【世界初のメロンケーキ職人・加藤シェフと対談】「まるごとメロンケーキ」成功の裏側
こんにちは、Cake.jpの高橋です。
今回は、Cake.jpの大ヒット商品の誕生のヒストリーをご紹介をしていきたいと思います。
その大ヒット商品とは、まるごとメロンケーキ。
まるごとメロンケーキは、2020年の販売開始からテレビやSNSで多数紹介され、累計販売個数5万個を突破した、Cake.jpの中で不動の人気を誇るケーキです。
まるごとメロンケーキの生みの親である、Atelier KATOのオーナーシェフ・加藤幸樹さんより、レシピ提供(OEM)をしていただき、販売がスタートしました。
加藤さんとCake.jpの取り組みがスタートしたきっかけや、当時の課題について加藤さんとの対談を通して振り返ってみました。是非最後までお読みいただけると嬉しいです。
アトリエカトーおよび加藤さんのご紹介
2020年11月に神戸市六甲にオープンしたsweetsショップ。(2023年4月に大阪市北区に移転)「感動と体験」をテーマに「まるごとメロンケーキ」や「生カヌレ」などのここでしか味わえない新感覚スイーツを発信する。
スーパーやコンビニで手軽に美味しいsweetsが手に入るのが今や当たり前。そんな時代の中で、当たり前の美味しいの先にある感動や体験を感じていただけるような「作品」を生み出し発信するための場所にしたい。表現方法はsweetsですが、創りたいモノはあくまで「作品」。「pâtisserie(パティスリー)」ではなく「Atelier(アトリエ)」という店名は、そんな意味を込めて名付けられています。
【加藤さんのプロフィール】
1986年、広島県庄原市生まれ。高校を卒業後、すぐに広島の有名パン屋「三良坂パン工房麦麦」にてキャリアをスタート。そこから地元の老舗和菓子屋を経て、リーガロイヤルホテル広島に勤務。その後、大阪の「ラ タルティーヌ」でシェフを務めたのち、食への見聞を広げたいと28歳でフードコンサルタントとして独立。2017年に大阪北新地の有名寿司店「寿し門司」のスイーツ監修を請負い「メロンケーキ」を開発。「世界初のメロンケーキ職人」として様々なメディアに取り上げられる。
なぜCake.jpと一緒に取り組みを行おうと思ったのか
1.きっかけはコロナ禍×ECの可能性
高橋 本日はお時間をいただきありがとうございます。改めて、Cake.jpとの取り組みを決めたきっかけを教えてください。
加藤 4年ほど前、コロナ禍で店舗での販売に困っていたタイミングで、知り合いの「OMUSUBI Cake」がECで売上を伸ばしていて、話を聞いたらCake.jpというECサイトがきっかけと聞いたのが始まりですね。
洋菓子業界は横のつながりが強く、色々な情報交換が行われています。コロナの時はみんな困っていて、仕事もなかなか進められず情報交換をする機会が多かったです。ECでのケーキ販売に特化するというのは当時あまり例がなかったと思いますが、ECサイトで1,000万円の売り上げがあるのはシンプルにすごいと思い、僕から紹介してほしいとお願いしました。
高橋 大阪で「OMUSUBI Cake」や「まるごとメロンケーキ」が面白くて話題になっている、ということを知人から聞いていたので、もともと加藤さんがつくるまるごとメロンケーキのことは知っていました。Cake.jpでは2017年から本格的に誕生日ケーキを取り扱っていましたが、当時は商品そのものをかわいくしたり、サプライズ要素を入れていくということは発想がなく、お客さんに喜んでもらう仕掛けを作っていくというまるごとメロンケーキに魅力を感じていたので、取り組みができることにわくわくしました。
2.通販で監修ケーキ販売において大変だったこと
高橋 「OMUSUBI Cake」は注文が入ったら製造して店舗から発送してもらうスタイルをとっていましたが、まるごとメロンケーキは加藤さんに監修いただき、Cake.jpの工場で製造(OEM化)してお届けしています。監修に関しての不安や大変だったことなどありましたか?
