「嫌い」という言葉は使わない
人から薦められた本、音楽、映画など感想を求められた時に、思っても決して言わないように心掛けている言葉があります。
それは「嫌い」という言葉です。
例えば映画のDVDを薦められて借りたとして、見終わってDVDを返す時に、相手から「どうだった?」と感想を聞かれた時、本当は全然面白くなかったり自分に全く合わなかったり、なんなら嫌いな部類に入る映画だったりすることもあると思うのですが、そんな時「嫌い」と決してそのまま自分の気持ちを言葉にして表現しないようにしています。
それは何故かというと、自分にとっては何でもない作品でも、相手にとっては大切な作品かもしれないからです。もし、その作品が相手にとってこの世で一番好きで好きでどうしようもないくらいの作品だったり、その作品のおかげで人生が変わるくらい大きな影響を与えた作品だったりするかもしれない。
その作品を赤の他人はともかく、仲の良い友達や恋人から「嫌い」なんて言われたら、自分そのものを否定されたような気持ちになるのではないかと想像してしまうのです。
自分も自分の好きなモノをズバッと「嫌い」言われたら、何だか悲しくなってしまいます。人間、生まれた場所や環境が一人一人違うので、好き嫌いや価値観が人それぞれ違うと思うので、はっきりと意見が別れる事があるのは当然なのですが。
なんか急にこんな話をしたくなったのは、ツイッターのタイムラインにこんな呟きを目にしたからです。
燃え殻さんの場合、「つまらなかった」という言葉ですが、僕がずっと思っていた事と似たような気がしたからです。さらにこのツイートで気付いたことがあります。
それは負の言葉を“言い切ってしまう”ことがダメなのでは?と。
作品の感想を聞かれたこちらも人間なので、ただ何となく嫌いではなく、トラウマになるぐらい嫌いだったりそれを見て心が傷ついたりする事もあると思うので、そんな時はちゃんと理由を説明して、「これこれこういうことで嫌いです」というのは良いんじゃないかな。
そう、ただ何となく「嫌い」という感情を言葉に出してしまうのがよろしくないのではないかと思ったのです。
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もし何かの作品の感想を求められて、嫌いなジャンルの作品だったらどう返せば良いのか。
そんな時に自分は、「面白い面白くない」「好き嫌い」ではっきりと分けるのではなく、「僕にはよく分からなかった」と言っています。
相手にとって大好きな作品や大切な作品なのにはちゃんと理由が必ずあるから、その良さが自分にちゃんと理解できなかったのは本当の事だから、これは嘘ではないのです。
また、燃え殻さんのツイートにも書いてあるように、「わりと苦手」という言葉も使います。グラデーションを付ける。良いですね。
嫌いという感情が湧いたら、言い切らずできる限りオブラートに包むようにして、もしその作品に少しでも良いところがあったら「こういうところにちょっと共感できて好き」などと言うのも良いのではないでしょうか。全体的にではなく、部分的に好きなところを探してみる。
映画の場合だったら、「この女優さんの顔が好き」とかでも良いと思います。その作品の中の「嫌い」を探すのではなく、「好き」を探してみよう。
これは相手から薦められた例だけど、唐突に「この芸能人嫌い」などと言ってくる人もいます。好きか嫌いも聞いていないのに。これは本当に気をつけた方がいいですね。
とにかく、その「嫌い」という感情は思っても声に出してわざわざ言わなくていい言葉なのではないだろうかというお話でした。
人によって大切なモノはそれぞれ違います。
自分にとっては何でもないモノでも、その人にとっては大切なモノもあります。
相手にとって大切な作品やモノを傷つけないということは、相手を傷つけない、大切に思うという思いやりなのではないだろうか。
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