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癒月物語 third story /Beautiful mannequin doll master's trap*美しいマネキン人形主人の罠*

*Marionette*

マリオネット

*A puppet show puppet that uses thread from above. A puppet.* 

上から糸を使ってあやつる、人形劇の人形。 あやつり人形。

Google翻訳より。

私は、教室にいる彼の事を心で
”壊れたマリオネット”……そう呼び
勝手にレッテルを貼った。
まるで、動画編集ソフトで
彼の頭に付箋を貼るかのように。

”壊れた人形使い”……か。

”Broken puppeteer……”
淡々と、彼を見つめ、スマホを操作する。

「雫、何してるの?」
「ん、英語の勉強」
「英単語覚えるのって大変だよねー!」

「うん。そうだね。」

私は、雫。
鷺宮 雫 sagimiya shizuku
趣味は……人間観察。

「Google翻訳って便利だよね。」
私は静かに目を伏せ、隣に居た茜に呟く。
「マジ!それ本当そう!あたしなんか試験の度に”Google先生今日もお願いします~って神頼みしちゃうもん!!”」
「えっ……それはどうなのかな」
「雫冷たい……」

教室の中で、いつもの光景が始まる。
今日は春の爽やかな風と、眩しい光で
机の左側が、かなり熱くなっていて
若干目を背けたくなる。
だからこそ、右隣にいる茜と
自然と会話が弾む。
あたしの席は、教室の後ろに近い窓側だから。

「雫!今日帰りどこ寄ってく??」
「え?まだ午前中だよ?笑」

「えーだるいー」
「頑張って」

「今日いつもより冷たくない?!笑
あたし何かした?笑」

「いや特に何も。」

茜とは、高校1年の頃から仲の良い親友だ。
2年も同じクラスになれたので、
かなり人見知りする私にとっては
茜みたいな人の存在が身近にいてくれる事で
内心ホッとしている、という所だ。

操り人形と芸達者な主人による求人情報

”Job listings by puppets and masters”……

私は英訳文のみを、ノートに記す。 
「雫って真面目だよね」
「いや全然そんな事ない、遊んでばっかだし」

「雫がそうなら、あたしはどうなっちゃうのよ……」
「茜はそのままで良いの!」

へぇ……今訳した英訳を、更に日本語訳にすると
また意味が変わるんだ……難しいなぁ……

”人形とマスターによる求人情報”
また、スマホの翻訳アプリに目を落とす。

「雫忙しそうだから、つまんないー」

「ごめんごめん!ちょっと集中しすぎた!
もうやめるから、ね、茜。
そうだ!!これ新作のお菓子食べる?
コンビニに売ってたんだよ。
えーと……Pocky”柚子レモンのピンク岩塩”味」
「え なにそれ。食べる」
雫の手から、お菓子の箱を強引に奪い、
箱のイラストを覗き見る。
「これ絶対美味しそうだよね。
あとこれは?
Pocky”激辛 黒胡椒と山葵と唐辛子MIX”
おっ……パウダー増量中だって。」
「え なにそれ要らない……マジ要らない……
雫それ全部食べて。
あたしこっちのピンク岩塩味が良い。」
「茜……冷たい(笑)」


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