夫に二度捨てられた女が幸せになった方法 第1章2:最初の夫の事

少しKの事を書いておくと、彼の実家は少し複雑な事情がありました。

まだKが小学生だった頃から、お母さんが癌を患っていて、必死の闘病生活も功をきたさず40歳過ぎの母親を亡くしてしまったのです。それはまだKが高校生の時でした。

母親を亡くしてすぐに父親が再婚したのですが、おそらく母親が闘病中の頃からの付き合いだったのではないかとKは推察していました。

そして、父親は再婚した家に養子として婿入りしました。

つまり名字が変わってしまったのです。

しかも、KやKの妹にはなんの相談もなしに。

Kにしてみれば、父親に捨てられた感がありました。父親と違う苗字。まだ未成年のKは書類に保護者の名前を書く機会も多く、その度に名字が違う事を説明しなければならない。その度に捨てられたような気持ちが湧いてきて心と痛めていたのだと思います。

そして、婿入りした父親は、再婚した女性の為に家を買い、女性の連れ子3人をとてもかわいがりました。

Kと妹は、二人で家に残されとても寂しい思いをしたことでしょう。母親を亡くしたばかりなのに父親に捨てられた、二人で頑張ろうと兄妹と慰めあって生きてきたと言っていました。

Kと妹がとても仲が良い理由、そしてKが父親に反感な気持ちを抱いている事、母親をとても懐かしんでいる事は普段の彼の言葉から分かりましたし、彼がどんな思いでいるのかも話を聞くたびに容易に想像が出来ました。

普段はとても明るいけれど、社会に対してどこか反発心を持っている事や何かあると自暴自棄になるのは、こんな経験からくるのかなと思いました。

彼はとても寂しがり屋で、おしゃべりで、私に色んな話をするのが大好きだったのですが、それも子供がお母さんになんでも話すような気持ちだったのかなと思います。愛されている自身。絶対に離れない家族。いつでも帰れる場所・・・そんな幸せは私以上に彼が感じてたのかなとも思います。

でも、一度だけ彼が自暴自棄になって、私の前で「死んでやる」と叫んで車の前に飛び出したことがありまして、この時だけはショックで彼を受け入れてあげる事がすぐには出来ませんでした。

もちろん私も、人生でそれなりに辛い事もありましたが、自分を含めて周りにも「死にたい」と言うような人はいなかったし、ましてそれを実行する人はいませんでした。彼が車道に飛び出したときは本当に死んでしまうと心臓が止まるくらいびっくりしたし、私は大泣きしながら家に帰ってその後彼があやまろうが何をしようが口がきけなかったことを覚えています。

それは怒っているとかそういうレベルではなくて、心からショックだったのです。

でも彼にしてみればそれは、何度あやまっても自分を受け入れてもらえないという事であり、私がショックで口をきけないのではなく、嫌われてしまったという悲しみでしかありませんでした。

おそらくこの出来事が、彼が私に対して「自分を受け入れてもらえないかも」という不信感を抱いた最初の出来事だったのではないかと思います。

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