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『その案件、弊社なら1金で受けれますが?』ルールブックVer.0.91

 2023ゲムマ秋の新作ボードゲーム『その案件、弊社なら1金で受けれますが?』のルールブックVer.0.91です。前回の第一稿のリアクションを受けて微修正をしたものとなります。22日のテストプレイ会で確認後、FIXの予定ですのでよろしくお願いします。

 なお、22日のテストプレイ会はこちら↑となります。まだ枠があるので、興味ある人いたらぜひ。

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■内容物

カード54枚
ダイス 5個
報酬トークン 8個
借金トークン 4個
マニュアル

■プレイ人数

3~6人

■このゲームは?

各プレイヤーは会社となり、自社の内部留保(会社の貯金)を高めることを目的とします。手番プレイヤーはクライアント(発注主)となり、他プレイヤーに仕事を依頼します。巧みな交渉により安い報酬で他社をこきつかって労働力を搾取し、自社の利益を最大化しましょう!

※ゲーム中は自分のことを「弊社」、他プレイヤーのことを「御社」と呼び、ビジネス敬語を織り交ぜながら交渉すると雰囲気が出るのでオススメです。

■カードの見方


①ビジネスパワー……他社から仕事を受けた時に遂行する能力です。ダイス数で示されます。
②ダイス補正……ビジネスパワーに補正をかけ成功率を底上げします。一部の優秀な社員のみが保持する能力です。
③企画案件……この社員が企画する案件です。他社に遂行してもらいます。
④報酬……③の案件に成功した際に得られる利益です。この利益を遂行した他社と分け合います。
⑤内部留保ポイント……内部留保する時の点数。いわゆる「勝利点」です。一部のカードは勝利点ではなく「賠償」と書かれています(賠償は0点)。
⑥肩書とビジネスネーム……この社員の肩書と名前。フレーバーです。
⑦カラー……外枠の色がカードの業種を示します。赤はIT系、青はクリエイティブ系、黄色は経営系です。なお、カード背面にも同じ色が付いているため、他プレイヤーの社員の業種は見て分かります。

※基本的に手番プレイヤーは緑枠の中を、それ以外のプレイヤーは青枠の情報だけ見ればOKです。

■準備

 カード54枚をシャッフルして裏向きの山を作り、中央に置きます。報酬トークン、借金トークン、ダイスは皆が取りやすいようカードの近くに置いてください。
 じゃんけんなどで親を決め、各プレイヤーにカードを配ります。親は2枚、時計回りで親の次のプレイヤーは3枚、それ以外のプレイヤーは4枚を受け取ります。このカードは手札にして、自分だけが見てください。
 初期手札の中から一枚を選び、内部留保とします。点数の高いカードを選びましょう。内部留保するカードは、裏向きのまま、自分の手元に横向きにして置きます。

■ルール

1.ゲームの開始

 親から手番プレイヤーとなります。手番プレイヤーは山札の一番上から一枚を引き、手札に加えます。

2.案件の提案

 次に手番プレイヤーは自分の手札から一枚を選び、表にして場に出します。そして、報酬を提示します。場に出したカードに書かれている「報酬」の数字だけ、報酬トークンを取ります。

 そこから「他プレイヤーにくれてやっても良い」と思える数の報酬を決め、その数だけ、報酬トークンを「案件」に書かれている数字の横に並べて下さい。そして、残りの報酬トークンは「報酬」に書かれている数字の横に並べて下さい。こちらが「あなたが確保したい報酬」となります。



服部武志の「報酬」は5なので、手番プレイヤーは報酬トークンを5個手に取りました。「簡単な仕事だから他社への報酬など1個で十分だろう」と考えた手番プレイヤーは「案件」の横に報酬トークンを1個並べ、残りの4個は「報酬」の横に並べました。

ヒント:この時、残りの4個は必ず「報酬」の横に並べよう。これはクライアント(手番プレイヤー)がいかに暴利を貪ろうとしているかを可視化するためだ。

3.入札

手番プレイヤーはこの案件を受けてくれるプレイヤーを募ります。その報酬で受けても良いと思ったプレイヤーは自分の手札からカードを選び(1枚でも複数でも構いません)、裏向きにしたまま、自分の手元に置いて提示します(入札)。これは「弊社からはこれだけの社員を派遣する用意があります」という意思表示です。

