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陰謀論基礎問題50(解答編①:解答例一覧、総評、秘密結社・支配者編解説)

先日公開した陰謀論基礎問題50には多くの反響があった。

陰謀論が好きな人は意外に多いようで、挑戦してくれた方が多かったことは作成者としても嬉しかった。
それでは早速解答例一覧を記載する。

解答例一覧

問01. ニュー山王ホテル
問02. ローマクラブ
問03. ビルダーバーグ会議
問04. 三極委員会(日米欧三極委員会でも可)
問05. ディープ・ステート
問06. アダム・ヴァイスハウプト, 1776年
問07. P2(Propaganda Due)
問08. ワーテルローの戦い
問09. 2個
問10. 新世界秩序(ニュー・ワールド・オーダー), NWO
問11. ケニア
問12. ゴムマスクを被った(バイデン氏フェイスのゴムマスクでなりすました)
問13. ドミニオン
問14. 田布施システム
問15. イエズス会
問16. フルベッキ写真
問17. シオン賢者の議定書
問18. 飛行機の翼幅より狭い
問19. クライシス・アクター
問20. スナイパー小屋
問21. ザプルーダー・フィルム
問22. 松川事件
問23. ケムトレイル
問24. 高周波活性オーロラ調査プログラム(HAARP)
問25. いきなり大きな揺れで始まっている(P波とS波が分かれていない)
問26. シェディング
問27. ワクチンと一緒に注入されたチップにより、Bluetooth接続が可能になるため
問28. ターボ癌
問29. フッ素
問30. コメット・ピンポン
問31. 2017年10月28日
問32. Qドロップ
問33. ジム・ワトキンス、ロン・ワトキンス
問34. 十字線
問35. キャトル・ミューティレーション
問36. メン・イン・ブラック
問37. ブラックナイト衛星
問38. 松ヤニ
問39. 言霊パワーを抑えることによって、日本を弱体化させるため
問40. キネネゲン(またはキニニゲン, kin-in-i-gin)
問41. NESARA/GESARA(どちらかで良い)
問42. MKウルトラ
問43. トンキン湾事件
問44. イラン・コントラ事件
問45. 偽旗作戦
問46. タルタリア
問47. グレート・リプレイスメント理論
問48. デンバー国際空港
問49. 寿司ネタ(魚介類)を乱獲するため ※この陰謀論では、フィンランドが実は海ということになっている
問50. デッド・インターネット理論

総評

問題への反応には難しいというものが多かったが、これは筆者が陰謀論者向けに問題を作ったためである。陰謀論に接することなく生活している人がスラスラと回答できたら勿論凄いが、それはそれで(作っておいて何だが)かなり心配になってしまう。一部の問題が分かる程度が丁度良いだろう。

一部の問題と書いたのは、陰謀論の知識がなくても解ける設問を準備したためである。特に歴史や国際政治に関心がある人なら、問01,03,04,05,08,10,13,15,17,22,42,43,44については見当が付くと考えられる(他にも問02は環境問題や資源問題、問09はワイン、問22は鉄道、問35,36は元々ジャンルとして重複しているUFO・宇宙人の知識で解ける可能性があり、これも面白さの一つかもしれない)。

歴史関連の陰謀論にこのような傾向があるのは、史実として知られている事件や状況について「残っている情報を繋げていくと、このような見方もできるのではないか」という類型の話が多いためである。一般の人が「陰謀論」と聞いて思い浮かべるのもこのタイプの話だと思う。

一方、昨今流行するような大規模火災の原因にいきなり高出力レーザー兵器を持ち出したり、コンスピリチュアリティのように「世界を牛耳ってきた悪の宇宙人を倒すには、覚醒者を増やすことによって龍神の末裔たる大和民族の本当の力を発揮して…」などという話を陰謀論に馴染みのない人が聞かされても、何のことやらさっぱりなのではないだろうか(恐らく、トラディショナルな歴史系陰謀論の愛好者からしても理解するのは難しいと思う)。

上記とはまた別の類型が見られるのが気象や医療系の陰謀論である。このジャンルの陰謀論には、人間の根源的な不安を刺激して感染・増殖しようとする説が多い。その際には「ターボ癌」や「シェディング」といった主流医学には存在しない概念を生み出すことが多く、医療に詳しくても解答することは難しい。

また、「何者かが水に毒を入れている」形式の陰謀論は様々な地域や時代で見られ、その陰謀主体は特定の人種や、虐げられる属性を持つ人々とされることが多い。日本における代表例は関東大震災における「朝鮮人が井戸に毒を入れた」であり、人間が持つ認知の弱点を突いてくる陰謀論は有害度・危険性が高い。昨今問題視される陰謀論の多くはこの手の話である。

個別解説

この後は、個別の問題について解説する(思ったよりもボリュームが大きくなったため、この記事では秘密結社・支配者編まで)。

問01. 日米合同委員会が行われていると言われるホテルはどこ?
答. ニュー山王ホテル

日米合同委員会とは、米軍や基地の運用について日本の省庁と米軍が協議する委員会である。積極的に会場が公開されているわけではないものの、区のサイトに記述があったり、在日米軍が公開した動画に写っていたりと様々な証拠があり、その会場の一つがニュー山王ホテルであることはほぼ間違いない。このホテルは米軍が管理しており、そのサイトには現役/退役軍人、大使館職員など、細かく分かれた利用資格の説明がある。一般人が利用することはできない。

