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1972年リリースのアルバム「Sail Away」

”1972年リリースのアルバムでRateYourMusicのユーザ評価が高いもの” トップ50を調べ、当時と今の評価を紹介してきた。

1972年のトップ50ではないが、評価の高いアルバムをいくつか紹介してみる。
まずランディ・ニューマン( Randy Newman)の「セイル・アウェイ(Sail Away)」。

これは発売当時から傑作扱い。もちろん日本盤も本国とほぼ間を置かずに出ている。

ただ日本できちんとプロモーションされたか、売れたかというと甚だ怪しい。アメリカのロックをきちんと追いかけていた人たちにはともかく、それ以外の人にはとにかく言葉の壁が厚かったのではないだろうか。

Sail Awayから5年後、アメリカでShort Peopleが大ヒットしたことで、ランディ・ニューマンてやっぱり凄いねという感じで日本でも再紹介されたのではないかな。

でもアメリカ本国も含め「Sail Away」はSSWとしてのランディ・ニューマンの最高傑作という扱いは当時から今もずっと変わっていないと思う。

冒頭の「Sail Away」はアフリカの人々を騙してアメリカに連れてくる話(要するに奴隷船だ)、「Political Science」は気に入らない国には核爆弾を落とすという話などなど、そのシニカルは語り口の歌詞は半世紀経った今でも響いてくるものがある。

その「Sail Away」や「You Can Leave Your Hat On」などは多くのカバーバージョンがあり、曲自体のレベルが高いのもアルバムの評価が高い理由だろう。

いろいろカバーはあるが個人的に気に入っているのがフランキー・ミラーの「Sail Away」。

アメリカに行けば飯が腹いっぱい食える、ライオンや毒蛇を心配することもない、人間らしい暮らしができる、さあこの船に乗って自由の国アメリカへ出発だ!

もちろんアメリカに着けば奴隷としての身が待っている訳だ。

そんなアメリカの暗部がテーマな歌を、騙されてアメリカに連れてこられた人々の子孫たちの音楽(ソウル)が大好きで影響を受けていて、奴隷貿易とは切っても切り離せない関係のあるイギリス人(だけどスコットランド人)のフランキー・ミラーが歌うという非常に複雑な構図。

こういう一筋縄ではいかないランディ・ニューマンの曲をカバーするからには、カバーする側にもそれなりの知性が必要だというお手本である。

1972年リリースのアルバム トップ50のリストはこちら


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