4.交渉と受注プレイヤーの選択

 案件に入札したプレイヤーの中から、手番プレイヤーは一人を選びます(案件が複数の場合は、複数のプレイヤーを選ぶことがあります)。なお、この際にはゲームルールに抵触しない範囲で、いかなる交渉も可能です。
 手番プレイヤーは交渉が捗らない場合、出したカードを入れ替えても構いませんし、他社への報酬額を減らすことも増やすこともできます。他プレイヤーも提示したカードを入れ替えたり、追加したり、減らしたりできます。「報酬を1金増やしてあげるから、カードをもう1枚出してくれ」などの交渉をしましょう。
 入札プレイヤーから選ばれなかったプレイヤーは、提示していたカードを手札に戻します。



村崎三郎の案件は2種類あるため、手番プレイヤーは報酬の7を「1」「1」「5」で配分しました。報酬がたったの1金なので、あまりにもナメていると感じた他プレイヤーは誰も入札しませんでした。「せめて報酬を2にして下さい」との声が上がったため、仕方なく報酬を2ずつに増やしたところ、プレイヤーAが青の案件4に、プレイヤーBが黄の案件4に入札しました。

5.契約成立

 手番プレイヤーと選ばれたプレイヤー(以下「受注プレイヤー」)は、互いにサムズアップして笑顔で「契約成立」と声を合わせて言います(案件が2つの場合は3人で行います)。受注プレイヤーは伏せられたカードを表にして下さい。これ以降はプレイヤー全員、カードの変更も報酬額の変更もできません。「契約成立」と言った瞬間に条件が固定されるイメージです。

6.案件の遂行

 受注プレイヤーは提示したカード(出向した社員)のビジネスパワーを使って案件を遂行します。案件の色と合致した職種のカードであれば、ビジネスパワーに示されたダイスの数だけダイスを振ることができ、さらにダイス補正があればダイス目に補正がかかります。案件の色と合致していない場合は、そのカード(社員)はダイスを1つ追加するだけとなり、ダイス補正も発揮されません。もしダイスが足りない場合は、振りなおすか、家にあるダイスを追加するなどして対処して下さい。
 振れるダイスを一斉に振り、出目の最大値が「案件」の数字以上であれば成功です。ダイス補正があれば、出目の最大値にさらに補正値を足します。ダイス補正を持つカード(社員)が複数投入されていれば、ダイス補正は合計されます。



赤の案件6に対し、受注プレイヤーは「砂屋あずな」「ロドリゲス太田」「宮崎真」を投入しました。「砂屋あずな」「ロドリゲス太田」はカード色が赤で案件の色と合致しているため、ビジネスパワーとダイス補正が発揮されます。ただし、「宮崎真」は青なので合致していないため、ダイスは1つしか振れないしダイス補正も掛かりません。つまり、この場合ではダイスを5つ振り、出目の最大値に+1だけされることになります。

ヒント:赤の案件6は「IT系の難しい案件を依頼した」ということだ。砂屋やロドリゲスはIT系なので戦力になる。しかし、宮崎真はクリエイティブの分野では優秀な人材だが、ITは素人なため、IT系の案件に派遣されても若手以下の活躍しかできないわけだ。人材の無駄遣いだな!



青の案件7が手番プレイヤーから提示されました。ダイスの目は6が最大ですから、案件7は最低でも「+1」のダイス補正がなければどうやっても成功できません。そのため受注プレイヤーは「+1」のダイス補正を持つ「折原エミル」と「宮崎真」を投入しました。ダイス数は5つ、ダイス補正は合計で「+2」です。ダイスの結果は「3」「1」「5」「2」「2」。最大値の5に+2を足して7となったのでギリギリで成功です。

ヒント:案件7はダイス補正がなければ成功できない。手番プレイヤーは案件7のカードを出す前に「青の7いける会社ありますか?」など尋ねると良いだろう。

7.報酬と内部留保

 受注プレイヤーが見事に案件を成功させた場合、受注プレイヤーは報酬として提示された数(案件の横に並べられた報酬トークンの数)だけ、山札からカードを引きます。そして、引いたカードの中から1枚を選び、自身の内部留保とすることができます(しなくても構いません)。残りのカードは手札に加えます。もし、7の案件を成功させていた場合は2枚を選んで内部留保とすることができます。内部留保できるのは新たに山札から引いたカードだけで、手札からはできないことに注意して下さい。
 その次に手番プレイヤーの報酬です。受注プレイヤーが成功した場合に限り、報酬を受け取ることができ、同様に自分の報酬の数(報酬の横に並べられた報酬トークンの数)だけカードを引いて、その中から1枚を選び、自身の内部留保にできます。受注プレイヤーが7の案件を成功させていても、手番プレイヤーが内部留保できるのは1枚だけです。
 案件が2つある場合は、受注プレイヤーが2つとも成功させなければ手番プレイヤーは報酬を得られません。一方で、1つ目の案件に失敗していても、2つ目の案件に成功すれば、2つ目の案件の受注プレイヤーは報酬を得られます。

