ナンピン買いは正当化できるのか

カフェモカ☕です。

オニール本を読んだことがある方はご存じのことだと思いますが、オニールはナンピン買いは否定していて、損切ライン(-8%程度を推奨)を明確にし、あらゆる銘柄でそのルールを守るべきだと論じています☕

私もオニール投資を始める前は、含み損-20%とかになっても「ストーリーは変わってないから!」「決算はいいから!」といった理由でホールド・ナンピン買いし続け、結果その次の決算ミスで売らざるを得ない状況を経験したことがあります・・・☕

ただ、ナンピン買いをすると平均取得単価が下がり、その後株価が反発すれば、利幅は上がりますよね☕

そう考えると、「いい銘柄ならナンピン買いしてもいいんじゃないの?」とも思う方もいらっしゃるのではないでしょうか☕

そこで今回は、各銘柄の過去1年のパフォーマンスを集計し、ナンピン買いは正当化できるのか、をオニール流投資家目線で検証してみたいと思います☕

データ出典:Finviz(https://finviz.com/)                  YahooFinance(https://finance.yahoo.com/


年間最安値までの下落率と年間パフォーマンスの関係

まず、NYSE、NASDAQに上場されている時価総額300万ドル以上の3988銘柄のデータから、1年前株価から年間最安値までの下落率(横軸)と年間パフォーマンス(縦軸、1年前から現在値までの騰落率)の関係をプロットしてみました(👇の図)☕

これを見ると、偶然か必然かオニール的損切ラインの-8%あたりを境に年間パフォーマンスに差が生じていることが分かります☕

それぞれの銘柄のパフォーマンスを集計したところ、データを集計した3988銘柄のうち、年間最安値までの下落率が-8%以上の銘柄は1538銘柄(全体の約39%)あり、そのうち年間パフォーマンスでS&P500を上回った銘柄は429銘柄で、全体の約11%(1538銘柄の28%)でした☕

一方、年間最安値までの下落率が-8%以内の銘柄は2450銘柄(全体の約61%)あり、そのうち年間パフォーマンスでS&P500を上回った銘柄は1592銘柄で、全体の約40%(2450銘柄の65%)でした☕

つまり、この1年に限って言えば、株価が-8%以上下落する銘柄でS&P500よりも高パフォーマンスを出した銘柄は3割程度だったのに対し、株価の下落幅が-8%以内に収まった銘柄でS&P500よりも高パフォーマンスを出した銘柄は6割強あったことになります☕

もちろんこの結果は仮に1年前にポジションを立てて1年ホールドしていた場合の結果ですし、-8%という境界は切り取るタイミングによって変化することは間違いありません☕

しかし傾向として、全体に比べ一定以上株価が下がってしまった銘柄は株価がすぐには戻ってこない=パフォーマンスが劣後する、ナンピン買いは報われづらいということはこの結果から言えると思います☕



仮にナンピン買いをしてした場合どうなるか

ここで終わると、「いやいや、ナンピン買いしたら平均取得単価は下がるんだから、実際のパフォーマンスはもっと上がってるでしょ☕」という話が解決しないままです☕

実際、Datadog, Inc. ($DDOG)の過去一年の株価推移を見ると、一時-28%まで下がっていますが、現在では+73%とS&P500のパフォーマンスを大きく上回っています☕

仮にナンピン買いをしていたのであれば、+73%以上のパフォーマンスを得られていることになりますから、「ナンピン買い最高~~🥳」となるのも無理はありません☕

👆Datadog, Inc. ($DDOG)の過去1年間株価の推移👆


ということで、年間最安値までの下落率が-8%以上の銘柄について、取得単価を1年前株価ではなく”1年前株価と年間最安値の平均”とした場合、先ほどの比較結果にどの程度変化がでるのかを検証してみました☕

「いやいや、低いところを狙ってナンピン買いしているからもっと取得単価は低いよ!」という意見が出そうですが、大底で買える手腕のある方であれば、そもそも最初から大底までポジション立てる必要なんてないですから、そもそもナンピン買いする必要すらないですよね☕

なので、ナンピン買いが成功していた場合でも、平均取得単価は最初のポジションと最安値の平均あたりと仮定していいと思います☕


その結果がこちら👇

オレンジ色が年間最安値までの下落率が-8%以上の銘柄群で、取得単価を1年前株価と年間最安値の平均に下げているため、年間パフォーマンスが先ほどの図より上がっています☕

先ほどと同様に結果を集計してみると、年間最安値までの下落率が-8%以上の銘柄1538銘柄(全体の約39%)のうち、ナンピン買いをして年間パフォーマンスでS&P500を上回った銘柄は508銘柄で、全体の約13%(1538銘柄の33%)でした☕


・・・ん?


ナンピン買いをしない場合で年間パフォーマンスでS&P500を上回った銘柄は429銘柄で、全体の約11%(1538銘柄の28%)でしたので、ナンピン買いをしてもほとんど結果は変わってないですね☕

S&P500より高パフォーマンスだったのも約1/3程度でほとんど改善していません☕

私自身もう少し結果がよくなるのではと思っていましたが、この結果には驚きました☕

株価の下落幅が-8%以内に収まった銘柄でS&P500よりも高パフォーマンスを出した銘柄は6割強だったことに比べると、ナンピン買いが報われる確率は低く、$DDOGのような例は少数派であるということが分かります☕

「いやいや、毛並みのいい銘柄なら絶対上がってくるから!」という方は、Zoom Video ($ZM)のことを思い出してみてください☕

👆Zoom Video ($ZM)の過去1年間株価の推移👆

$ZMは上場来ずっと好決算を出してきましたが、1年前から株価は下落を続け、ついに今年9月に決算ミスをしてしましました☕

これを見ると、毛並みがいいからと言ってナンピン買いを続けると大変なことになる可能性があることが分かると思います☕

まとめ

過去1年という限定した条件での検証となりましたが、やはりナンピン買いは一般的に報われづらいということが確認できたかなと思います☕

ナンピン買いが成功すると、「ホールドし続けてよかった!」「信じていてよかった!」というマインドになりがちですが、是非ほかの銘柄とパフォーマンスを比較し、本当にナンピン買いが正解だったのかを検証したほうがよいと思います☕

私は今回の検証結果も踏まえ、オニール投資にならって-8%の損切ラインを尊守し、ナンピン買いは控えていこうと思います☕

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