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ありさんの赤ちゃんのこと

私は虫が苦手、いや、嫌い、なので、
とにかく家にいると排除に躍起になってしまう。クモがやたらと出るな〜と思っていたら、ついにはありまで出現するではないか。

娘がポロポロ落としながら食べ物を食べるせいかなと、ちょっとだけ、イライラしながら片付けようとティッシュを取りに行く。

蟻はとても小さく、気付かなければ見落としていたくらいのサイズ感だった。いよいよ、こいつを仕留めようと、手を伸ばした私に娘が言う。

「ねえ、ママ、ありさんの赤ちゃんだから、
外に逃がしてあげてね。」

え?と言う顔をしていたんだろう。

「潰しちゃったら可哀想だから、窓から外に出してあげてね」

心配そうな顔をする娘。

あー、なるほど、赤ちゃんだから優しくね。命は等しく平等に。優しく、大事にしてね。

人間の都合だけで、排除するだけの大人の脳味噌にいつの間にかなっていたんだなぁと、そんな自分にガッカリした。




ありは手で拾って窓から外に逃がした。