見出し画像

映画「Perfect Days」のTrivia

ヴィム・ヴェンダースが東京を舞台に撮った映画「Perfect Days」。ヴェンダースがヴェンダースに回帰した傑作としてすでに大評判ですが、この映画にまつわるTriviaをまとめてみました。
Trivia以前のパンフやクレジットに書いてある情報も含みます。

ヴィム・ヴェンダース

  • 役所広司が演ずる主人公の平山が夢で見るモノクロ映像はドナータ・ヴェンダースによるもの

    • ドナータ・ヴェンダースはヴィム・ヴェンダースの5番目の妻で写真家

    • Perfet Daysの日本公開に合わせて彼女の展覧会《KOMOREBI DREAMS》が都内で開催されていた

    • 2人は日本で「木漏れ日」という言葉と概念を知ったそうだ

    • クロージングでは田中泯がパフォーマンスを披露した

  • 平山が読む文庫本の一冊はパトリシア・ハイスミスの「11の物語」

  • ヴェンダースが監督したデニス・ホッパー主演の「アメリカの友人」はパトリシア・ハイスミス原作

  • 2月2日から恵比寿映像祭の一環としてヴィム・ヴェンダースの写真家としての展覧会が都内で開催されていた

  • ヴェンダースのレコードコレクションは2万枚

  • ヴェンダース曰く ”ヴェルヴェットアンダーグラウンドが僕の人生を救ってくれた。

  • ルー・リードは1993年の「時の翼にのって」にも本人役として出演している。

KOMOREBI DREAMS by Donnata Wenders

ヴェンダースと小津安二郎

  • ヴェンダースの映画の師匠は小津安二郎。↑ついあからさまに小津風な構図で撮ってしまったりする。

  • Perfect Daysが撮影された2022年は小津の遺作「秋刀魚の味」からちょうど60年後。

  • Perfect Daysの主人公は「平山」という性だが、「秋刀魚の味」や「東京物語」で笠智衆が演じる主人公の姓も「平山」。

  • 平山が居酒屋でプロ野球中継を見るシーンは小津の「東京物語」へのオマージュ。

    • 巨人の丸(元広島)が広島の大瀬良からホームランを打っている。場所は東京ドーム。

    • 広島を出て東京で生きる者と広島で生きる者との物語。明らかに東京物語と同じ。

    • 映画の撮影が行われたのは2022年10月。しかし、丸が大瀬良からホームランを打ったのは5月12日と8月12日の2回だけ。わざわざ過去の映像を使っているのは、そういう意図があったからだと思われる。

  • 平山が妹のケイコから貰ったお土産は「鎌倉紅谷」のお菓子。

    • 鎌倉は小津が眠る地であり、多くの小津映画の舞台にもなっている。

    • ヴェンダースの「東京画」で笠智衆のインタビューが行われたのは鎌倉の旧川喜多邸(現川喜多映画記念館)である。

Perfect Daysの撮影

  • 下北沢の中古レコード店FDR(フラッシュ・ディスク・ランチ)で2022年10月17日(月)にロケ撮影が行われていたので、映画の撮影は2022年10月である。

  • 撮影は17日間で終了している。

Perfect Daysの出演者

  • 舞踏家の田中泯のクレジットは ”Homeless”。

    • でもたぶん元天使のホームレスである

    • もしかしたら平山だけに田中泯が見えているのかもしれない

  • THE TOKYO TOILETの最初のトイレがオープンしたのは2020年8月。研修などもあっただろうから、平山が今の職に就いたのは2020年の7月か8月である。

  • 平山が今の場所に住んで6年(?)なので、THE TOKYO TOILETの清掃以外の仕事をしていた時期がある。

  • 片桐はいりは声だけの出演

  • FDRのシーンにはヴェンダース自身がカメオ出演している。

Perfect Daysの音楽

  • ヴァン・モリソンのBlue Eyed Girlの邦題は「青い瞳の少女」。

    • バックボーカルはSweet Inspirations。ホイットニー・ヒューストンのお母さんのシシー・ヒューストンがいた頃である。

  • 姪のニコはもちろんモデルでシンガーのニコ(Nico)から。

  • ルー・リードは元ヴェルヴェットアンダーグラウンド(ヴェルベッツ)。

  • ウォーホルがデザインしたバナナのジャケットで有名な「The Velvet Underground & Nico」の日本盤発売はアメリカでオリジナルがリリースされてから6年経った1973年。

