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通り過ぎた

ずっと退職してからもなんとなく、私の居場所は前の職場にあって、意識も興味もそっちに残ったままだったけれど、あー、なんか通り過ぎてしまった。
過去になってしまったって感じるようになった。

今の私は、もう過去の人なんだなぁって。

転職してからもうすぐ一年経つ。一年ってすごく短いような気がしていたけど、長くて辛くて、泣いたり喚いたりばかりしていた一年だった。

前と変わった事があるとすれば、職場で、感情をほとんど出さなくなった。怒ってたり泣いてたり、同僚からしたら迷惑極まりない私だったけど、今は人前で、怒ってたり泣いてたり感情的に長文チャット書いてみたり、そんな事はほとんどない。

たった一度だけ、上司と話している時に、あまりの自分の不甲斐なさに泣いてしまって、同期が心配して、他チームの上司から声をかけていただいた事があったけど、この一年間でたった一度だけ。一度だけだったから、えらい心配されたのだ。
前の職場の上司が聞いたら絶対信じてくれないと思うけど、嫌な事も辛い事も、吐き出さなくても、消えてしまう。

それが一番の弱点で、それさえ無ければもっと評価されるのにってよく言われていたけど、実際その様な自分でなくなって、弱点がなくなったかと言われるとそうでもないし、無敵な私にはなれなかった。

むしろ自由にワガママに好きに仕事をしていた自分はもう居なくなってしまった。
だから、その分突火な発想もでないし、全くもって特徴のない人物になったような気がする。家族から言わせると、感情の波があんまりなくなって、落ち着いたらしい。

落ち着いたと同時に、ギラギラした出世欲も、やりたい事も、叶えたい事も何もなくなってしまった。
ただ、毎日生きてる。毎日同じ事を繰り返して、生きてるだけで、幸せだって感じる毎日。

本物の私はどっちだったんだろう。

楽しい仕事も沢山あったし、やりたい事もできたし、なりたい職業になったら、もう目指すところが急になくなってしまった。
ポッカリ空いた穴には、毎日新しい知識を詰め込むけれど、積んでも積んでも、私の穴は空いたままだ。

それしか考えられなくなるような仕事も、仕事における成果や達成感もなく、なんとなく生きているつまらない人間になったと思う。
あんなに感情が揺れ動く仕事には、この先出会えない気がした。

今の私なら、あれもあれも、きっと解決できただろう、と、未練ばかりを引きずって、それでも、前を向いて歩いていく。

無駄を排除した私は、本当につまらない人間なんだなぁって思った。