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ドラマ感想「くるり~誰が私と恋をした?~」

「くる恋」ロス、そして公太郎さんロスです。

ドラマ「くるり~誰が私と恋をした?~」が先日最終回を迎えた。

今期は個人的に好きな俳優さんが出演しているドラマが多く、いつもより継続視聴した本数も増えていた。そんな中、キャスト陣が一見地味だと思われる(←あくまで個人の印象です)このドラマの1話をTVerで観ようと思った自分を、今となっては褒めてあげたい。

今期一番楽しめたドラマである。

奇しくも今期ドラマは記憶喪失ブームで、このドラマも主人公が事故で記憶を失うところから始まる。記憶を失ったヒロインが「本当の自分」と「恋の相手」を探していくラブコメミステリー。と公式サイトでも言っているが、ただ楽しいラブコメでもなく、とにかく謎を追うだけの話でもない。それ以上にこのドラマでは何か言いたいことがあるんだろうなと、1話ですでに感じとれた。
記憶を失う前の主人公まこと(生見愛瑠)は、誰とも深く関わらずモノトーンの世界で生きていた。それを知って戸惑いながらも前向きに生きようとするまことに、こちらも自然と感情移入してしている。ぜんぜん軽い感じのラブコメじゃないじゃん。と、初回から引き込まれたのだった。

タイトルとキービジュアルは、いかにも「ラブコメ」という感じ↓

とはいえ、連続ドラマとして面白いと思えたのは、やはりミステリーとしても楽しめたというところも大きい。

まことの恋(指輪)の相手は誰なのか?
記憶を失う原因となった事故の日に何があったのか?

この二つがミステリーの軸になっているのだが、こういう話って早々に見当がついてしまいがち。でも、このドラマは、なんだかんだ最終話まで確証が持てず、ずっとそのワクワク感も維持できた。

物語が進むにつれ少しずつ解けていく謎と、3人の男性との関係が変化していく様子が、絶妙なバランスで絡みあう。
脚本の秀逸さを感じる。それは最終話を観終えた後に改めて1話から見直したときにも気付かされた。点と点がつながっていくような、パズルのピースがはまっていくような、そんな感覚になる。

全話を通して描かれる謎やラブストーリーだけでなく、各話毎に挟み込まれている人間ドラマもどれも良い。まことの母親との関係を描いた5話とか、公太郎さん(瀬戸康史)と幼馴染の友情を描いた7話とか、自然と涙が出てしまうぐらい気持ちが入り込んだ。これも脚本の上手さによるものなのか。もちろん俳優さんのお芝居が良いということもあるが。

特に心に残るのは、まことの主治医である井口先生(ダチョウ倶楽部の肥後さん)とその妻で認知症の千草さん(片平なぎさ)のシーン。忘れてしまう人も、忘れられる人も、どちらも辛い。そんな切なさを伝えながらも、いつもそこには優しくあたたかい光が差していた。

そして、そんな大事なシーンには、必ず「指輪」か「花」が添えられている。どちらも生活に絶対必要なものではないが、大切な誰か(自分も含む)の幸せを願って贈るもの。このドラマでのキーアイテムとなっている。

特に「花」を使った演出。見た目の美しさはもちろん、まことの心情の変化を表すのにも「花」は必須アイテムなのだ。「花」の色や香りが、記憶を繋いでいく。

そして小道具としての「花」と言えば、エディブルフラワー(食べられる花)を使った、まことと公太郎の美しいキスシーン。ドラマを観ながら久々に声が出たし、おそらく完全にここで瀬戸康史に落ちたのではないかと。ドラマ中盤くらいから、なんか公太郎さんかっこよくないか、あれ、私の知ってる瀬戸康史じゃないぞ、と何かに気付き始めていた。そこに、あの花びらキスはずるい。

地味なキャストって言ってたの誰よ?
最高のキャスティングじゃん。
公太郎さんは瀬戸康史でなければ成り立たない。
どう考えても最初から大本命の公太郎さんなのに、なぜか当て馬ポジションイメージの強い瀬戸康史に惑わされるんだよね。でも最終的には王子様にしか見えないんだから。

ブランケット男子の朝日を演じた神尾楓珠くん。こんなにイケメンなのにさえない男に見えてしまうって、さすがだよね。

律を演じた宮世琉弥くんも、かわいい年下男子に見せておいて謎めいた雰囲気もうまく表現している。最近注目されているのも納得の演技力。

そして主演のめるる、いや生見愛瑠さん。ドラマ「日曜の夜ぐらいは」での演技に驚かされたものの、さすがに火10の主演はまだ早いのでは?なんて思っていたのだが。主人公まことを演じたのがめるるだったからこそ、こんなにもドラマの世界に入り込むことができた。男性3人から思いを寄せられる女性なんて見方によっては嫌味に感じるかもしれないのに、めるるはずっと可愛いし、誰もが応援したくなる主人公だった。

ミステリーとしての不穏さがありながらも、キャストは結局みんないい人だったし、ラブコメとしてのキュンも完璧。「本当の自分なんて都市伝説?」という表現で「本当の自分」探しのオチもちゃんとつける。すべてが大団円となる終わり方も気持ちがいい。

それから忘れてはいけない、劇判音楽と主題歌。ドラマを盛り上げる重要な要素となっておりました。
主題歌「I wonder」(Da-iCE)の「音が止まった~」がいつもベストタイミングで流れ、キャッチーなメロディと歌詞がドラマにもぴったり。

くる恋ダンスを踊る瀬戸康史↓


こんなにハマって観ていたのに最終話しか録画していないという失態。TVerで配信されている3話までしか観られないんだよね。これはもうU-NEXTに入るしかないかも。でも、1~3話だけでも今見直すと、気づかされることも多くて楽しい。実は細かいところにも伏線があったりして。

それにしても、いったい私はこれまで瀬戸康史の何を見ていたのか?
これが一番のミステリーかもしれない。

ドラマが始まるまでは「そういうつもりで見たことない」だったのに、終わってみれば「好き」という言葉では足りないくらいに、印象が「くるり」と変わったのだから。

あの、どこの花屋に行けば、エプロン姿の公太郎さんに会えますか?
いったん、ヘンゼル瀬戸康史に癒されてこよう。

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