  • Pale Blue Eyeが収録された3rdアルバム「The Velvet Underground」の日本盤発売はオリジナルから遅れること13年の1982年。

  • Redndo Beachはパティ・スミスのデビューアルバム「Horses」収録曲。プロデュースは元ヴェルベッツのジョン・ケイルである。

    • ギターのアイヴァン・クラールはチェコからの亡命者だが、当時は映像作家としての活動もしていた。

  • ルー・リードのPerfect Dayは「Transformer」に収録されている曲。プロデュースはデヴィッド・ボウイとミック・ロンソン。

1972年のボウイ、イギー、ルー(左から)
  • 「青い魚」の金延幸子(かねのぶ・さちこ)はロック評論家の方のポール・ウィリアムズの元奥さん。SF小説家のP.K.ディックも友達だったそうだ

  • この曲のバックは細野晴臣、林立夫に鈴木茂。ティン・パン・アレーである。

  • 居酒屋の女将を演じているのは石川さゆり、ギター伴奏はあがた森魚(あがた・もりお)

  • 石川さゆりが歌う「朝日楼」は「朝日のあたる家」に浅川マキが日本語の歌詞をあてたバージョン

  • ストーンズの「めざめぬ街 (Walkin' Thru The) Sleepy City」は1975年発売の編集アルバム「メタモーフォシス (Metamorphosis)」にしか収録されていない(と思う)。

  • ソウル/ゴスペル界のレジェンド、アル・グリーンが2023年8月に数年ぶりのシングルとして「Perfect Day」をカバー。映画がカンヌで賞を撮ってからの録音、リリースなのでどうしても便乗商売に見えてしまう。

Perfect Daysのトイレ

  • 映画に登場するトイレは東京の渋谷区に実在するトイレである。

    • 公共トイレのイメージを払拭しようとするTHE TOKYO TOILETプロジェクトとして建築家やデザイナーが設計したもの。

    • ただしトイレとして機能するようTOTOが監修をしている

  • 全部で17か所あるが、映画の撮影時に完成していなかったトイレも多い。

  • 西原一丁目公園トイレの設計は坂倉竹之助。ZEEBRAは継息子、SPHEREは息子。祖父は西村伊作、ホテルニュージャパンの横井英樹は義父。世界は繋がっているのである。

  • 映画「Perfect Days」はこのTHE TOKYO TOILETのサブプロジェクトとして立案されたもの。

  • 他のサブプロジェクトとして、森山大道の写真集「THE TOKYO TOILET」も刊行されている

  • 当初はヴェンダースに短いドキュメンタリーを撮ってもらうつもりが、結果的には長編映画という形になった。

  • コンセプトは ”お金をかけたインディーズ映画”

実際のトイレ

  • 映画に登場するトイレはやはり特別で東京のトイレ全部があんな感じな訳ではない。

  • ただTHE TOKYO TOILETのトイレは実際にはかなりきれいに使われているものが多い。

    • 1日3回の清掃が行われている

  • TOTOが監修はしているが誰もがトイレに長けた建築家、デザイナーではないので使い勝手は正直なところ玉石混交。

    • 明らかなアイデア倒れから、よく出来ていると感心するものまで。

  • 全17か所、1日で巡るのはかなり大変。

  • こんな記事が参考になると思う。

THE TOKYO TOILETプロジェクト

  • スポンサーは日本財団。かつての日本船舶振興協会。

    • 競艇のあがりを慈善事業に配分している団体である

    • 初代会長は ”最後のファシスト” で一日一善、人類はみな兄弟の笹川良一。

    • その後曽野綾子会長を経て今は良一の息子の笹川陽平が会長

    • 笹川良一は統一教会の文鮮明と勝共連合を創設した人物。ただ統一教会とは半世紀前に絶縁している

  • パートナーとして名を連ねる大和ハウスはトイレの施工を担当。

  • 大和ハウスといえばダイワマン。初代はもちろん役所広司だ。

  • トイレの清掃も含む運営は日本財団が担当している。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?