加藤 大変だったことは私の拠点である大阪とCake.jpの工場がある東京を行ったり来たりしたことくらいで、Cake.jpが私のレシピをもとに忠実に再現してくれており、キャッチボールが楽だったので不安はなかったです。あとは材料の供給ですかね。夏のフルーツであるメロンを一年中仕入れなければいけないので原料の供給ルートを作るのが大変でした。
高橋 不安や大きなトラブルもなく販売まで進めることができたのは、加藤さんがビジネス的な感覚が抜き出ているからだと感じました。加藤さんは早く世の中に出す、それを効率的に製造していくという意識が強く、我々もプロジェクトを進めやすかったという印象があります。
3.結果として労働環境の改善に
加藤 作業効率を常日頃意識しているからかもしれないですね。飲食業界は特に労働時間が問題だと思っています。経営者は働けばいいと思うんですけど(笑)雇用される側は別だと思うので。うちはめちゃくちゃそこをきれいにやっていたんですよ。8時間なら絶対8時間しか働かない。年間通しての残業時間が10時間以内なんです。
高橋 飲食業界でそれは珍しいですね!どのように実現しているのですか?
加藤 製造を極端に減らしてるわけではなく、年間スケジュールをしっかり決めることを大切にしています。結構街のケーキ屋さんって後手後手になってるところが多いんですよ。でも、レシピや原価計算とかも1回作ってしまえば資産になってずっと残っていくじゃないですか。うちは徹底的に管理していて、原価管理
とかもExcelでシステムをつくっています。
高橋 ケーキ屋さんとかはどんぶり勘定というか大体で動いているところも多いですよね。
加藤 大手とかじゃないとしっかり管理する仕組みはあまり作らないかもですね。どこまで細かくやるかはあると思いますが、販売個数、想定利益率がどのくらいかは決めておいたほうがいいですよね。
高橋 他のケーキ屋さんとお話してるとベースの損得計算をやっていないところが多くて、単価が高くなってしまって買われづらくなるという悪循環になってるところも多いなと思っていて。問屋さんに言われたまま原材料の仕入れをしている方も多いなと感じています。
加藤 確かに原材料は大手のように多く仕入れたほうが安くなるとは思いますが個人店だと難しいですよね。食材、材料に対するこだわりについては、お客さんが食べたときにわからない違いだったら意味ないなと思っています。
最終的にお客さんが求めているものを作る事が大事で、ここでしか手に入らない特別な商品を作るということは意識していますね。
「まるごとメロンケーキ」誕生秘話
1.体験を売るという発想で生まれた「まるごとメロンケーキ」
高橋 それでいうとまるごとメロンケーキは最たるものかなと思います。ケーキは、物というよりもレジャーに近い商材だなと感じています。
加藤 モノ売りには限度があるけどコトになるとまた体験自体に価値がでてくるので、お客さんに提供できる価値が高まりますよね。
高橋 まるごとメロンケーキは味が美味しいというのはもちろんなのですが、カットしてメロンの中からケーキがでてくるという体験自体も楽しんでくださっていて、他のケーキよりも値段は高いですがお客さんの満足度は高く、リピーターが多い商品です。購入者さんのレビューの熱量も高いと感じています。
メロンケーキを作った経緯やアイディアが生まれた背景もお聞きしたいです。
加藤 8年前にスイーツ事業を経営していたのですが経営面で上手くいかず廃業していまい、仕事がない中で鮨「門司」(大阪・北新地)さんに拾ってもらって、デザート好きな大将から、「世界で一番デザートが美味しい寿司屋にしたい」という話をもらったことが発端です。僕は0→1よりもテーマがあるほうが良いアイデアを出しやすいんです。
そこで辿り着いたのが、お寿司屋さんはカウンターでのパフォーマンスが醍醐味なので、ケーキも目の前で完成するものにして、お客さんがびっくりするようなケーキにしようというアイデアだったんです。それから、高級鮨店で最後に味わうデザートは、他では食べられない贅沢なケーキがいいなというイメージもありました。
当たり前ですけど1,200円のケーキに1,200円の原材料はかけられない。その点で、ひと玉5,000円以上もする高級マスクメロンをまるごと使ってケーキにしようというケーキ屋はいないので、他にはないケーキになると考えました。当時Instagramのストーリーズが流行り始めてて、「15秒」内でできるパフォーマンスを考えた結果、今のまるごとメロンケーキになりました。
高橋 まるごとメロンケーキを出された後の反響はどうでしたか?