日米合同委員会の議事は原則非公開であり、「密約が行われているのではないか」という指摘は至極全うである。ここまでは常識的な範囲だが、陰謀論では「全ての政治がここで決まっている」と無理に話を大きくしてしまう。2022年参院選の際にABEMA TVに出演した奥野氏(ごぼうの党代表)はこれと同じ主張を行っており、他にも同種の話を延々と続けたため、司会の平石氏を激怒させていた。

問02. 1972年に『成長の限界』を発表し、エリートによる人口削減陰謀論に強い影響を与えたシンクタンクの名前は?
答. ローマクラブ

『成長の限界』が著名なため、これで分かった方もいるのではないだろうか。(もっと辿ればマルサスの『人口論』に遡れるかもしれないが)ローマクラブと『成長の限界』は人口削減陰謀論が流行するきっかけを作ったと言えるもので、その内容は「このままの人口増加と経済活動を続けていくと、やがて100年以内に地球上の成長が限界に達する」というものだった。1992年のアジェンダ212015年のSDGsもこの議論の延長にある。

ここで議論される地球規模の問題には人口問題(人口爆発)が含まれ、「途上国における医療の充実により、乳幼児の死亡率を抑制することで出生率を下げる」話が行われることがある。おそらく最も有名なのは2010年に行われたビル・ゲイツ氏のスピーチであり、スピーチ内でワクチンへの言及があったことから、「新型コロナワクチンは人口減少(ここで元々の「人口抑制」が「積極的な人口削減」にすり替えられていることが多い)を目論む陰謀であり、その首謀者はビル・ゲイツ氏である」という陰謀論が流行することとなった。信じていない人からすれば荒唐無稽な話だろうが、山口真一氏(国際大准教授)の調査では1割程度の人が「正しい情報だと思う」と回答していた

問03. 1954年に開始され、その名が第1回目が開催されたオランダのホテルに由来している、世界中の政治家や実業家、貴族などの有力者が集まって毎年行われている完全非公開の会議は?
答. ビルダーバーグ会議

「オランダのホテル」が解答のポイントである。そのホテルの名前こそビルダーバーグホテルで、この会議自体は実際に行われ、報道もされている

この会議が「影の支配者による秘密会議」として陰謀論に登場することは有名で、上記の記事中でも「徹底した秘密主義から陰謀論の分野では『影の世界政府』や世界の行く先を決めるために様々な謀略が渦巻いているといわれることもある。」と書かれている。

さらには、ビルダーバーグ会議の公式サイトにあるFAQにも「陰謀論者が荒唐無稽な主張をしており…」とあり、会議側も陰謀論による攻撃対象にされていることは把握している。

ビルダーバーグ会議公式サイトより

「権力者たちが特定の会議で世界支配の方策を話し合っている」という陰謀論の対象にされる会議は他にもあり、昨今頻繁に言及されるのはダボス会議(と、そのテーマとして2020年に発表された「グレート・リセット」)である。

問04. 日本・北米・欧州の協同促進を目指し、デイビッド・ロックフェラーによって1973年に設立された、民間非営利の政策協議グループの名前は?
答. 三極委員会(日米欧三極委員会でも可)

知っている人なら「日本・北米・欧州の」でピンと来たはずだ。ビルダーバーグ会議同様、三極委員会も実在する(公式サイト)ため、この形式の陰謀論がきっかけで歴史や国際政治に関心を持ち、深く学ぶことになる人々がいるのかもしれない(ただし陰謀論では、その力が現実離れしたレベルに強調されている)。創設当初は「日米欧三極委員会」という、より厨二心をくすぐるネーミングだったが、参加国の追加に伴い改称された。

問05. 元は政治学の用語で、国家の政治指導部とは独立して活動する政府内グループや民間団体といった権力ネットワークを指していたものの、現在は世界を牛耳る闇の存在を指すことが多い、この言葉は何?
答. ディープ・ステート

ここ最近の陰謀論で「DS」という略称があったら、それはディープ・ステートのことである。元は政治学の用語として、例えばトルコで政府高官や将軍と麻薬密売人やテロリストが癒着していたケースや、メキシコにおいて麻薬カルテルが公職や警察に浸透しているケースを指していたようだ。

一方、ドナルド・トランプ元米国大統領はこの言葉を、大統領としての活動に躓いた際に使うようになり、これは上記のケースというよりは米国に以前からある「影のエリート達が秘密裏に国をコントロールする『影の政府』が存在する」説としての様相を帯びていた。

ここまではまだあり得なくもない話ではあるが、現在では陰謀論特有の簡略化と飛躍が行われ、一国政府の範囲を超えた「国際的に世界を牛耳るディープ・ステートが存在し、新型コロナもこのDSが仕組んだものである」といった風に使われるようになっている。

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