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モンゴ・サンタマリア ~ジャマイカ音楽への大きな影響~

ラテン音楽の偉大なパーカッション・プレイヤー、モンゴ・サンタマリア(Mongo Santamaria)
サンタマリア…どこかで聞き覚えのある名前ではないでしょうか?
実は、かのユースケ・サンタマリアは、モンゴ・サンタマリアから名前を取っているんです!
ユースケさんは、昔、ラテンバンドのヴォーカル・MCをしていて、モンゴ・サンタマリアの大ファンだそうです。そう言われてみれば、いかにもラテンバンドにいそうな芸名ですね(笑)。

モンゴ・サンタマリアは、1917年、キューバのハバナ生まれ。
当初はキューバで音楽活動をしていましたが、1950年頃にはニューヨークへと活動の拠点を移しました。
そして、ペレス・プラードやティト・プエンテなど有名ミュージシャンの楽団を経て、1955年には初リーダー作も録音しています。

そんなモンゴ・サンタマリアに転機が訪れたのが、1960年代初頭。
自身のバンドに、トランペット・プレイヤー兼ディレクターのマーティ・シェラー(Marty Sheller)が加入し、「ラテン+ジャズ=ラテン・ジャズ」なめっちゃカッコいいサウンドを確立したのです!

ちょうど1960年代初頭、ジャマイカでは、同じくジャズをベースとした新しい音楽、スカが生まれていました。

カッコいい音楽に敏感なジャマイカのミュージシャン達が、モンゴ・サンタマリアの魅力に気付かないはずがありません!!
スカタライツのメンバーによる、怒涛のモンゴ・サンタマリア・カバーが始まります(笑)。
今回は、モンゴ・サンタマリアの原曲と、同じ曲のスカタライツによるカバーをご紹介していきたいと思います。
(スカタライツによるカバーは、原曲とは曲のタイトルを変えていることが多いです。著作権にだいぶグレーなイメージのジャマイカ。著作権の対策でしょうか?)

まずご紹介するのは、マーティ・シェラー加入直後のライブ・アルバム「Mongo At The Village Gate(1963年)」。
このアルバムからは3曲がカバーされています(「Fatback」,「El Toro」,「The Jungle Bit」)。

中でも、特におススメなのが「Fatback」!
スカタライツのバージョンは「Tear Up」というタイトルになっています。

Mongo Santamaria「Fatback」/Skatalites(Roland Alphonso)「Tear Up」

続いてご紹介するのは、Battleというレーベルで録音された名盤「Watermelon Man!(1963年)」です。

なんと、このアルバムは全12曲のうち、11曲がカバーされています!!
(唯一カバーされていない、3曲目の「Cut That Cane」もなかなかカッコいい曲ではあります。)

このアルバムで特に有名な曲は、1曲目の「Watermelon Man(作曲:ハービー・ハンコック)」ですが、

スカタライツ好きとして、特におススメなのがこの3曲です!!

Mongo Santamaria「Bayou Roots」/Skatalites「Lee Harvey Oswald」

Mongo Santamaria「Funny Money」/Skatalites「Bridge View」

Mongo Santamaria「Yeh Yeh!」/Skatalites「President Kennedy」

これら3曲は、すべてスカタライツの名盤「Ska Authentic Vol.1(1964年)」に入っています。
スカタライツの方を先に聴いていたので、モンゴ・サンタマリアの原曲を聴いたときには、リズム以外、あまりにまんまなのでビックリしましたね(笑)。
そのリズムの違いがまた、それぞれカッコいいのですが…

そして、モンゴ・サンタマリアがメジャー・レーベル、コロンビアに移って第一弾のアルバムが「El Pussy Cat(1965年)」。

このアルバムからは、「El Pussy Cat」と「Hammer Head」の2曲をカバーしていますが、特におススメするのが「Hammer Head」!
スカタライツのバージョンは「Phoenix City」というタイトルで、スカタライツ再結成後の演奏が激アツです!!

Mongo Santamaria「Hammer Head」/Skatalites「Phoenix City」
(モンゴ・サンタマリアの原曲は、You Tubeに見当たりませんでした。)

この1965年頃、モンゴ・サンタマリアはさらに2枚のアルバムも出しています。

「Mr. Watermelon Man」

「El Bravo」

「Mr. Watermelon Man」の方には、「Fat Back」の再演も入っていて、ライブ盤とは違うクリアな音質で、こちらのバージョンもおススメです。

1966年頃から、モンゴ・サンタマリアはソウルの影響を取り入れたりして、少しずつスタイルが変わっていきます。
また、スカタライツの活動期間は2年と短く、1965年には解散してしまい、その後、ジャマイカ音楽はスカよりももっとメローな音楽、ロックステディに移っていきます。
つかの間ではありましたが、芳醇な両者の邂逅でした…

今回の記事は、以下の本を参考にしています。


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