加藤 発売した当時、TikTokは音楽SNSで、グルメ系の動画はあまりあがっていなかったんですが、たくさん投稿されました。お鮨屋さんにいかないと食べられない特別感はレジャーや観光に近いですよね。口コミだけでだいぶ広がりました。
高橋 加藤さんはマーケティングの意識が強いですね。お客さんが広めるという部分まで設計しているところもすごいなと思います。当時、まるごとメロンケーキの類似品が多く出回った印象なのですが、気になりませんでしたか?
加藤 根本的な部分を理解せずに真似しても続かないなと思っていたので特別懸念はなかったです。また、本物と偽物がごちゃ混ぜになる前にCake.jpでの販売が、本物で一択だ、と発信できたのはよかったです。
2.Cake.jpで販売してよかったこと
高橋 Cake.jpで販売してよかったことがあれば教えてください。
加藤 Cake.jpの発信力によって、テレビを始めとした多くのメディアで取り上げていただき、認知が広がったことで、たくさんの方にケーキを届けられたことはよかったです。
実際に、自社だけで売れる量と桁が2つ違い、その分、会社としての利益もあがりました。一人でやっていたらたとえ売れたとしても製造やお届けはキャパオーバーで対応できないので、製造委託できたことで実現できたことがよかったですね。
これから仕掛けたい洋菓子業界への取り組み
1.業界への恩返し
高橋 今後加藤さんは今後ご自身のキャリアをどう進んでいこうと思っているのか気になっています。
加藤 今から違う業種は考えていないですが、人脈とフックがあれば正直なんでもできるかなと思っています(笑)
その場の利益だけでなく、お客さんが喜んで口コミしてくれる、広がっていくという流れは作りたいですね。ケーキ屋の軸ではやっていきたいんですけど、多店舗展開ではないかなと思っています。
高橋 店舗を増やすことは考えていないのですね。
加藤 店舗作りはこだわりが強すぎて全部の店舗を見切れないなと思っています。コンサルとか客観的にみるほうが向いているなと思っています。自分一人で提供できる商品の数は限られているので、一人でまた会社を立ち上げて、というよりは監修や顧問などをやっていきたいなと思っています。
あとはどこまで行ってもこの業界に恩返ししたいなと思っています。教育とかもいいですね。専門学校の先生とか。先につながることがしたいなと。本書いたりとかもいいですね。もともと文を書くの好きなんですよ。食べログやグーグルとか!めっちゃ書いてます!(笑)
2.ケーキ屋コミュニティを作って共創の関係性築く
高橋 今年来年くらいにやりたいことはありますか?
加藤 コミュニティづくりに関心を持っています。例えば、大阪のケーキ屋さん100店舗をグループLINEとかでつないで、繁忙期閑散期で人の入れ替えができるような仕組みを作ってみたいなと思っています。お店側のメリットとしては経験者がヘルプにきてくれる、雇用側もお金をもらいながら勉強して経験を積めるというのは魅力的だなと思います。
高橋 面白いですね。同じ環境だけで働いていると視野も狭くなりますし、人材不足の解消にもつながります。いい取り組みになりそうですね。
加藤さん、本日はお時間いただきありがとうございました!
まとめ
加藤さんのように、パティシエの言わば命である「レシピ」を我々に預けるという判断に至るのは容易なことではありません。ですが、今回ご紹介したまるごとメロンケーキのように、Cake.jpと一緒に取り組むことで、製造量の担保や、SNSやテレビなどの各メディアで紹介してもらうといったマーケティング・集客の支援、ユーザーからの問い合わせ対応など、製造以外に必要な役割はCake.jpが担い、パティシエの皆様にはケーキ・スイーツ製造に全力を注いでもらう環境を整えることができています。通販に踏み出したいが何から始めていいか分からないとお困りの方は、是非お気軽にお声がけください。
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