても幸せそうで私はいつも「いいなあ」と思ってしまう。

今のところそんな人はいないので、私は今日もひとりでぼんやり心の中で独り言を並べている。


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