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1972年リリースのアルバム#19 「Talking Book」

自分のブログで ”1972年リリースのアルバムでRateYourMusicのユーザ評価が高いもの” トップ50を調べてみた。
50年後に世界中のユーザーが振り返っての評価なので、リアルタイムでの評価・評判とはもちろん異なっている。

半世紀前、1972年のトップ50アルバムと当時と今の評価を紹介したい。

1972年のトップ50リストのNo.19はスティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)の「Talking Book」(トーキング・ブック)

スティービーは「心の詩(Music Of My Mind)」とこの「トーキング・ブック」の2枚を1972年にリリースしている。トーキング・ブックがアメリカで発売されたのが初冬だったこともあり日本発売は1973年にずれ込んでいる。
日本で迷信がヒットしていたのは1973年の春先から夏にかけてだったと思うので、アルバムの方も同じ頃にリリースされていたのだと思う。

トーキング・ブックについてはもう当時も今もあまり評価は変わっていないと思う。
ただ「心の詩」まではスティービーを聴くのは主にソウルファンだったのが、「トーキング・ブック」でロックファンも含めてより多くの人が聴くにようになったブレイクスルー的なアルバムだろう。
ヒットした「迷信」は今考えればあんなファンキーで斬新な曲がよくヒットしたなと思うが、でもそれは ”斬新” で ”今まで聴いたことがないサウンド” の歌がヒットする当時の方が今より健全だった証拠でもある。

ここから「キー・オブ・ライフ (Songs In The Key Of Life)」までのスティービーについてはポップでソウルフルでファンキーで、とにかく賛辞の言葉がいくつあっても足りない感じだ。

スティーヴィー・ワンダーはよく ”盲目の” と言われ、受け取ったグラミー賞のトロフィーをしげしげと眺めたり自分でもネタにしていることがあったりす。

そのため本当は見えているのではという話もあったりするようだ。

昔クインシー・ジョーンズのインタビューでこんな話をしたのを覚えいる。

クインシーが自宅の部屋にワニ(仮に名前をエディ)を飼っていたことがあって、そこにスティービーが遊びに来たそうだ。以前にも何回かその部屋に遊びに来たことがあったスティービーは部屋の中を勝手に歩き回って酒をグラスに注いだりしていたらしい。ワニを踏んだらマズいなと思ったクインシーが ”エディに気を付けてくれ” と声をかけるとスティービーは ”エディって誰?”
クインシーが ”ワニのエディだよ!” と返した瞬間、スティービーはその場で固まって動けなくなってしまったそうだ。

この話を日本の雑誌で読んだのか洋雑誌で読んだのか忘れてしまったが、このエピソードからはほとんど目が見えないのだろうなと思う。本当のところはいずれ本人が明かすのだろうが。

スティービーがジェフ・ベックに贈った曲は「迷信」の他にもう1曲、「Blow By Blow」に収録されている「哀しみの恋人達」。

ジェフ・ベックによるカバーバージョンはロックの定番曲で誰でも耳にしたことがあると思うが、オリジナルはスティービーが元妻シリータ(・ライト)のアルバム「スティーヴィー・ワンダー・プレゼンツ・シリータ」用に書いたもので、こちらのオリジナルバージョン意外と聴かれていないようだ。

離婚したばかりの元妻のアルバムをプロデュースし曲も書くスティービー。大人の世界はよく分からないと思ったものだ。

1972の#15はこちら


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