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「家に入る」のがトリガーじゃなかったの!?(レビュー:『疫(えやみ)~ナヒヤサマの呪い~』)

1話

2話

3話

4話

5話

オススメ度:★★★★☆

とうの昔に廃れてしまったが、沖縄にはかつて「ナヒヤサマ」という謎の神を祀る地域があった。今、その地に足を踏み入れた者の身に数々の恐ろしい出来事が降りかかる。それらは「ナヒヤサマ」の呪いなのか?「ナヒヤサマ」とは何者なのか?

 一言で言えば、本作はジェネリック呪怨である。家に入ったことをトリガーとして発生する怪奇現象、そこから派生していく呪い、主観人物を変えながら短編形式で展開していく物語、時系列をシャッフルした描き方など、「家を起点とした呪い」「時空間を広げ、歪めながら」描く作りは明らかに『呪怨』である。

 悪く言えば二番煎じだが、悪く言う気は全くしない程によく出来た作品で満足度は十分高い。『呪怨』のクオリティでしっかりした二番煎じをしてくれたなら、それはもう深々とお礼をしたくなるくらいに有り難いことなのだ。しかもYoutubeで無料で見れる。

 あらすじでは「ナヒヤサマ」という神格がクローズアップされており、パッと見は民俗学ホラー(現代の怪奇現象を民俗学的なアプローチで解明していく)のようにも思えるが、実際はその要素はかなり小さく、『呪怨』に比しても怪奇現象の「種明かし」描写は少ない。

 『呪怨』の方はなんのかんので怪異の源である伽椰子のキャラクター性はしっかりと描かれていたが、本作ではより発生源を曖昧にしており、また、呪いの拡散に関してもルール性が曖昧である。『呪怨』の方では「家に入る」ことが呪いトリガーとなっており、そこのルール性は概ね律儀に守られていた。

 一方で、本作では「家に入る」ことが初期の呪いトリガーではあるものの、そこからの拡散力・感染力は『呪怨』に比しても高く、「映像を見ただけ」「関係者に会っただけ」「電話で話を聞いただけ」と、どんどん呪い成立のハードルが下がっていく。そのハードル低下の行き着く先として最終話のエンディングがある。

 呪いの根源であるナヒヤサマの「正体」は最後の最後で一応語られるものの、その情報は少なく、同じシーンで「感染経路が不明」という言葉も出てくる。なので、本作は

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