ヒント:案件が2つあった場合は、上から一つずつ処理していく。1つ目の案件のダイスを振り、成功していたら報酬を得てから、2つ目の案件のダイスを振る。案件を2つとも一人のプレイヤーが請け負うことも可能だ。その場合、そのプレイヤーは2つとも成功させれば、2枚も内部留保できる可能性があるぞ。

8.謝罪と賠償責任

 受注プレイヤーのダイスの目が振るわず、失敗した場合、そこで諦めても良いですし、再チャレンジすることもできます。先程出したカードは捨て札にして、新たに手元からカードを出し、ビジネスパワーに応じたダイスを振り、ダイス補正も掛かります。当然ですが、一度目に失敗したカードは既に捨て札になっているため、そのカードのビジネスパワーやダイス補正は掛かりません。
 二度目のチャレンジでも失敗した場合は諦めるしかありません。諦めた場合、受注プレイヤーは手番プレイヤーに対し、「弊社ではお力になれず、誠に申し訳ありませんでした」などの謝罪をします(この謝罪が「諦めた」という意思表示ですので、必ず謝罪して下さい)。
 謝罪を受けた手番プレイヤーは手札に「賠償」カードがあれば出すことができます(内部留保ポイントが「賠償」になっているカードのことです)。「賠償」を出された場合、賠償問題へと発展し、手番プレイヤーは受注プレイヤーの内部留保を裏向きのまま一枚選び、それを奪って自身の内部留保へと加えることができます。何点のカードを奪えたか、自分だけで確認しましょう。
 出せる「賠償」カードは無制限で、出した枚数だけ相手の内部留保を奪えます。ただし、相手に内部留保がない場合は何も奪えません。

9.手番の終了

 受注プレイヤーが成功、もしくは失敗し、内部留保の処理(報酬もしくは賠償)が終わった段階で、その手番は終了します。「手番プレイヤーの出したカード」「受注プレイヤーが出したカード」「手番プレイヤーの出した賠償カード」の全てを捨て札にして捨て札置き場(山札の隣が良いでしょう)に置きます。
 時計回りで次のプレイヤーが手番プレイヤーとなり、これを繰り返します。途中で山札が尽きた場合は、捨て札をシャッフルして新たに山札を一度だけ作ります(後述)。

10.ゲームの終了

以下の条件でゲームが終了します。

(a)誰かの内部留保が10点以上になった場合(5~6人プレイの場合は8点)。
(b)山札が尽き、捨て札をシャッフルして、さらに山札を作ったが、その二回目の山札も尽きた場合。

(a)の場合はそのプレイヤーが勝利します。自分の内部留保を全て公開して勝利宣言して下さい。受注プレイヤーが成功した場合、受注プレイヤーが内部留保した後で手番プレイヤーも内部留保しますが、それで両者とも10点を超えていた時は受注プレイヤーが勝利します。案件が2つの場合は上から処理していくため、上の案件の受注プレイヤーが10点になったら、その時点で終了です。

(b)の場合はカードが尽きた瞬間に終了し、全員がその時点での内部留保を公開します。内部留保の合計点が最も高い人が勝利です(1位が同点の場合は同時勝利です)。なお、借金トークン(後述)を所持している人は自動敗北となるため、公開前に借金トークンを処理して下さい。

11.借金

 全てのプレイヤーは自由なタイミングで借金ができます。借金トークンを一つ得ることで、手札が4枚になるまで山札から補充できます(「4枚引く」ではないので注意して下さい)。借金トークンが場から尽きた場合は、コインなど適当なもので代用して下さい。
 ここで言う「手札」とは、手の中に持っているカードだけでなく、手番プレイヤーが場に提示したカードや、他プレイヤーが場に提示したカードも含みます。つまり、「捨て札になっていない、自分に属するカード全て」です。ただし、内部留保は手札ではありません。
 借金トークンのあるプレイヤーは内部留保が10点を超えていても勝利できません。借金は自由なタイミングで返済できます。自身の内部留保カードを1枚、表向きにして捨て札にすることで、借金トークンを一つ場に戻すことができます。
 なお、「賠償」カードは内部留保ポイントがなく0点扱いですが、内部留保にすること自体はできます。内部留保の「賠償」カードを捨て札にして借金返済することも可能です。

