80歳夫婦イタリア絵画旅行記 (22)
【イタリア・あの愛しい人達に】
マントーヴァ(4)
マンテーニャの凄さと魅力
西側壁面の入口右側に描かれているゴンザーガ一族の男性達の立像群。ここではなんと言っても下記画像のゴンザーガ候のたいへんリアルな堂々とした肖像の活写に凄みがあり圧倒的です。この西側壁面は随分時間を掛けて描かれたそうですが、その力量が存分に発揮されていることを感じます。
これらは実在した人物の容姿を恐らく忠実に再現されたものと思え、それぞれ登場人物の個性が見事に描写されており、それによって強い存在感が伝わって来ます。
この一室では、人であれ、動物であれ、植物・風景であれ、それぞれ見事に描き切っており、マンテーニャの余りある力量の凄さを容赦なく感じさせます。マンテーニャはそれにしてもやはり凄い画家だなぁと思います。
今でこそ描かれた当時のままのような壁画ですが、時には倉庫になったり、また戦争による被害を受けたり、地震の被害など…… かなりひどく傷んだ状態だったようです。その頃の写真を見ると愕然としますが、後に修復され、現在のような状態で見られるようになり、たいへんありがたいことと思います。原画の価値を損なわず良くここまで修復されたものだと感動します。愛すべきマンテーニャが毅然としてここに在り、またここに残されたことの素晴らしさ!
さて、このゴンザーガ候の肖像は特に凄いなぁと思いますが、実は私はこの壁面の中央下部に描かれた一番小さな子供の姿(下記画像)にたいへん心惹かれます。
幼い子供の面影・表情がなんとも良く描かれており、鋭いまでの描線がおでこから鼻梁へ、そして口元、下顎から耳元へと、明快に描かれており、リアルで実感に溢れたこの子の描写にたいへん心惹かれます。対して、衣装は対照的に平面的・直線的で、シャープにデフォルメされた表現が……。この対照的な表現を意識して積極的に強く押し出し合致させたところに、大変斬新で印象強く心に残ります。
また、この画像の中ではそれぞれの人物の様々な表情の手が描かれていて興味深く、日頃、手の描写に苦労している身としては大変注視するところです。
私も娘が幼い頃、結構その姿を描きました。
また、兄の所へ行って、甥や姪などを写生し、作品化もしましたが……、どれも拙い作品ですが、たいへん愛着があります。
*拙い文をお読み頂きありがとうございました