甘味は「疲れた」に効く〜「何もかもイヤだ」と思ったときの初手を打った、という話

疲労を感じている時に糖分を摂取すると脳内物質の分泌により云々、という科学的な理屈の話ではなく、実感としての表題である。

ついさっき、1校時が終わるころにわたしは小学校を出た。
小4の息子の登校付き添いからの帰りである。

息子は自閉症スペクトラムの診断を受けている。
早朝覚醒があって、21時までに寝ているのに日中眠さを感じているようなので、メラトニン製剤であるメラトベルを服用している以外、特に服薬はしていない。
特別支援学級に在籍し、毎日「学校行きたくなーい」と言いながら登校している。
仕方がないので登校に付き添い、教室前で支援級担任に申し送りをして、息子の気持ちが整ったら帰宅し、リモート勤務の支度をする、というのが毎朝のルーティンだ。

さて、今朝も登校の付き添いをした。

昨日は通院があって学校を休んだのだけど、日曜日に支援級担任が2回目のワクチン接種をすると聞いていたので、副反応でお休みするだろうしちょうどいいかと思っていた。
もしかすると今日も休みかもな、どうしようかなと思っていたら、案の定、教室の扉には別の支援級で過ごすよう伝言が貼られていた。

予想通り、息子は「帰ろう」と言い出した。
慣れた教室で、自分のことを理解してくれる大人がいる環境でなければ過ごせない、と早々に見切りをつけてしまいがちなのだ。

でも、毎回そんなことをしてたら、どんどん学校への苦手意識が膨らんでしまう。
別に息子は学校が嫌いとか、誰かにいじめられてるとか、そういうわけではなく、嫌な出来事を思い出したときそれで頭がいっぱいになってしまうだけなのだ。

わたしも大学のときに実態のない不安が高まりすぎて講義室に入れない「不登校」状態を経験しているから、気持ちはわかる。
ただ、乗り越えたいま振り返ると、あのとき自分の頭を締めていた不安は本当にもやのようなものだった。
具体的に何が嫌、ということはなく、嫌だと感じた小さな個々のイメージが「不安」によってムクムクと肥えて押し潰されるような心地がしただけだ。
今なら、具体的に何が嫌なのかを挙げて「不安」を分解する。
そうすると大抵のことは「何だ、思ったより敵は小さいな」と乗り越えられるからだ。

乗り越え方を知っているわたしは、今、わたしや学校の先生方が手を貸してやれる今のうちに、乗り越え方の理屈を知り、実践しながら自分に適した乗り越え方の引き出しを作っておいてほしいと願っている。
具体的なステップを例示して、息子に「いまの状況ならどうしたらいいと思う？」と考えを促す。

常にできているわけではない。
わたしは気分屋で、やる気にむらがある。
自分の時間を確保しないとストレスで人当たりがキツくなってしまう自覚もあるし、息子が延々と話すゲームの説明が、彼にとって気持ちを落ち着けるための術のひとつであると分かっていても聞いてやれないことも多い。
やりたいことは多いし、読みたい小説や漫画も山ほどある。
子どものためにすべてを捧げることはできないからこそ、できる時にできることを頑張ろうと思っている。

だから、息子が折り合いをつけてわたしから離れられるようになるまで教室の前で話をして、支援級の先生と話をして、帰ってきた。
どれだけかかるかわからない、とわかったときに、すぐに連絡して仕事は午前休をとった。

そうして何とか乗り越えて、帰路に着くとき、どっと疲れが押し寄せてきた。
いつもそうだ。
必死に対応して、何とかなった、と思ったときに、自分が思ってたより疲れて、もう嫌だー！と叫び出したい気持ちになっていることに気付く。
息子には「0か100かの極端思考は自分の首を絞めることになるよ」と話すけれど、ひとは意外と極振りしがちなのかもしれない。
ちょっと疲れただけで「何もかもイヤだ」となってしまう。イヤなのは今この瞬間のしんどい疲れだけなのに。

わたしは帰宅せずに最寄りのドトールに入った。

豆乳きな粉ラテと、ミルクレープを頼んで、壁際の席に腰を落ち着ける。
ラテをひとくち。
ミルクレープをひとくち。

ひとくちごとに、ワーッとなっていた「何もかもイヤだ」メーターの数値が下がっていく気がした。

そうして、スマホでこのnoteを書いている。

「もういやだー！」
「何もかもすべてなくなればいいのに！」
そういう気持ちになって絶望的な感覚になってしまうとき、大抵わたしは疲れている。
そして、疲れには、状態や状況に応じて睡眠や食事や遊ぶことが効く。
今日のわたしは、午後から仕事をしなくてはならないし、もしかすると息子が早退するかもしれないので、早急に回復する必要があった。
そう、この甘味タイムの経費は、必要経費なのだ。

出費が嵩んでお財布が寒いけど、疲労回復になったのでよしとしたい。