ヒント:借金は本当にどのタイミングでもできる! 手番プレイヤーは失敗した受注プレイヤーに対して賠償カードをチラつかせながら、「誠意を見せてくださいよ。借金して再チャレンジするとか」などの圧をかけても良いだろう。

12.内製

 このゲームは基本的には他社に仕事を依頼するゲームですが、他社に頼らず自社の力だけで案件を遂行することも可能です。これを「内製」と言います。
 内製をする場合は、自社が内部留保しているカードの色を参照します(色しか参照しないので裏向きのままで構いません)。案件の色に合致する内部留保カードの数だけダイスが振れます。例えば内部留保カードが「青」「青」「赤」の場合で、「青4」の案件を内製する場合、ダイスを2つ振って出目の最大値が4以上であれば成功です。ダイス補正はつかないため、7の案件は絶対に成功しません。
 内製に成功すると報酬の数字の数だけ手番プレイヤーは山札からカードを引き、1枚だけ内部留保することができます。成功・失敗にかかわらず参照した内部留保カードは捨て札になりません。
 内製は成功率が低くなりがちなので、基本的には他社に依頼すべきです。どうしても他社が受けてくれない、もしくは他社に報酬を渡したくない場合にのみ行うものと考えて下さい。

13.特殊な処理

 手番プレイヤーはパスできません。まれにしかない状況ですが、もし手番プレイヤーの手札全てに誰も入札してくれない(入札できない)場合で、さらに内製も不可能な場合は例外的にパスできます。しかし、パスよりは借金して手札を増やすことをオススメします。

(例)
手番プレイヤーの手札には赤の案件7と青の案件7しかありません。他プレイヤーに赤の案件7や青の案件7が可能か聞いてみましたが、誰もできないと言います(他プレイヤーの手札に赤や青のダイス補正がなかった)。この場合は例外的にパスが可能ですが、手番プレイヤーは借金をして手札を4枚にすることを選び、2枚を追加しました。そして、黄の案件5を提示しました。

■プレイ上のヒント

◯受注が重要

 このゲームの勝利条件である内部留保ですが、それができるのは手番時と、受注して成功した時のみです。手番は均等に回ってきますが、受注は入札した人にしか訪れません。ですので、積極的に入札して受注した方が勝利に近付きます。もちろん手番プレイヤーはそれが分かっているので足元を見てきますが……。

◯内部留保4枚は黄色信号

 勝利条件が10点の場合、内部留保を4枚持っているプレイヤーは黄色信号です。内部留保ポイントには0~3点がありますが平均的には2点です。ゆえに4枚所持なら次の1枚で勝利する可能性が高いと考えるべきです(勝利条件が8点の場合は3枚)。4枚所持プレイヤーに迂闊に仕事を振るのは危険です。内部留保の少ないプレイヤーに仕事を振っていきましょう。

◯賠償をチラつかせよう

 受注プレイヤーが失敗した場合に賠償カードを使えば内部留保を奪えますが、「相手に全力を出させキッチリ成功させる」ために賠償をチラつかせるのも良いでしょう。逆に「相手は賠償カードを持っていない」と見抜けば、手抜き仕事をするチャンスです。

◯競合発生は足元を見るチャンス!

 手番プレイヤー(クライアント)からすると、複数のプレイヤーが入札してくれた時は足元を見るチャンスです。基本的には「案件に合致した色を提示している」「複数枚のカードを提示している」プレイヤーの成功率が高くなります。「どっちにしようか決めかねている」と伝えた上で、「出すカードを増やして欲しい」「報酬は2金と言ったが1金でも受けれる方を指名したい」などと交渉しましょう。入札プレイヤーの方から「その案件、弊社なら1金で受けれますが」と言ってくるかもしれません。

 逆に一人しか入札しなかった場合は、入札プレイヤーが手番プレイヤーの足元を見るチャンスです。このゲームでは様々な状況で悪辣な交渉を行うことができます。実際にプレイしながら、より酷い交渉ができるシチュエーションを探してみて下さい。

Q&A

Q:報酬を1金たりとも他社に渡したくありません。0金で仕事を振ることは可能ですか?
A:それで仕事を受けてくれるかどうかは別として可能です。

Q:交渉中にウソをつくことは可能ですか?
A:可能ですが、御社の信頼に関わると思われます。次からの交渉が難しくなるでしょう。政治思想家のマキャベリも「極悪非道は一度だけにしよう」と言っています。

奥付

制作:架神恭介ワークス
ロゴデザイン:オリハラニコル
連絡先:***********


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