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『ウェディング・ハイ』〜kaf

エンタメ度直球の映画。
大九明子監督が好きでずっと観たかった。
脚本はバカリズム。

1日の出来事を各登場人物ほぼ全員の目線で描く。

一組の新婚の結婚式の日。
結婚式の準備を、温度差を感じながら着々と進めていく夫婦。
余興や都度都度の挨拶にこだわる参加者たち。
式場の従業員達の奔走。

見所を挙げ出すとキリがない。
何気ないシーンや、当然のように進んでいく物語一つ一つがほんのささやかだけれど、大事な伏線になっている。

個人的に好きだったのは、余興メンバー達の一喜一憂。
“こんなに人生賭けて人の結婚式に臨む人間がどれだけいるのだろうか”という疑問を持ったことなんて忘れてしまうほど、その一人一人にドラマがあった。
傍ら見てると滑稽だけど、ガチンコで勝負をしにいっている。
1/1の自分で戦っていた。
その頑張りのエンジンに、お祝い精神のカケラもなかったのがなにより良かった。
全部自分の満足感や自尊心のため。
でもそれが決して悪いという話ではなくて、各々勝手に自分が大事にしたいものを大事にしているその姿があまりにも良過ぎた。


これは主の個人的な話になるが、先月は正直メンタルが落ち気味だった。
その日、雪が降っていた。
SNSには多くの人が雪について投稿していた。
“雪だるま発見〜。可愛い〜。”とか“電車遅れて最悪〜”とか。
そのことに何故かとても安心したのだ。
「あ、各々が各々の感性で勝手に自由に生きてるんだ。じゃあ自分だって、雪降ってようがなんだろうが、いくら落ち込んでたっていいじゃん」と思えた。

“勝手に生きてる”なんて、他人に対して思ったことは一度もないが、何故かその日は生きとし生けるもの皆んなそうであって欲しいと思った。
本来ならそれでいいんだって。
だってとても救われたから。


この映画には、それはそれは勝手に生きてる人たちが登場していた。
それぞれのシーンに爆笑しながら、でもどこか救われたような気持ちになった。


エンタメって素晴らしいと思う。
ただただ笑って、喜んで、泣いて、怒って、好きに勝手に自由に楽しめばいいんだから。

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